第5話
う、上手く笑えたかな?
なんだか凝視されている気がするのは気のせい?
どっかへんかなぁ。
次の瞬間、彼は笑った。
か、かっこいい。
私に笑ったんだよね。
どうしようこれを機に何かおしゃべりでも・・・
う〜、話題話題・・・なんでもいいや。よしっ
「何読んでるの?」
知ってるけど・・・
「これ?『きみとの接点』だよ。読んだことある?」
「あ、ある!」
「ふ〜ん。その本面白そうだね。」
「うん!とっても!」
本当に面白いのでつい力いっぱい断言してしまった。
私の答え方が面白かったのか、彼の顔が緩む。
そんなことより私、単語しか答えてないんですけど・・・
何とかしなくてはっ
それから何かしゃべったけどあんまり良く覚えてなくて
気づいたら帰り道。隣には彼。
暗くなっちゃったから送る。って。
初しゃべりをした上に一緒に帰れるなんてうれしくて
思わず「お願いします。」なんて言っちゃったけど、
二人っきりだよ!・・・緊張する。
ふと彼のほうを見ると、なんだか苦しそうな顔してる。
私と一緒にいるのやなのかな〜。
「ねえ、いつもサッカー部のほうを見てるけど誰を見てるの?」
彼が突然聞いてきた。
「? おにいちゃんだけど?」
私が答えると、彼はほっとしたような顔になった。
「そっか、おにいちゃんか。」
彼がつぶやく。
もしかして誤解されてた?
「じゃあ好きな人いる?」
彼に、どうやってこの気持ちを伝えようかと考えていたときに
この質問だったので、
私は彼の眼を見たまま固まってしまった。
自分の顔がどんどんほてっていくのが判る。
それを自覚して彼の顔を見ていられなくなり、
あたふたと視線をさまよわせる。
「君が好きだよ。」
彼の言葉にまた固まってしまった・・・
うそっ、ほんとに?
へ、返事しなくちゃ!
私も好きですって。
「・・・わたしも//」
私の返事は最後まで言葉にならず、
ささやくような小さな声だったが、
彼には通じたらしい。
とってもうれしそうな顔をした。