表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/61

私の気持ち



結婚式から10日経ち、屋敷も村の中も通常通りになった。


結婚式の日、終わった後家にサイラスお兄ちゃんの家族も来て泊まって行った。

こんな時、話題になるの『次は誰か』

サイラスお兄ちゃんは末っ子で他の従兄は皆結婚している。

そうなるとカイル兄、ルー兄、そして私の話になる。


実はカイル兄にもルー兄にも婚約者がいる。


カイル兄は薬師なのだけれど昨今ガイト村の人数が増えて一人では大変な為、一年くらい前からサリアが手伝いに行くようになった。

サリアは私と同じ歳の私達兄弟の幼なじみ。

一緒に仕事をしているうちに想い合うようになった。

先日サリアが14歳になり、成人したのでカイル兄とサリアが両家に許可を貰い婚約した。

来年のガイト村結婚式に参加する。


ルー兄はマークさんの娘さんミーシャさんと昨年成人と共に婚約した。

ミーシャさんはルー兄よりも一つ年上。ルー兄がマークさんの所で働き出した時から姉のように世話をやいてくれたそうだ。

マークさんがルー兄とミーシャさんを呼んで婚約の話をした時ルー兄は立ち上がり

「はい」

と大声で言い、ミーシャさんは泣いてしまったそうだ。その後、泣いたミーシャさんを見たルー兄はあわあわと挙動不審になり、

マークさんに

「何か言ってやってくれ」

と言われて、90度頭を下げてこれまた大声で、

「よろしくお願いします」

と言ったらしい。

ここは、『好きです』とか『結婚してください』ではないのか。

とマークさんにつっこまれたそうだ。


何故こんなに詳しく知っているかというと、

マークさんがガイト村に来てお父さんと飲んだ時に皆んなに話していたから。


マークさんが話している間中ルー兄は下を向いて赤くなってたけれど、お父さんに頭を撫でられながら

「おめでとう」

と言われてとても嬉しそうだった。

もちろん私や家族皆んなでお祝いした。


ルー兄はミーシャさんと結婚してマーク商会の跡を継ぐ。マーク商会は今ではヤマニーラ領の中でも一、二を争うほどの商会になっている。王都にも支店を出した。 

ルー兄は大変だろうけれど幸せになって欲しい。






と、兄二人は心配がないので、親戚の皆んな、特に叔母さんは私の話を聞きたがった。

「アイカはいい人いないの」

「いません」

「気になる人は」

「いません」

「ガイト村も人が増えたから気になる人いるんじゃあないの」

「残念ながらいません」


「じゃあ叔母さんが紹介しようか」

「今はまだいいです」

「もう成人したんだから」

「えーと、もうちょっと仕事したいです」

「結婚しても出来るわよ」

「お姉ちゃんが居なくなったのでもう少し家に居たいです」

「そうなの?」

「はい」

「そうなのね」

「はい」


という会話があった。叔母さんも酔っていたから覚えてないかもしれないけれど、本当に今は考えられない。



お姉ちゃんが結婚すると決まってからお姉ちゃんと二人で話す事が多くなった。

家族の事、村の事、シロフの事、そして恋話。

お姉ちゃんがサイラスお兄ちゃんの話をする事が多い。優しいとか真面目とか惚気てくる。

「いいね。私もそんな人が良いなあ」

とか

「自分も好きで相手も好きなんて羨ましい」

と、返事をする。

時々喧嘩した時に悪口を言っていたけれどすぐに仲直りしていたから、何だったんだろう、と思った。


あいも変わらずお姉ちゃんから惚気を聞いていると

「アイカはトニカート様が好きなんでしょう」

「えっ」

「ふふふ」

「なんで?」

「何となくね」

突然お姉ちゃんが言い出した。


トニカート様は大人だし、確かに憧れている。でも、伯爵家の方で、私よりも12歳も上で…


とにかく、あんな素敵なトニカート様なんだから村の皆んなが好きに決まっている。

お姉ちゃんにちょっとムッとしてしまった。

何も言わないでいたら

「私もトニカート様は好きよ」

「えー。お姉ちゃんどういう事?」


「素敵だなとか憧れているとか、そういう好きの事」

「えっ、よく分からない」

「いい人だけれどサイラスみたいに一生一緒にいたいとは思わないかな。でも、アイカは違うでしょう?」


私は混乱してしまった。私の好きもいい人の好きじゃあないの?


「ヤマニーラ家の方だからね。私達とは身分が違うのよ。よく考えてみてね」

まだまだ混乱中の私の頭を撫でてお姉ちゃんは言った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ