待ち受ける毒草
ラーサーを追いかけながら進んでいた俺達は、やがてそこそこ広めの空間に辿り着いた。どうやらここが、洞窟の最深部らしい。
そこは先程まで通ってきたところとはまるで違い、地べたには青々とした植物が、壁からは地下水の滝がある穏やかな場所だった。
それだけなら、ピクニックをするのもアリかもしれねぇが、残念なことに冒険者と思われる骸骨がそこら中に横たわっている。おそらく、聖龍草か魔物を目当てに来た冒険者ってところだろう。なんまんだぶなんまんだぶ。
って、今は合掌してる場合じゃねぇな。こいつらには悪いけど、早いとこ聖龍草を見つけねぇと。
「んで、聖龍草ってのは、どんな見た目をしてるんだ?」
「あぁ、そういえばまだ言ってませんでしたね。見た目はその名の通り、ドラゴンの鱗のような白い葉をしていて、ほのかに発光しています」
「ずいぶんとわかりやすい特徴をしてんだな。これならすぐにでもみつかりそうだ」
率直な感想を漏らした俺は、まーちゃんとラーサーと手分けして、聖龍草を探し始めた
思ったよりイージーそうでよかった。そう思いホッと胸を撫で下ろした俺だったが、ここであることが脳裏を過る。
(あれ? だとしたらこいつら、なんでここでくたばってんだ? あんな特徴なら、探せば見つかるだろうし、無かったら無かったで、こっから出りゃいい話なのに……)
そう思い、改めて冒険者の死体を観察してみると、どれもこれも、砕かれてたり溶かされてたりといった欠損が目立つ。明らかに餓死じゃねぇ。だとしたら……
結論に達した俺は、背筋にゾッとするものを感じた。
その瞬間、地面に水滴が落ちる音が響いた。最初は、天井から落ちてきた雫かとも思ったが、そうじゃない。
恐る恐る天井を見上げると、そこには、触手のような8本の蔓をウネウネと動かし、十字に開く口らしき器官から、毒液を涎のように垂らした巨大な草の化け物がいた。
「デケぇ! なんだこいつ!?」
「知りませんよ! こんな魔物、今まで見たこともありません」
マジか。ひよっこ兵士とはいえ、この世界の軍隊に所属しているラーサーでさえ知らないとなると、突然変異で生まれた化け物ってことか。
「まさか、ここで死んだ人達みんな、あれの餌食に?」
「だろうな。けど、あれをどうにかしないことには、聖龍草探しもままならねぇようだ。やるぞ! 2人共!」
そう言って俺達は、臨戦態勢を整え、草のバケモンめがけて斬りかかった。




