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06・ユニークブルー

 スタートダッシュボーナスの結果はヒットポイントの八割を回復するポーションが千本。

 格闘ゲームで三日も経たずに早々に心が折れ、その後は博物館(ミュージアム)に入り浸っていたにしては有用なアイテムが貰えたと思った。


「お兄ちゃん、何その格好!」

 昨晩、食事を終えた僕は遠方で生活をしている妹の由那(ゆな)とエデン内で会う事になっていた。

 噴水のある公園の様な場所にログインし、その景色を楽しみながらふらふらと歩いていた僕を見付けると開口一番で驚いた様に由那は言ったのだった。


「その酷いデザインの呪われそうな仮面といい、髪も綺麗に無くなっちゃって……」

 博物館(ミュージアム)に初めて行った日、色々とアバターを貰ったりもしたが、同時にハゲにもなったんだった。

 暑いだの寒いだのと云った感覚はエデン内では感じる事が無い為にハゲにされていた事をすっかり忘れてしまっていた。


「お兄ちゃん、その格好じゃ一緒に歩く私が恥ずかしい!」

 そう由那に言われ、場所を移動する旨の確認ダイアログが目の前に表示される。

 由那は先にどこかに移動したようだが、僕の格好についての場所なのだろう。

 ダイアログの確認を了承し、僕も妹が先に移動している場所に転移した。


 アバターが転移した先は落ち着いた雰囲気を残しながらも派手な装飾で飾り立てられた店が立ち並ぶアーケード街だった。

 そのアーケード街の入り口を思わせる場所には銀色のアーチ状ゲートがあり、その上部には"秋葉原宿街道"と漢字でこの場所の名称らしきものが示されているのだった。


 このモールで歩く人々は八龍(パーロン)で見掛ける人達とは違い、原色を基調としたファッションの人が多い様な気がする。

 由那の格好も白い大きな水玉をあしらった目を奪われそうに鮮やかな赤のフレアスカートを身に着け、そのスカートとは対象的に抜ける様な爽やかな青いジャケットを合わせ、足元のお洒落だが活動的な要求も満たせそうなスニーカー。

 その一見全てに纏まりを感じない様な主張の強いファッションアイテムが一同に介する事により、まるではじめからその様にあしらえたものの様な調和を生み出している。

 他にもアンティークな人形が着用しているような現実味の無いモノクロを基調とした派手な服を着ている人もそれなりの人数が居るるのも確認できるた。

 八龍(パーロン)が雑多な人の情熱と呼ばれる熱に圧倒されそうな場所だとすれば、この(モール)は溢れんばかりの情報を無理矢理に圧縮し、その情報の波に呑まれない為に自らがより多くの情報量を纏って人々が抗っているそんな感覚を覚える街だった。


「由那が拠点(ホーム)に登録している秋葉原宿(あきばはらじゅく)よ。」

 どうやら由那に連れて来られた場所は日本のファッション発震地(はっしんち)として知られた日本の繁華街をモチーフにした場所に来たようだった。

 かつてメガフロートが存在していた東京湾は大規模な地震に見舞われた際、液状化現象によって埋立地としてその土地面積を増やして来た場所は海底に帰する事となった。

 一時期はこの埋立地のメガフロートを復旧させようとしたプロフェクトも多数存在したとの事だったが、いつの頃からかその投資に見合うだけの見返りが期待出来ない為に、プロフェクトの多くは頓挫したとの事だった。


 かつては高層ビル等が立ち並んでいた場所は現在では浅瀬になっており、水面からはかつての高層ビルを望むことができる。

 海上にから生えるかつての巨大な建築物達は現実世界に存在する非現実的な光景であり、現在では海外からの観光名所になっているとの事だ。

 倒壊の危険の無い場所から船上クルーズするツアーが人気と云うのを何かの情報で目にした事がある。


 由那が拠点(ホーム)としているこの街並みのモデルとなった秋葉原宿もそんな震災前の東京をモデルにしたものだと由那は説明してくれた。

 その由那の説明を聞く限りでは街自体が存在していない八龍(パーロン)と似た様なものを感じた僕だった。

 実際に存在しなくなってしまった街と云うのはそれだけで想像を刺激する媒体となるのだろうか?

 八龍(パーロン)秋葉原宿(あきはばらじゅく)と云う、現実に戻れば存在しない街に僕は想いを馳せる。


「それで?何で僕は由那の拠点(ホーム)に呼ばれたんだい?」

 先の文句から想像すれば僕をこの(モール)に連れて来た事は何となく理解は出来る。

 だが意地悪く僕は妹にそう聞いてみた。


「お兄ちゃんのその格好よ、せっかくの王子様コーデが台無しじゃない!」

 僕は妹が腹を立て、そして自身の拠点(ホーム)に呼んだその意図を明かす。


「それにその仮面、大好きなお兄ちゃんの顔を隠してしまうなんて全然なってない。」

 興奮気味に由那はそう僕に言葉を投げ付ける様に言う。


「とにかく、折角の王子様コーデが様になってるのに気味の悪い仮面と清々しいまでの頭皮で台無しよ!」

 そう言って僕のアバターの手を取り、その情報量の多い街中を由那は勢い良く歩きはじめるのだった。


 勝手の解らぬまま由那に連れられた施設で僕の髪型は変更されていた。

 腰に届くかと云う程の長さになり、シャンパンゴールドの柔らかに光を反射するその髪は丁寧に結われ、着用したアバターだけで無く見た目そのものが貴族と言っても良いような物になっていた。


「流石、由那自慢のお兄ちゃん。」

 由那は様々な角度から僕のアバターを眺め、愉悦に浸っているようだった。

 僕はそんな妹の様子に引き気味になった訳だが、由那はそんな僕にお構いなしと云った様子だった。


「それで?由那が一緒に遊びたいと言っていたのはここで過ごす時間の事じゃないだろ?」

 秋葉原宿(あきばはらじゅく)梅上(うめかみ)通りと呼ばれるアパレルショップが立ち並ぶ通りを由那と歩きながら僕はそんな事を呟く。


「エデンをはじめてからお兄ちゃんはどんなタイトル(世界)で遊んだ?」

 唐突に由那はそんな事を聞いて来る。


「コロッセオで遊んだくらいだな。」

 ここ数日は博物館(ミュージアム)で数々のレトロゲームで遊んではいたが、それはタイトル(世界)として購入している訳では無いのでノーカンだろう。


「コロッセオを経験したんじゃ、お兄ちゃんスタートダッシュで相当良いアイテム貰えたんじゃないの?」

 由那は期待した声でそんな事を聞いて来る。


「スタートダッシュで貰ったのはこれだな。」

 僕はスタートダッシュで貰った回復アイテムを取り出し由那に提示した。


「一週間もコロッセオに居たのに貰ったのがこれっておかしくない?」

 由那は納得できないと云った様子の声でそんな事を言う。

 僕は何故そうなったかの経緯を妹に説明した。


「なぁんだ、お兄ちゃんすでに拠点(ホーム)持ちかぁ。」

 由那は溜息混じりにそんな事を言った。


拠点(ホーム)?」

 僕は由那みたいに八龍(パーロン)をログイン場所として登録している訳では無かったので、そう言われた事に違和感を覚える。

 だが、妹の話を聞くとログインする場所を登録していなくとも自身の落ち着ける場所がある人も拠点(ホーム)持ちとして扱われるのが一般的なのだという。

 そんな妹の説明に理解は出来たものの僕は納得出来ない状態でいた。


「それで?一緒に行動するタイトル(世界)は何?」

 僕は妹にその真意を聞く。

 由那はみっつ年下で四月からは中学生になるが、その年齢に見合わない程に計算高い。

 僕のアバターの見た目を気にしたのも今後エデンで行動を共にする際に自身の格付けを落とさない為の投資の意味も含めて変更してくれたのだろうと僕は推測した。


「流石お兄ちゃん、話が早くて助かるわ。これは都市伝説みたいなものなんだけどね……」」

 由那はあっけらかんと言って、まるで怪談話でもはじめるかの様にゆっくりと言葉を続けた。


「去年辺りからね、まるで人が操っているんじゃないかって対応をする(NPC)が様々なタイトル(世界)で現れるようになったって云うのよ。」

 出来の良いゲームであれば柔軟な対応をする(NPC)なんてものは最近では珍しく無いと八龍(パーロン)の常連達から聞いていた。

 実際、八龍(パーロン)の街中を歩いている(NPC)達も僕からしたらかなり柔軟な反応を返してくれると感じるものだし、由那の話す事もその延長から派生した噂話のひとつなのであろう。


「別に今までよりも柔軟な反応を返すだけの(NPC)なら珍しい話でも無いんじゃないか?」

 技術と云う物は常に進化を続ける。

 何故由那がそんな話題を僕に話し、それが妹と行動を共にする理由になるのかが理解出来なかった。


「それが特定のタイトル(世界)に限ってなら……ね。その噂になっているのはタイトル(世界)を渡り歩き、強力なアイテムやスキルをドロップするらしいから話題になっているのよ。」

 通常(NPC)を倒したとしても極僅かなクレジットしかドロップ出来ない。

 しかしエデンで直接クレジットを得られる機会は限られており、(NPC)を殺してクレジットを得る者も存在する。

 プレイヤー同士の戦闘が許可されている以外の場所でアバターを倒した場合、殺人者として一般のプレイヤーと区別する為にその名前の表示色が度合いによって黄色や赤色に変化する。

 プレイヤーキラー(PK)と呼ばれる者達だが、エデンではこの様な存在を蔑みの念を込め色付き(カラード)と呼称するらしい。

 そもそも(NPC)は戦闘する事を想定していない為、戦闘が行える場所に存在する事自体が稀である。

 タイトル(世界)を渡り歩く、戦闘可能エリアでも見掛ける事がある、アイテムやスキルのドロップが確認されている。

 由那が都市伝説の類として話しているそれは通常の(NPC)では説明のつかない行動をしていると云うものだった。


「で、お兄ちゃんは由那と一緒にそのユニークブルー(自我のあるNPC)を捜すのに付き合ってもらいたいの。」

 由那はおもしろい玩具を自慢するような口調で楽しそうに言う。


「なんで僕なんだ?僕はエデンをはじめたばかりの新参者(ニュービー)だ。由那の探し者は色々知ってるベテランの方が適切じゃないのか?」

 計算高い妹が僕と組んでユニークブルー(自我のあるNPC)を捜すと云うのはどう考えても非効率的としか言えない。


「こう云うのは変に色々知ってるベテランより先入観を抱かない新参者(ニュービー)の方が何かと都合良いのよ。それにね……」

 由那はそう言った後、一呼吸の間を空け言葉を続ける。


「エデンはゲームよ、大好きなお兄ちゃんと一緒に楽しい時間を過ごしたいじゃない。」

 そう悪戯っぽい声色で妹は言うのだった。

 コンビニおでんの美味しい季節になってきましたが、それに至るまでに気温の急激な寒暖が繰り返された事もあり、中身の人は軽い風邪をひいたようです。

 とは云ってもそんな酷いものでも無く、何となく頭が重いと感じる程度で発熱等はありません。

 その風邪を理由に執筆が遅れてはいけないと、必死にキーボードの前に座りましたが、やはりこう云う執筆作業に影響するのか、今回はなかなか筆が進みませんでした。


 そんな中、執筆活動に限らずPCの前で座っている事の多い私は気付いたら密林でヘルスケア座布団と低反発腰まくらと云う、長時間椅子に座っていても疲れ無いぞと云う商品をポチっていました(^^;


 それと執筆活動に関連の最近はじめた取組みと云うか、手元に置いておく物の話題がもうひとつ……

 私自身は持ってる引出しが多く無い為にネット上で調べ物をしながら執筆している事が殆どです。

 それ故、それを自分の中で消化しながら執筆している訳ですが、意外に脳への糖分補給って必要なんですよね……

 そんなんでブラックサンダーを大人買いして、机に常備する事にしたんですよ。


 これ、意外に良いですね。

 でもそのせいでちゃんとした食事をする事も減ってしまい、それを行ったのが良かったのか悪かったのか……

 とりあえず箱買いしたブラックサンダーが無くなってから、その件については再考したいと思います。

(おかげで机周りはブラックサンダーの包装紙が散らかると云う惨劇を経験する中身の人であった)


 そして机周り関連の話題でもうひとつ、自分の机周りって現在は何も無くて寂しい状態なのですが、少し華が欲しいなぁなんても思っていたりします。

 そんな中、ちょっと気になっているのが、ガンプラの美少女フィギュアシリーズとも云うべき、チナッガイって云う商品が気になっているのですが、購入しても作る時間なんて無いよなぁ…と(苦笑

 組むにしても多分"自分だけの"って部分が欲しいから既製品で無く、プラモデルとか購入すると思う訳ですよ。

 そうすると色々と弄りたくなる訳で、はたしてそれだけの時間が取れるのか?と疑問が残る訳です。

 しかしオッサンと呼ばれる年齢の人が美少女フィギュアを見ながら……うん、無いわw

 そう思って、買ったつもりで新規PC購入の為の貯金箱にその購入代金分をそっと入れるのであった。


 "もうひとつ"と言いながら結構色々書きましたが、これがここ最近の中身の人の近況であります。


 それではまた次回の後書きでお会いしましょう。

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