雇う側になってみて
これで自分の分の装備は整った。となれば次は、例の目的だ。俺はそれを果たすために、酒場へ向かった。
その目的とは、ズバリ仲間集め。RPGをやったことがある人なら、前話の段階で予想がついてたかもしれない。
それを承知で言わせてもらうと、俺の理想は、戦士と魔法使いと僧侶を加えた4人パーティ。王道すぎて面白味がないのはわかってるが、これが1番バランスがとれていて理想的だと思う。
加えて、人相が良く性格も良さそうな人なら尚よし。この顔でゴロツキを連れていたら、それこそ山賊と間違われかねない。それを防ぐためには、常識人が2人以上いるべきだと考えている。
(せめて武闘家だけでもほしいなぁ)
なんて思いながら、俺はルンルン気分で店に入っていった。
1時間後。店から出てすぐ、俺はガックリと肩を落とした。早くも暗礁に乗り上げてしまったからだ。
まず第一に、真っ昼間から酒場でドンチャン騒ぎをしてる奴らが、常識人な訳がない。そういう奴らは大抵ゴロツキか酒好きのどっちかだ。
まぁ、俺みたいに、仲間を求めて来ていた奴もいたにはいたが、日頃から命の取り合いをしてきたせいか、揃いも揃って人相が悪い。
何より、奴らはどいつもこいつも金にシビアだ。金貨2枚も無い俺の誘いを受けてくれる奴などおらず、仮にいたとしても、魔王討伐なんて危険度MAXの頼みを聞いてくれるようなお人好しなんているはずがない。そりゃそうだよな。俺だって大金を積まれても、そんな仕事お断りだよ。
けど、雇う側になったおかげで、初めて気付けたこともある。それは、人って結局、第一印象が大事で、金とか志望動機とかといったニーズが合致しないと、就職先として選ばれなかったり、不採用になったりするってこと。
この世界に来る前は、情熱とか意欲とかがあればなんとかなるって思ってたけど、仕事仲間を求めている相手にそんなものは通用しない。いかに企業にとって有益か。そして、どれだけ人当たりが良いか。重要なのはそこだったんだ。
それを知るきっかけとなるのが、第一印象だ。かく言う俺も、『そこは重要じゃない』って思ってたくせに、いざ雇う側になると、自然と顔の良し悪しで人を選別していた。我ながら恥ずかしい限りだ。
(どうりで落とされるわけだよ。そりゃ、こんな顔した奴となるべくお近づきになりたくねぇよな)
窓ガラス越しに映った自分の顔を見て、改めて思う。ほんと、良い教訓になったわ。元の世界に帰ったら、いっそ整形でもしようかな?
って、今はそれどころじゃねぇな。早いところ仲間を集めないと。けど、どこに行けばいるんだろう? 教会にでも行って同行してくれそうな僧侶でも探すか……? それも望み薄っぽいけど。




