1話 報酬はランダムスクラッチ
とある少年雑誌の懸賞プレゼントで、どうしても欲しいと思った物がある。
限定二十名様と書かれたAR対応ヘッドマウント型端末と連動手首端末、ゲームプログラムの三点セットだ。
普通に考えればVR全盛期にそれを先取るARを謳う製品は怪しいモノなのだが、ネットで飛び交う噂では一セット三十万はするんじゃないかと言われていた。
この時ばかりは雑誌社がすげー太っ腹と思ったものだ。
俺は雑誌を小遣いの限り購入し、専用ハガキを出した。
その枚数、40枚!
後悔なんてする訳ない。気分はこれだけ出せば当たるだろうってなもんだ。
後から知ったけど、当時同じ学校のクラスメイトの大半が五枚から十枚出していた。
みんな、大人げないよな。
それでだ。半年してその雑誌社から封筒が届いてさ、中から『当選のお知らせ』っていう紙が出てきた時は、叫んだね。おーー神キターって。
俺、その手紙を震えながら読んだよ。しかも三回も。
そして、当選連絡をもっと早く出せって怒りがこみ上げてきたんだ。
何となく予想つくだろ?
「通信機能付きヘッドマウント型ゲーム端末引き渡し可能日を二週間も過ぎていた。」
発送日よりも引き渡し可能日が前ってマジ、あり得んわ。
仕方ないしさ、その怒りを雑誌社にぶつけたんよ。電話で。
そしたらさ、オッサンが出てきてさ、
「はい」しか言わねーの。
なんかお詫び出せよって言ったらさ、
「すみません」しか言わなくなってさ、またキレたんだよね。
いい加減にしろって。
そしたらさ、後日このゲームに隠された秘密の鍵を教えます。他言しないで下さいってなもんで、二つ返事でこっちがハイハイ言ったさ。
クレームって凄いね。速達で翌日には届いたんだ。その秘密の鍵が。
詳しくは言えないけど、これが今俺が置かれた状況を作った原因。
いや、まじで。
リセット出来ないからさ、呪いみたいなもんなんだよ。助けてくれよ。
さっきまでの威勢はどこに行ったのか、すがりつく友人。その右手には外せなくなった手首端末。
強引に外そうとした爪痕も残っている。
仕方なく、その男の手首端末の記録を漁る。
総リスポン回数 1764821回
体験キャラクター数 1
被弾率 46.3%
所持技能一覧
・R6(レジェンド) 孤高の旅人
効果
全てのプレイヤーを敵に廻す。代わりに所持武器の玉数が無限になり、リロード時間も無くなる。
・R6(レジェンド) 不滅の魂
効果
生命力が尽きでも転生することができず、その場で即リスポンする。
なお、総リスポン回数には影響する。
・R4(レア) 影の囁き
効果
半径10km以内の他プレイヤーの位置、向き、高さを表示する。
・R1 (コモン)精神的安定
効果
銃撃戦時、手の震えを自動制御し、命中率を向上させる。
ー結構、えげつない。
敵だらけ、敵情報は知らされる。そして死を繰り返す。状況的には、敵地突入孤立無援。立ち上がっても立ち上がっても打たれ続け、精神的安定が有っても本人の精神は衰弱しきっている。
多分、この技能に落ち着くには特殊操作が必要で、そのやり方が書いた紙が届いたのだろう。
これも憶測だが、通常遊戯しかβ版は対応していないといわれているが、本格稼動になれば課金型キャラクターを作れる様にする。
だから特殊操作で隠した。
特殊操作をすると、スクラッチビルドと言う、キャラクターを作れる画面になる。ここでランダムスクラッチと言う宝箱を選択してスキルを取得するのだが、総合技能点が15と、飛び抜けて高い。
数体のレギュラーキャラクターを見たから言えるのだけど、約二倍近くある。
親友だから相談に乗るけれど、ある種身からでた錆びと思う。
自分が幸運と傲った事が、こうなったのだから。
そういう僕も伝説能力持ちだ。他人に聞いてではなく偶然の自力解除ではあるが。
戦場ではこう呼ばれる。
「悪戯妖精型子供兵」と。
2話は九月予定です。