第6話
「何読んでるの?」
いきなり彼女が聞いてきた。
「これ?『きみとの接点』だよ。読んだことある?」
実は彼女が読んでるのを見て借りた本。
「あ、ある。」
彼女が答える。
「ふ〜ん。その本面白そうだね。」
「うん!とっても!」
少しからかい気味に言ったのに、力いっぱい肯定されてしまった。
やっぱり可愛い。
つい顔が緩んでしまう。
それからなぜか判らないけど彼女が一生懸命しゃべってくれて、
気が付いたら外が真っ暗。
ちょっとやばいかも。
「暗くなっちゃったから、送っていくね。」
少しは抵抗があるかと思ったのにあっさり「お願いします。」って言われて少しうれしくなった。
それって、僕と一緒にいても良いってことだよね。
隣に彼女がいる。
彼女と話せて、一緒に帰るっていうオプションまで付いたうれしさで忘れてたけど、
彼女には好きな人が・・・。
でもほんとにそうだって確定したわけじゃないし。
よしっ、ここは事実確認を。
「ねえ、いつもサッカー部のほうを見てるけど誰を見てるの?」
少し恥ずかしそうな答えが返ってくると思っていたのに、
彼女は不思議そうな顔をして、
「? おにいちゃんだけど?」
といった。
へ?おにいちゃん?
じゃあ好きな人じゃないのか。
は〜よかった。
「そっか、おにいちゃんか。」
そっとつぶやいた。
じゃあ、彼女に好きな人はいるのだろうか?
「じゃあ好きな人いる?」
僕の疑問は知らぬ間に口から飛び出していた。
彼女は驚いたように僕の眼を見たまま固まってしまった。
その顔がだんだんと真っ赤になっていく。
この反応ってもしかして・・・///
金縛りが解けてきたのか、顔を赤くしたまま、
あたふたと落ちつかなげに視線をさまよわせる彼女を見て、
僕の疑問は確信に変わった。
そして僕は彼女を手に入れるべく口を開いた。
「君が好きだよ。」
再び固まってさらに顔を赤くする。可愛い。早く返事をして?
「・・・私も//」
小さな声で彼女がささやいた。