月守学園
月曜日の朝、私は睡魔にまとわりつかれながら遅刻寸前で校門をくぐる。
紺色のブレザーとスカートに紫のネクタイが制服だけど私は面倒だからネクタイはしていない。
私が通う月守学園は偏差値は底辺だが不良高校としては一流だ。
朝っぱらからタバコをふかしながら登校する奴や露骨にイチャイチャしてるカップルが当たり前のようにいる。
バギュオオオンッ!!
爆音が背後で轟いた。
後ろを振り返るとアメリカンバイクに乗った連中が校門の前に来ていた。
ドレッドやモヒカンの凶悪そうな連中が10人ほどバイクを空ぶかしさせている。
どいつも見慣れない顔ばかりだ。
どうやらうちの学校の生徒ではないようだ。関わると面倒なので足早に歩くと前方から後ろに子分を連れたガタイの良いリーゼントの男がやって来た。
確かうちの学校の番長だ。
「あいつらは危険だ。早く逃げな」
番長が通りすがりざまに私に言った。
みんなから慕われているだけあって意外に優しい男なのかも知れない。
「俺が月守の番長の高嶋だ!お前ら何しに来た!」
バイクの集団に近づくと番長は大声を張り上げた。
すると馬鹿にしたようにバイクの連中が笑い出した。