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聖獣の血族  作者: 魔獣
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怪人の正体

死体はどうやら全身の血を抜き取られているようだ。

だが誰が何のためにこんな事をしたのだ。


「こっ…コイツはタケルじゃねぇか…」


高嶋が声を震わせ呟いた。

よく見ると死体は高嶋の子分のタケルだった。


「タケル…何で…誰がこんな事しやがった!タケルはなぁ仲間思いの優しい男だった。そんなタケルを誰が…」


高嶋の目から涙が流れ出す。


「俺からのプレゼントは気にいったかよ〜番長さんよぉ〜」


不気味な声がしたかと思うとさっきのピエロが現れた。


「タケルは中学の時からの俺のダチだ。敵は絶対に討ってやる…」

「おぉ〜威勢がいいね!来いよ!」ピエロが手招きをした。

高嶋は素早くピエロに接近する。

ピエロも拳を握り応戦態勢を取るがどこか高嶋の気迫に押されているようだった。


「このクソ野郎がぁ!」


高嶋がピエロの顔面に強烈な右ストレートを叩き込んだ。

よろけながらも態勢を取り直す。

ピエロが高嶋の左膝に蹴りを入れ反撃する。

だが高嶋は痛みをこらえピエロの胸ぐらを掴み引き寄せると容赦なくたこ殴りにした。

だがピエロはどこか力を抜いてるように見える。


「お前がやったのか!お前がタケルを」


マスクの隙間から血が流れ出す。

高嶋がマスク引き剥がすと、下から現れたのはヤスの顔だった。


「ヤス…お前が何で」鼻と口から血を流しながらヤスが笑う。


「俺だよ。俺がタケルを殺したんだ…」


ヤスがそう言うと優勢だった高嶋が膝を付いた。


「おう……うぅ…ヤス、テメェ!」


高嶋が倒れた原因、それは脇腹にナイフを突き刺されたのだ。


「俺はアンタに憧れてた。だけど同時に憎かった。結局、アンタは俺を都合のいい子分だと見下してた!俺はペットじゃねぇぞー!」


脇腹を押さえ苦しむ高嶋をヤスが蹴り倒した。


「ヤス…どういう事なんだ?」

「俺は中学時代に苛められていたのを高嶋さんに助けられてアンタに付いていくと決めた」


ヤスが遠くを見つめ語る。


「だけどな…気づいちまったんだよ。アンタも俺を苛めてた奴らや先公と同じ。俺を見下して優越感にひたってたんだろ!」

「違う!俺はお前を大切な友だと思っていた!!」

高嶋が叫ぶ。

「だけどネロ様は違う。俺に強い力を与えてくれた。そして俺を家族として受け入れてくれた…」

「ネロ様だと…」


ヤスが高嶋を足で踏みつける。

私は素早くヤスの背後に回り込み羽交い締めにし持ち上げバックドロップをお見舞いした。


「事情はよく分からないけど…アンタはやり過ぎた。今度は私が相手になるよ」


私はヤスを地面に叩きつけるとすぐに起き上がり身構えた。

ヤスも軽やかに起き上がる。前に見た時とは印象が随分違う。


「俺は高嶋さんみたいに喧嘩も強くねぇしカリスマ性もない。タケルみたいにイケメンでもない…ずっと2人の影に隠れて地味な人生を送るのが怖かった。だけど今は違う!俺は生まれ変わったんだ!はははーっ」


ヤスが狂ったように笑う。

その表情には得体の知れない自信と友さえも捨てる冷酷さがあった。

ヤスが私に詰め寄り足を高く垂直に上げ蹴りを繰り出してきた。

私は両腕でそれを受け止めた。

その後すぐさま地についた方の足に足払いをしてヤスを転ばせた。

ヤスはすぐさま起き上がり拳を連打してきた。

私も応戦し打ち合った。

ふと油断した瞬間にヤスはポケットから銀色に光るものを取り出した。


「くたばれやぁ!」


それは小型の拳銃だった。

ヤスが私に狙いを定める。

そして銃声が鳴り響いた。

弾丸は私を庇うために飛び出した高嶋の胸部を貫いた。


「冴…借りは返したぜ」


そう言って微笑むと高嶋は血を吐いてバタリと倒れた。

私は回し蹴りでヤスの拳銃をはじき飛ばし、さらにその足で腹に全力の蹴りを食らわせた。

ヤスは10メートルほど後方に飛び転倒した。

地面に倒れた高嶋の周りには血の水たまりが出来ていた。


「大丈夫かい?!!」


私が声をかけても高嶋はピクリとも動かない。

だが、まだ息がある。

私は高嶋の首筋に噛みついた。人狼に噛まれた人間も人狼になる。私のために撃たれた恩人を救う唯一の方法だった。

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