マキナ砂漠
と、ドラゴンのガキに対して思う俺の周囲で、砂が若干盛り上がった気がした。
念の為言っておくが、度重なる魔物の侵攻で、雑草1本すら生えなくなるほど荒れ果て、枯渇したこの砂漠に生物なんているはずがない。
ならば、いったい何が? その正体が何なのか俺にはわかっていた。
「勇さん」
「わかってる。まーちゃん、電気系と水系のアイテムの調合を頼む」
敵襲を予感した俺からの要請にまーちゃんは頷くと、すぐに調合を始めた。
すると程なくして、簡素な構造のメカが砂を巻き上げて飛び出してきた。思った通り、マキナ砂漠というだけあって、メカ系の敵しかいねぇようだ。
「確認しました。低級のオートマタです」
「了解。いくぜ!」
そう言って切り込む俺に合わせて、まーちゃんは水属性の爆弾やショックボルトを投げて、オートマタをショートさせる。こうなったらこっちのもんだ。動けなくなったオートマタを【ウェーブスライサー】で一網打尽にしていく。
いつにも増して好調な滑り出し。その勢いに乗じて片っ端から倒していくが、いくら倒しても、機能停止前に仲間呼びでもしてんのか、砂の下から次々と出てくる。相手が雑魚なだけに、それがかえって鬱陶しい。
「キリがありませんね」
「だな。こりゃ、途中で切り上げて、突破するしかなさそうだ」
「でしたら、あちらに向かってさっきの連携をし、そこから逃げますか?」
まーちゃんはギルディア方面を差して、そう提案した。それ自体は大賛成なんだが、奴らの増援を呼ぶ早さを見ていた俺は、難色を示す。
「いや、不十分だ。【ウェーブスライサー】の攻撃範囲じゃ、こいつらの増援の方が早く来ちまって、振りきれない。確実に逃げるためには、もっと広範囲を攻撃しないと」
とはいえ、それはほとんど不可能に近い。その理由は俺の未熟さにある。
複数属性の魔法剣とか攻撃魔法とか使えりゃ話は別だろうが、今の俺には、そんな高等技術を使いこなす技量も術もない。
となれば、いつも通り使える技やアイテムを連発するか、効果は薄いが【ウェーブスライサー】より範囲が広い【アイスワールド】で足止めするしかない。が、はたしてそれでうまくいくかどうか……




