表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖獣の血族  作者: 魔獣
8/14

狸穴ユイ

数日後のある朝、私は昇降口でお気に入りのチェリーレッドのブーツを脱いで上履きに履き替える。

下駄箱の反対側から女子生徒の談笑する声が聞こえる。


「あれ知ってる?狼男が出たって話!」

「聞いた聞いた!でも嘘でしょ?ありえないって」

「杏奈がみんなに言って回ってるみたいだけど、みんな引いてるよ」


多分、映画の話だろう。

確かに人狼はホラー映画のスターだ。

これを名誉とするか不名誉とするかは私には分からない。

他愛もない会話など気にも止めず私は教室に向かった。

机に教科書やノートを入れていると隣の席の狸穴まみあなユイが興奮気味に話しかけてきた。オカッパ頭に黒縁メガネをかけ少しぽっちゃりした子だ。

どこか狸を思わせる雰囲気がある。


「ねぇ、月影さん知ってる!すっごい!すっごいのよ!」


ユイの西洋人のように彫りの深い顔立ちがハイテンションな口調をより大げさに見せる。


「何かあったのかい?」


あまり興味がなかったが訪ねてみた。ユイがまってましたとばかりに語り出す。


「実は学校の近くの公園に狼男が出たのよ!」


ユイが目を輝かせる。

私は何だか凄く嫌な予感がした。


「狼男なんて本気でいると思ってんのかい?」


私は冷めた口ぶりで言った。


「それがそれが!何と目撃者が写真を撮ってたらしいのよ!」ユイが拳を握りしめながら熱く語る。

しかし狼男、男だと決めつけてるようだ。

人狼にも女はいるのにね。


「その写真とやらも偽物だろ?今は特撮やら加工やらでいくらでも作れんだし」


私は冷めた態度を取った。

何だか自分が好奇の目にさらされてるような不快さがあったせいもある。


「冷めてるわねぇ…なら一緒に写真を見に行きましょ!」


ユイが私を誘う。


「どこに?」

「目撃者の朝風杏奈先輩の所よ」

「知り合いなのかい?」

「全然、だからいろいろ聞きたいんだけど躊躇しちゃうのよね。月影さん一緒に来て!」


別に私はユイと友達でも何でもないんだが一方的になつかれている。

ただ今回ばかりは私もユイの話を聞き流せなかった。なぜなら写真の人狼が私かも知れないからだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ