表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まーちゃんとクエスト!!  作者: 天馬光
第一章 バシレイア
22/442

まーちゃん

 そう思うと、自然と感謝の気持ちがこみ上げてきた。


「……かもしれねぇな。ありがとな。マーテリアトゥ――」

 うわ……ガッツリ噛んじまった。しかも、お礼を言うべき相手の名前を。自分で言うのもなんだけど、感謝の言葉を伝えようとしてるこのタイミングで普通噛むかね?


「あ。やっぱり、言いづらいですよね?」


「たはは。その、すまねぇ」


「いえ、いいんですよ。先生や知り合いもたまに噛んでましたし」

 そっか。やっぱこんだけ複雑な名前だと、そういうことは経験済みか。


「しっかし、そうなると色々と不便だな。咄嗟の時や指示を出す時に噛んじまったら、それこそ命とりになりかねねぇし」


「ですね」


「となると……ここはやっぱ、あだ名をつけるのがベストか。前につけられたあだ名とかあるか?」

 そう聞くと、マーテリアテナは首を横に振った。学校や町では名字か『ドラグホースさん家の娘さん』で、家では名前で呼ばれていたそうだ。

 マジかよ。こんだけややこしい名前なら、短縮形とかあっとけよ。

 てなると、今この場でつけるしかないか……


「あの、私は何でもかまいません。勇者様が呼びやすいあだ名であれば、何でも」

 おいおい。俺のカスみたいなネーミングセンスに一任するってのか? 『晩飯何がいい?』って質問と同じで、そういうのが1番困るんだよ。


 丸投げされた俺は、仕方なく頭を悩ませ、必死に考えた。その結果、


「じゃあ……まーちゃんで。マーテリアテナだし、俺の世界の外国の言葉で、商人のことをmerchantっていうから」

 という、我ながら安直で幼稚なあだ名をつけてしまった。幼稚園に通ってるようなガキじゃあるまいし、14歳の子に『まーちゃん』って。いくらなんでも馴れ馴れしすぎるだろ。


 こういう時こそ『これでよろしいですか?』の一文がほしい! それぐらい今すぐにでも訂正すべきだと思い直した俺は、


「悪ぃ! 今のナシ――」

 と言いかけたが、当のマーテリアテナは、


「まーちゃん……いいあだ名ですね。すごく気に入りました」

 と、どこまでもピュアな目をして、『まーちゃん』と呼ばれることをすんなり受け入れてしまった。


(ま、まぁ、本人が気に入ってくれたんなら、それでいいけど……本当にいいのか?)

 俺はこいつの感性を、少し疑いたくなった。


 そんなこんなで、あだ名と身の上話で一気に距離が縮まった俺とマーテリアテナことまーちゃんの2人きりで過ごす最初の夜は、次第に更けていった――――――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ