最初の仲間
そうこうしてると、騒ぎを聞きつけた保安隊が駆けつけた。ったく、遅ぇっつーの。
訳を聞いてみると、兵士の大半が国王主催の新年を祝う式典の警護をしていて、残った奴らも、デマ情報に踊らされたことで、屯所とパトロールが手薄になっていたらしい。
十中八九ドンカカの仕業だな。あいつ、見た目と小物感の割に、随分と用意周到じゃねぇか。
ま、やられたことを後から言っても仕方ねぇか。女の子も無事みてぇだし、まずは良しとしよう。
そんなわけで、とりあえず奴隷商人の身柄を保安兵に渡し、屯所まで連行してもらった。
奴隷商人がしょっぴかれているところを見送っていると、ドンカカ一味に怯え、閉じこもっていた住民達が出てきて、大捕物を演じた俺を褒め讃える。
その中には、例の女の子も。
「あの」
「あ、お前。怪我はないか?」
「はい。その、助けてくださり、ありがとうございます」
無垢な少女からの感謝の言葉。それだけですごく気分がいい。やっぱ、いいことはするもんだな。
今なら誰を誘っても旅についてきてくれそうな気がするけど、そんな都合のいいことあるわけねぇよな。
「礼には及ばねぇよ」
「そういう訳には! せめて、何かさせてください。私、これでも商人なんです。まだ、駆け出しですけど」
「そうは言ってもなぁ……」
弱ったなぁ。こいつが同い年ぐらいだったら『付き合ってみる?』とか言えるんだろうけど、どう見ても小学校高学年ぐらいの子に、んなこと言ったら、確実に事案&ロリコン確定だよな。『何か奢って』って言ったら、それはそれで『幼気な少女をパシリに使った』って、世間から白い目を向けられそうだし。
とはいえ、こんな縋るような目されたら、何も無しってのも――
その時、ある考えがピンと閃いた。正直、恩返ししようとしてる奴の善意を利用してるみたいで気が引けるけど、ダメ元で言うだけ言ってみよう。
「……じゃあ、俺の仲間になってくれ」
「え?」
「いや、ちょうど仲間が欲しかったところだったんだ。それに、未だにこの世界のことでわかってないこともあるし、商人がパーティにいたら、買い物とかも少しは楽になるかなぁと思って。どうかな?」
俺からの提案を聞き、その子は急に黙ってしまった。
そりゃそうだよな。酒場にいた屈強な野郎共でさえ、『金もねぇのに、そんな危険な仕事できるか』って、断ったぐらいだからな。誘った俺が言うのもなんだけど、自分よりうんと年下の子を誘うなんて、どうかしてると思うよ。
やっぱ無理だよな。そう判断した俺は話をなかったことにしようとした。
けど、その子は、
「はい。お役に立てるとどうかわかりませんが、こんな私でよければ、喜んで」
と、快諾してくれた。
まさかの返答に、俺は目が飛び出そうなほど吃驚する。
「え!? いいのか!? 報酬とかロクに払えねぇぞ!? ヘタすりゃ死ぬかもしれねぇぞ!? それでもいいのか!?」
冷静じゃなくなった俺からのガトリングみたいな質問にも、その子は迷わず首を縦に振った。どうやら覚悟は本物のようだ。
「本当にいいんだな?」
「はい」
「……わかった。じゃあこれからよろしくな」
そう言って俺は、歓迎の意味を込めてその子と握手をした。
「そういえば、まだ名乗ってなかったな。俺は広岡勇。お前は?」
「私は、マーテリアテナ=ヘルメサージュ・ドラグホースといいます。以後、よろしくお願いします」
聞いた俺がバカだった。なんだその複雑で覚えづらい呪文みたいな名前。どこぞの貴族か。
何はともあれ駆け出しの女商人・マーテリアテナが仲間に加わった。
それ自体は嬉しいんだけど、最初の仲間が商人とはなぁ……世の中思い通りにいかねぇもんだ。
マーテリアテナ=ヘルメサージュ・ドラグホース(Lv1)のステータス
HP……15
MP……5
物理攻撃力……4
物理防御力……2
魔法攻撃力……2
魔法防御力……3
素早さ……3
命中……1
運……4
・初期装備
ダガー(物理攻撃力3)
布の服(物理防御力1)
サンダル(素早さ2)
リュック
・特技……【調合】 【査定】 【鑑定】




