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会議



村長さんが村に帰ってきたのは10日もたってからだった。驚いた事に村長さんは馬車に乗って、御者になっていた。

「ただいま」

馬車と村長さんを村人で迎える。

「お帰りなさい。あなた、その馬車はどうしたのですか」

奥さんが聞くと(村の人もうんうん頷いている)

「領主様から頂いたんだ。これから必要だろうからって言われてね」


村長さんの言葉を聞いて村の人達が話し出す。

「村長さん、シロフを売るのか」

「畑はどうするんだ」

「作業する小屋がいるぞ」



「待て待て、今日夕御飯の後、村会議をする。領主様と決めた事を話すから皆その時まで待っててくれ」

村長さんに言われて皆仕事に戻って行った。





お父さんが村会議に行った。もう寝る時間なのにまだ帰ってこない。

「きっと今日は遅くなるからもう寝なさい」

お母さんに言われてお姉ちゃんとカイル兄と私は布団に入る。私達兄妹も大きくなってきたけれど掛け布団は一人一枚あるから寝る時、とても暖かい。

敷き布団は部屋が狭いので一人一枚はないけれど床一面に敷いてある。随分ぐっすり寝られるようになった。



「おはよう」

朝起きて朝食を食べるために台所に行くと、皆がもう起きていた。

「ご飯を食べながらお父さんの話を聞きましょう」

お母さんに言われて席に着く。

黒パンと野菜のスープ、三年前と同じだけれど黒パンも、野菜スープの野菜も量が増えている。


「昨日の村会議の話をするよ」

お父さんがぐるっと皆を見た。


「シロフなんだけれど、畑を増やして栽培する。ただ、ガイト村だけでやろうとすると森を開拓しないといけないし人も足りない。隣のトイル村にも栽培してもらう事になった。

これは、領主様がトイル村に話をしてくれるそうだから大丈夫だと思う」

「お爺ちゃん、お婆ちゃんに会えるね」

私が言うとお父さんが頷いて頭を撫でてくれた。


「シロフの種を取ったり洗ったりほぐしたりはガイト村でやるから作業場を領主様が建ててくれる」

お父さんがゆっくりとお水を飲む。


「そして、一番大事な事なんだけれど、帰りに村長さんにお父さんだけ呼ばれて、シロフの糸の話は誰にもしてはいけない。と言われた」

お姉ちゃん、カイル兄と顔を見合わせて、首を傾ける。

「どうして?」


お父さんが村長さんから聞いたのは、糸と布を作る事が出来れば一大産業になるだろうと領主様が言っていた事。今この話が他に漏れればガイト村やヤマニーラ領だけでなく他からも参加してのシロフの争奪戦になる。


今シロフから糸が出来るのを知っているのは、村長さんが出かける直前にお父さんが話をしたのでうちの家族と村長さん、マークさんと領主様の周りの人のみだ。


シロフ糸を作る事を秘匿出来る準備が整うまでは秘密にする事を領主様から言われたそうだ。

その間に領主様が糸車や織り機を探してくれる。


「なんだか大事になってしまったわね」

お母さんのため息混じりの言葉に皆で頷いた。





今日は午前中、村長さんの家で勉強会。村長さんは昨日馬車で帰ってきた。そう、ガイト村に馬が来たのだ。

お姉ちゃんは勉強会を卒業したので私はカイル兄と早めに家を出て勉強会の前に馬のいる村長さんの家の裏に行く。お父さんが厩舎もそのうち作ると言っていた。


「「いた」」

もしゃもしゃ、桶に入っている草を食べている。

とても大人しそうな馬だけれど、動物は食事中は手を出してはいけないと聞いた事があるから、見ているだけだ。

「あれ、カイル兄、あの馬、隣の桶の物も食べているよ」

「あっ、あれ、シロフの種だ」

「白いシロフの種だね。食べても大丈夫なの?」


「村長さんを呼んでくる」

カイル兄が走って村長さんを呼びに言った。


そういえば、黒くなったシロフは次の年の種として蒔いているけれど白いままのシロフの種は蒔くには早いので今まで捨てていた。


もしかして食べられるの?



村長さんとカイル兄が戻って来た時にはもう桶は空になっていた。


シロフの種が入っていた桶は捨てる予定だったので問題はないと言って村長さんはすぐに家へ戻っていった。


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