ストリートギャング
高嶋の顔が阿修羅の如く憤怒相に変わった。
「てめぇら何者だ!あんま舐めてると痛い目見るぞ」
高嶋がバイクの連中に凄む。
校門の前で睨み合う両者。
番長の後ろにはサラサラ茶髪とアイパーの2人の子分だけ、戦えば圧倒的に不利だ。
「俺達は泣く子も黙るサイコ・ウォリアーズよ」
バイク集団のドレッドにヒゲを生やした男が言った。サイコ・ウォリアーズの名前は私も聞いた事がある。
この街で勢力を拡大しているストリートギャングらしい。
「この前はそこの兄ちゃんに世話になったからなぁ〜そのお礼参りに来てやったぜ!」
ドレッド男はそう言いながら番長の後ろにいる茶髪の男を指差した。
「タケル、あいつと知り合いか?」
高嶋が子分の茶髪の男に尋ねた。
「高嶋さん、あのドレッド野郎がうちの生徒からカツアゲしてたんで俺とヤスでヤキ入れてやったんスよ!」
タケルが声を荒げながら言った。
ヤスというのはもう1人のアイパーの男だろう。
高嶋がニヤリと笑った。
「お前らよくやったな!それでこそ男だ!俺達は確かにワルよ。だけど弱い者を苛めるような卑怯者は許せねぇんだよ!」
高嶋がタンカを切るとバイクの連中がざわつきだした。
「今時、硬派とか流行らねんだよ!」
「雑魚がほざいてんじゃねぇぞ!」
「テメェらどうなるか分かってんだろうな!八つ裂きにしてやるよ!ギャハハー!」
狂ったように吠えるギャングたち。
「お前らのアタマを出しな!タイマンで決着を付けようぜ」
高嶋がタイマンを持ちかけた。
「アホか!ネロ様がお前ら如きを相手にするわきゃねーだろ!」
ギャング達の中でも一際、巨体のスキンヘッドの男が吐き捨てるように言った。
おそらくネロ様というのはサイコ・ウォリアーズのボスだろう。
「ネロ様の代わりにこの骸羅が相手してやるぜ!」
スキンヘッドの男がバイクから降りた。
身長は2メートルを超え発達した筋肉は岩のようだ。
凶暴そうな顔に革の眼帯を付けピッチリした黒いタンクトップに下半身はルーズな軍パンを履いている。そして手には柄の長いハンマーを持っていた。あんなもので頭を殴られたらひとたまりもない。