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聖獣の血族  作者: 魔獣
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孤独な人狼

私が自宅のアパートに帰る頃には当たりはすっかり真っ暗になっていた。

幼い頃に両親を亡くした私は家賃3万円のボロアパートで1人暮らしをしている。

共同の鉄製の階段を昇ると足音が辺りに響き渡る。

隣の家の住人は高校の教師らしいが夜でも電気が付いていない事がよくある。

今日も留守のように窓の向こうは真っ暗だが多分いるのだろう。

とにかく変わり者が多いが住人同士の付き合いはほとんどないので気楽だ。

私は部屋に入るとまず居間と寝室を兼ねた部屋で寝そべった。

天井を眺めながらボンヤリしていると高嶋の話をふと思い出した。

サイコ・ウォリアーズの背後に人ならざる存在がいるかも知れない。


その話が本当ならそれは私と同じ種族なのかも知れない。

私はこれまで自分の父以外の人狼に出会った事がない。

もしかしたら今、世界中に1人だけの絶滅危惧種だとしても不思議ではない。

例え人間のように無意味な暴力に溺れていようと仲間がいるなら会ってみたい…。

そう思えるほど今日の私は弱くなっていた。だが世界各地に伝わる人狼や獣人の伝説から私の祖先達が命を繋いで来た歴史を感じる事が出来る。

人狼はリカオンスロープとも呼ばれる。

リカオンとはギリシャ神話に登場するリカオン王の事だ。

リカオンは主神ゼウスを人肉でもてなした罰により狼に姿を変えられたらという。

ロシアのイゴーリ戦記には狼に変身し雪原を駆け抜けるフセスラフという王が描かれている。

私はリカオンやフセスラフの末裔なのだろうか…とりとめのない空想が時間を忘れさせる。

少なくとも人間と私たちの種族の接触が神話や伝承に影響を与えたのは間違いないだろう。

窓の外に見える雲の衣を纏った月に問いかけても答えは返ってこなかった。

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