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練習



モリーナさんにシロフから糸を紡ぐ方法を教えてもらってから5日たった。モリーナさん、キラナちゃん、お母さん、お姉ちゃん、私の五人で紡いだ糸は籠に山盛りある。


「糸を染めましょうか」

モリーナさんはお父さんに糸を見せた。


「モリーナさんから灰汁を入れると良いと教えてもらってからトニカート様とカイルが試しています。トニカート様に確認してきます」






「トニカート様、モリーナさんから糸を染めたらどうかと言われましたが染めに入ってもよろしいでしょうか」


「そうですね。半分を染め、半分は練習用で白いままにしましょう」

トニカート様は染めた布を持っている。

「以前に比べて洗っても落ちないくらいにはなりましたからね」


カイルが古い布を広げて見せる。

「前は薄い緑だったけれど濃い色になったよ」

染めを試した布は綺麗な緑色になっていた。


「明日から糸の色染めと白布の機織りの練習を始めましょう」





糸の色染めはシロフ糸をカイル兄に渡してしまったのでどうやって染めているのかわからない。

花、草、木の皮、実、色々なもので試しているようだ。


私達はシロフ糸を布にしていくために、モリーナさんから機織りを教わる。

「ゆっくりで良いので丁寧に織ってください。一度失敗すると取り返しがつきません。緩みや歪みも目立つので均等に力を入れてください」


「難しいですね」

お母さんが眉間に皺を寄せている。私も足がつりそうだ。お姉ちゃんが一番上手だと思う。

ハンカチ一枚の大きさを三日かけて織った。

「なんか…変な形」

私の布は所々でこぼこしている。

「お母さんのも四角にはなってないわね」

お母さんもでこぼこ。

「お姉ちゃんは出来た?」

お姉ちゃんが布を見せてくれる。

「アイカほどでこぼこでは無いけれど真っ直ぐでもないわ」

三人で布を見てため息が出てしまう。


「初めから上手には出来ませんよ。練習あるのみです」

モリーナさんは意外と厳しい。


キラナちゃんはまだ機織り機に足が届かないので糸を紡いでいる。練習用と言っているけれど私が紡いだ糸よりもとても綺麗だ。



織る糸が無くなるとまた糸を紡ぐ。カイル兄の染めの練習用も必要なので沢山紡いだ。



糸を紡いでは布を織っていく。




「合格です。とても綺麗です」

「やったぁ」

モリーナさんから褒められた。糸紡ぎを始めてから2カ月はたった。お姉ちゃんは一週間前、お母さんは昨日合格した。


「染めも出来ているので、染めた糸を使って織っていきましょう」

「「「はい」」」



染めた糸で作った布は綺麗だった。私達はハンカチ一枚の大きさの物を織った。


モリーナさんはカイル兄達が少し前に完成させた染めた糸で布を織っている。

布団や服が作れるくらいの大きさがある。


モリーナさんの織った、出来上がった布を広げて見ると、とても綺麗で優しい色合いだった。


お父さんがトニカート様に報告に行くと、

「見に行きます」

と、トニカート様がカイル兄を連れて作業場にいらっしゃった。


「出来上がりましたね」

布を広げたトニカート様は嬉しそうだ。

「早速父上に、ヤマニーラ家に持って行きます。きっと喜びますよ」

布を見てうんうん頷いている。


「トーマス、私が領都に行っている間も布を作ってください。私が帰ってくるまで村の人にはまだ話さないように。その辺りも父上と相談してきます」


トニカート様やお父さん、お母さん、モリーナさんが今後の話をしている。


「カイル兄、染め液って使っても良いのかなぁ」

私はずっと聞きたかった事を聞いた。

「どうして?」

「練習で作った白い布が沢山あるから染めたいなぁと思って。織り方は上手ではないけれどせっかく作ったから染めて何かつくろうかと思ったの」


「それ良いわね。私もやりたいわ」

お姉ちゃんもやりたいらしい。


「お母さんもかな」

「お母さんもたくさん白い布があるからやりたいと思う」

お姉ちゃんがお母さんに聞きに行った。カイル兄もトニカート様から許可をもらわないと出来ないと言って聞きに行く。


「後から白い布を染める事はサーランではやった事がないです」

話を聞いたモリーナさんが困っていた。


「丁度良いので白い布の染めをやってみましょう」

トニカート様から許可が出た。




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