買い出し2
「今日の食費浮いちゃいましたね!」
もらった分と宿にあるストックで足りるということで、結局リリンさんのお店では何も買わずに帰ることになってしまった。
「今度お礼をしないといけないね。」
いただいた野菜の入った袋は、アルが「私が持ちます。」と主張するのを押し切り僕が持っている。
本当に力持ちだとしても女の子に荷物を持たせるのは気が引けるのだから仕方ない。
「そうですね。今度リリンさん好きなのチャパイがを持って行きましょう。」
「チャパイ!?」
チャパイとはクラナイに出てくる体力回復アイテムだ。
「トーヤさんもチャパイが好きなんですか?」
僕のリアクションが大きすぎたからだろうアルが目を丸くしながら聞いてくる。
「あ、うん。そう。好きなんだ。」
思わず答えてしまった。でも、食べたいのは嘘ではないですよ?
クラナイはそのグラフィックの質の高さが好評であり、登場する料理もとても美味しそうなのだ。
ちなみに、チャパイはオムレツのような見た目の料理である。
「じゃぁ、明日にでも作りましょうか。」
あの美味しそうな料理が食べれるのか。楽しみだ。
そんな話をしながら来た道を戻り、肉屋、魚屋と回って食材を買っていく。
結構な量を買うので、僕だけでは持ち切れずアルの出番となった。
力持ちの言葉に嘘はなく肉およそ10㎏を楽々と片手で持っている。
「トーヤさんがいてくれて助かりました。いつもは嵩張って中々量が買い込めないんですよねー。」
なるほど。重さは関係ないわけですか。
「でも、こんなに買い込んで大丈夫?保存が効かないんじゃない?」
お客さんが来る見込みがないのに明らかに3人では消費できない量の食材だ。
買っているときから不安に思っていたことを質問してみる。
「大丈夫ですよ。燻製にしたり干物にしたり保存が効くように加工しますから。」
「そんなことまでできるの?」
確かにアルが作る料理は美味しいけど、そんなことまでできるのか。
「自信作なんですよー。今度トーヤさんにも出しますね。」
また一つ楽しみが増えてしまった。
・・・食ばっかりだな。
本来の目的を忘れがちだけど、カルミアを繁盛させると誓ったはずである。
うん、明日から頑張ろう!