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ふわふわ



真っ白なシロフをひっくり返す。だいぶ乾いてきたなぁ。私は籠を作りながら時々シロフを見に行ってひっくり返していた。


愛佳の時にこの後何かで叩いてゴミを出したり柔らかくしていたけれど、よく覚えていない。とりあえず手でほぐしてみよう。


乾いてきたシロフを揉んだり引っ張って広げたりしてほぐして行く。ふわふわしてて触ると気持ちが良い。これで完成でいいと思う。


5日かけて全てのシロフを干してほぐした。夜になると家族皆でほぐしていた。だんだんとふわふわになっていくシロフはとても気持ちが良く、お姉ちゃんが「ふわぁ」と言って頬擦りをしていたのを見て皆で笑いながら真似をした。


「お母さん、シロフを寝る時のゴザとゴザの間に入れてみてもいい?」

私の目的は布団を作る事なんだけれど今は布団にする布が一枚しかないからこれは掛け布団用にして、敷布団は諦めて二枚のゴサの間にシロフを入れようと考えていた。


「いいわね。楽しみだわ」

「とうとうシロフを使うのか」

「今日のアイカの仕事はシロフのゴサ布団を作る事ね」

お母さん、お父さん、お姉ちゃんが順番に私の頭を撫でる。

「うん、今日の夜を楽しみにしててね」



床にゴサを一枚引きその上にシロフを並べていく。端の方から順番になるべく同じ厚さになるように気をつけて敷き詰めた。


ゴサ一面にシロフを敷けば次はその上にもう一枚のゴサを乗せるのだけれど…


出来なかった


くっついて寝ているとはいえ5人で寝ているゴサは大きい。一枚目は丸まっている所をコロコロと転がして広げたけれど上になるゴザはシロフがあるから転がらない。


『あれ、よくよく考えててみると、シロフを挟んだゴサって片付ける事が出来るのかな』


昼に帰ってきた家族に途中まで出来たゴザ布団を見てもらう。

「この上にもう一枚のゴザが一人で乗せられないの」

私が説明すると、お父さんとカイル兄とルー兄が

「「「せーの」」」

掛け声をかけて乗せてくれた。


「やったぁ。お父さん寝てみていい?」

「いいよ」




「うわぁ、柔らかい」

「気持ちいい」

「お父さん、お母さんも寝てみて」

カイル兄、ルー兄、お姉ちゃんがごろごろしている。

私も一緒にごろごろした。『うん、柔らかい』


お父さんもお母さんもゴサの上に寝てた。

「お父さん、お母さん、どうかな」

恐る恐る聞くと、

「気持ちいいわね。アイカ、よく頑張ったわ」

「今日は良く寝られそうだな」

二人も嬉しそうだ。

「良かった」



「あ、あのね、これの片付けをどうしたらいいかわからないの」

「えっ。アイカどういうこと?」

お姉ちゃんがびっくりして私を見る。

「ゴサは丸まるでしょう。シロフは…どうしよう」

私が聞くと、お姉ちゃんも首を傾けて考えている。

「毎回籠にしまうとか」

「それは時間がかかり過ぎないかな」

カイル兄の言うのももっともだ。


「シロフをほぐしている時に思ったんだけれど、シロフは重ねて揉むと繋がるみたいなんだ」

ルー兄がシロフを二つ持って実践してくれた。

「本当だ。なるべくシロフを繋げておけば、片付ける時に丸める事が出来るんじゃないか」

カイル兄もシロフを二つ揉んでいる。


「私、午後からシロフを繋げてみる」

私が手を挙げて言ったら

「頑張ってね。アイカ」

お母さんに頭を撫でられて応援された。


皆が仕事に出かけてから、私はシロフを繋げていく。

もみもみ、引っ張り、合わせてまた揉む。

時々、持ち上げてみて繋がっているか確認しながら。

全てを繋げる事は出来なかったけれどそれなりに繋がっていて片付けてみるとシロフの塊が三つになったので、これなら大丈夫だと思う。


夜、家族皆でゴザ、シロフ、ゴザを敷いてその上に座っている。

「シロフは繋げても柔らかいままだったね」

お父さんがゴザの上から手で押して硬さを調べている。

「さあ、もう寝ましょう」

「うん」

お母さんに言われて私達がゴザ布団に寝転がると

「いいね」

「うん、柔らかい」

カイル兄やルー兄が体の向きを変えながら話していた。




その日、私はぐっすり寝た。もちろん体も痛くなかった。





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