結婚式
結婚式には連絡した9組全て参加した。
ライドさんは『今さらですが、モリーナが楽しみにしているので』と顔を赤くしていた。
モリーナさんから私が作っていたベールを見て作りたいと言われたので、
「一緒に作りましょう」
と始まったベール作りはいつの間にか9組の新婦本人や親族が参加しての作成となった。
「また一つ、ガイト村の特産品が出来ましたね」
執事のノイドさんとトニカート様が言っていたのを聞いた。
その後、ベールは服と同じくヤマニーラ伯爵領での生産となった。ガイト村では人手が足りない。
仕事の無い人、未亡人などに職の斡旋が出来たとヤマニーラ伯爵から感謝されたとノイドさんから聞いた。
「お姉ちゃん、おめでとう」
私はお姉ちゃんにベールを渡すと、
「アイカが着けて」
と、お姉ちゃんが椅子に座ってベールを渡したので「うん」
ちょっと泣けてきた。
「おめでとうっ。綺麗」
ベールを付け、薄く化粧をしたお姉ちゃんはとても綺麗だった。
「アイカ、これって」
私が感動しているのに、お姉ちゃんが素っ頓狂な声を出した。
「なに?」
「これ、このベール、皆んなと違うわ」
「そんな事なの?」
「そんな事では無いわよ。これ、とても素敵だわ」
「へへへ、お姉ちゃんとサイラスお兄ちゃんの服を作った残りの布で作ったの」
お姉ちゃんが言っているのはベールの上部に付けた布で作った小さな薔薇のような花を8個並べてパッと見るとカチューシャのようになっている物だ。
布の薔薇は簡単。細長い布の真ん中に均等に切れ目を入れ端を中に入れる。後は端から丸めるだけで出来上がり。愛佳の時に隣のお婆ちゃんが愛佳が髪飾りが無いと聞いて作り方を教えてくれ作ったことがあった。
「ありがとう。アイカ」
お姉ちゃんに頭を撫でられる。私、もう14歳なのにって憮然とすると
「本当に嬉しい」
とお姉ちゃんはちょっと涙ぐんでしまった。
そこにお母さんも入って、いつの間にか小さい頃からの話に話がずれていた。
「皆さん、庭にどうぞ」
ライラさんの声掛けに、庭に出ると、村の人達が集まっていた。
お姉ちゃんは迎えに来たサイラスお兄ちゃんと中央にいく。私達家族は左手に親族席(席とはいっても座らないで立っている)があるのでそちらに移動する。親族席にはサイラスお兄ちゃんの家族、叔父さん叔母さん従兄達がいた。
今日はルー兄もマークさんから5日の休みをもらって帰って来ていた。と言っても、行商の馬車で来ていて昨日村にあるマーク商店に品物を納めていたから『ついで』感がある。
「今から結婚式を始めます」
9組の新郎新婦が庭に揃ったところでノイドさんが声を上げた。
トニカート様が正面の一段上になる台に乗る。
「今日はとてもいい天気になりましたね。皆さんを祝福しているようです。今日から夫婦となるお二人にお祝いを。おめでとうございます。」
「わぁぁぁ」
「パチパチパチ」
「おめでとう」
村人や親族からお祝いの言葉や拍手が聞こえた。
トニカート様が台から降りて、9組の新郎新婦の前に行った。そしてライラさんから渡された花束を新婦に渡して行く。
「これからもよろしく」
とか
「仲良くして」
など一組一組に声を掛けていた。
少しすると、村の人達がテーブルを置き料理を並べた。
「今日の為にトニカート様が準備してくださいました。皆様どうぞ召し上がってください」
ノイドさんが料理を見て話すと、皆、それぞれに料理を取り、歓談が始まった。
私も料理を取ってきてお姉ちゃんの所へ行く。
新郎新婦だけはテーブルと椅子があった。
トニカート様も回って来てくださって話をした。
「ベールの飾りの話を今度しましょう」
と苦笑いで言われた。
村の人達もお祝いに来てくれた。
お姉ちゃんとサイラスお兄ちゃんはとても嬉しそうだ。
お酒も出てお父さんは勿論、叔父さんも酔っ払っている。今日は叔父さん家族は家に泊まるので随分と飲んだみたい。
暗くなる前には解散になった。
お姉ちゃんはサイラスお兄ちゃんとの新しい家に行った。
私達は家に帰って、皆んなで雑魚寝したんだけど、お父さんや叔父さんがお酒臭かったので、頭がちょっと痛くなった。