普通にダメだろ!
ん? 魔法……? そうか。その手があった! 普段の戦法に慣れてたせいで、すっかり忘れてたよ! 俺達のパーティにはあいつが、期待のルーキーがいるじゃねぇか!
「おい、お前! お前の魔法でこいつらを蹴散らしてくれ! 時間は俺らが稼ぐ!」
「お、おう! わかったアニキ! やってみる!」
いい返事だ。あいつのやる気に応えるためにも、ここはなんとか持ち堪えねぇとな。
……って、ちょっと待て。今あいつ、何つった?
「雷槍よ。振り注ぎ……なんだっけ? まぁいいや。【サンダーレイン】!」
ドラゴンのガキはそう言って唱えたつもりでいたようだが、んな適当な呪文で魔法が発動するわけがない。雷どころか静電気すら起きやしない。機械の駆動音と風の音が聞こえるだけで、パーティ内に沈黙が流れる。
「……な、なぁ。まさかとは思うが、お前……」
嘘であってくれと願いつつ尋ねると、ドラゴンのガキは涙目になって、申し訳なさそうに打ち明けた。
「うぅ、ごめんよぉアニキィ。おいらバカだから、呪文なんてややこしいもん覚えらんねぇんだ。ちょっとでもアニキにいいとこ見せたくて、見栄張っちまった。ほんとごめ~ん」
「それを先に言えーっ!」
冗談じゃねぇ! 確かに過度の期待をかけた俺にも非はある。それは認める。けど、だからって、魔法がウリのエンシェントドラゴンが魔法を使えねぇとか、普通にダメだろ! 落ちこぼれとは聞いてたけど、まさかここまでとは思わなかった。これなら元の姿の方が百万倍マシじゃねぇか!
「ったく、こんな時にくだらねぇ背伸びなんかしやがって! ガキっちいにも程があるだろ! 決めた! お前の名前は今日からドラ坊だ!」
「えー」
「『えー』じゃねぇ! 文句があんなら成果で示せ。それができねぇ限り、お前は一生ドラ坊だ! わかったな!?」
「そ、そんなぁ……」
そう言ってドラ坊は肩を落とした。いやいや、肩を落としてぇのはこっちの方だ。全部てめぇの自業自得だろが。




