魔を焼き切る炎
その刹那、俺は違和感を覚えた。切った手応えがまるで無い。さっきまでのが大木なら、豆腐かと思ってしまうぐらいだ。
どういうことだと思い、勇者の剣の状態を確認した俺は思わず目を丸くした。
刀身自体が発火し、紅蓮の炎を帯びている。ただの斬撃ではなく、炎を纏った斬撃で焼き切っていたんだ。
「こいつは、いったい……」
って、ちょっと待てよ? 俺は切る前まで何を考えてた?
(もしかして!)
1つの仮説を立てた俺は、試しに勇者の剣に向かって火を点すイメージした。
すると、切ったことで1度小さくなりかけた火が、またメラメラと燃えだした。
思った通りだ。勇者の剣は俺のイメージを反映して、属性攻撃をするようになっている。
「名付けるなら、【モード・フレイムタン】ってところかな? なんにしても……これならいける!」
新たな力を得たことで、勝機を見出した俺は、まさしく烈火の如き猛撃で、次々と蔓を焼き切っていく。
焼き切られた蔓は、普通に切った時より時間がかかるらしく、再生させる間もなく8本全ての蔓を全滅させることに成功した。
これで残すは、毒液と毒の息を吐く本体だけ。だけどもう、恐れるものは何も無い。
「散々手間取らせてくれたからな。こっからは時間をかけずに、ちゃっちゃと済ませるぜ!」
勇者の剣の切っ先を本体に向けながらそう言い放った俺は、相変わらず高い場所にいやがるそいつの表皮に炎の一閃を刻み込んだ。
確実に効いてはいる。が、消火&自己再生をするせいで、ダメージがすぐに癒えてしまう。
「クソー。やっぱ、1発当てただけじゃダメか」
となると、ラーサーの言うとおり超高速の連撃か、それとも表皮ごとぶち抜くような一撃を叩き込むしか――
と、剣と脇差を構えながら思いかけたところで、またしても閃いた。
勇者の剣の炎を木刀に移したら、木刀は2度と使い物にならない。だが、脇差ならどうだ? 脇差なら、たかが1回炎纏った程度じゃ、ダメにはならない。
そう考えた俺は、勇者の剣と脇差を交差させて、勇者の剣の炎を脇差に移した。
そして……
「【モード・フレイムタン】秘技・【フレイムクロス】ッ! くらえーっ!」
と、思いついた技名を叫びながら、×を刻むように勇者の剣と脇差を振り抜いた。
2本の剣に纏われていた炎は、俺の想定を軽々と超えた極大の炎の斬波となって、刀身から放たれ、表皮だけでなく、核すらも容易く焼き切った。
致命的な損傷を負った草の化け物は、吐血するように毒液を噴き出した後、業火に包まれて灰燼と化していく。
長かったこいつとの死闘が、やっと終わったんだ。
その最期を見届けた俺は、安堵する一方で、勇者の剣に対して、感謝と畏怖の念を抱いていた。
今回は、この剣に助けられたと言っても過言ではないが、もし、使い方を誤ったら、味方すらも傷付けかねない。それぐらいこの剣には、強すぎる力が宿っている。
(そりゃ、旅が終わるたんびに封印するわな。その方が安全だし)
そう心から思った俺は、使い方を誤らないようにしようと、自らを戒めた――――
勇は【モード・フレイムタン】と【フレイムクロス】を会得した。
上記の技の消費MP
【モード・〇〇】 毎ターンMP1
【フレイムクロス】 MP2
・【モード・〇〇】の説明
斬撃に対応する属性を纏う。(〇の中には属性ごとの名前が入る。今回の場合だと火なのでフレイムタン)
MPが0になるか、一定時間で自動で効果が切れる。
・【フレイムクロス】の説明
【モード・フレイムタン】時のみ使用可能。敵単体に通常の1.5倍の威力の炎属性斬擊ダメージを与える。




