魔道具授業01
「ちょっと待っててね。」
一度店の外に出たクリスさんが直ぐにこちらに戻ってくる。
「どうしたんですか?」
「閉店の看板を出してきたの。」
え。
「いいんですか?まだ、営業中ですよね。」
僕のためにお店を閉めてもらうのは申し訳ない。
「大丈夫よ。ちょっと位。さ、こっちに来て。」
そう言って店の奥に案内された。
休憩室なのだろうか、2人用のテーブルと椅子が設置され、キッチンと冷蔵庫がある。
クリスさんが「確かこの辺りに。」と呟きながら壁際に設置されたチェストを探っている。
「あ、あった。トーヤくん、とりあえず座って頂戴。」
促されて椅子に座ると、対面に座ったクリスさんが先程チェストから取り出したものを
テーブルに置く。
さっき見た契約用の魔道具だ。
「これは説明のための魔道具なの。実際には契約を結べない代わりに何度も使える優れものよ。」
「へぇ。便利ですね!」
「でしょう。ちなみに、魔道具の使い道は何?」
そんなわけで、僕の転生のことは省いてカルミアのことを話した。
「おじいさまから継いだ宿を守るために・・・。何て良い子なの~。」
クリスさんが号泣していた。
「あの、大丈夫ですか?」
こんな反応は予想外だったので、どう対処すればいいかわからない。
「ごめんなさいね。ちょっと待って頂戴。」
豪快に鼻をかみ、涙を拭く。
「ふぅ。落ち着いたわ。」
頬を両手でパンと挟みこちらに向けて笑う。
「事情は分かったわ。魔道具の使い方はあたしがしっかり教えてあげる。」




