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Level.99999なので冒険せずに学園ハーレムを楽しみます  作者: ケンコーホーシ
第一章:終わらない異世界学園編
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第3話:ここは第二図書委員会

 天上院学園、高等部。

 特別教室棟の二階の隅に隠れて存在する、第二図書室。

 利用者も少ないその部屋の奥に、誰にも気づかないような扉がある。

 第二図書室、管理用資料室。


 そこに、俺たち四人はいた。


「おいおいおいおい、ちーちゃん今のはわざとだろ。今ノハ間違いなく俺を貶めようとした罠だろ」

「クリアボーナスがあるのでな。残念だが犠牲になってもらうぞ、ユート」

「うわぁぁあああ!? しぬ死ぬ!?」


 広さは教室の半分くらい、声はよく通り、ゲーム音はさらによく通る。

 無駄に防音設備があるらしく外に漏れることはないが…………、


「うるさいぞー二人ともーゲームは静かにやってくれーーー」


 室内はとてもうるさかった。


「ユート君、ちえちゃんお茶ここにおいておくね」

「ああ、ありがと、しの……って、うわぁぁぁぁあぁあ! 何ひとが横向いてる隙にレアアイテムを!」

「戦場でよそ見は禁物だぞ」

「うるせぇ! メガネ叩き割るぞ!」


 俺のさけびに、隣の女子は冷笑する。

 一見すると、知的でクールさが映える黒髪の女性で、

 スタイルも良く、見た目だけはメンバー内一番の美人だったが、

 残念なゲーム廃人なのと、なぜか学ランを着てる異常者だった。


「ほら中ボスだぞ」

「うわ、マジか」


 モニターには、アクションRPGのプレイ画面が映ってる。

 地獄が存在する異世界が舞台で、

 脱獄した地獄の囚人をあの世に還すストーリーとなっている。

 そして彼女は、よどみないコマンド裁きで、詰みやすいと噂の魔物を八つ裂きにする。

 

 彼女の名前は、泉野知恵、同級生だった。

 

「しーーのーー、わたしにもおかしーー」

「あっ、はーい、部長さんちょっと待ってくださいね」

「まて俺を盾にするな! 残機が、残り残機がマズい!」

「ユート、私を守る盾となり、剣となってくれ」

「自分で言うやつじゃねぇからそれ!」


 すると、俺の残りHPがグングン減っていき、


「さらば、ユート、冥府でまた会おう」


 俺のキャラクターが画面からDeleteデリートされた。

 あ、ああ…、とうめき後ろを見ると、幼馴染の女の子がソファに座ってる子供にお菓子を与えていた。


「どーぞ先輩」

「んーー」

「おいしいですか?」

「やっぱりしのの作るクッキーは美味いなー」


 美しい原風景がそこには広がっていた。

 背景には白い花が咲き誇っていた。

 

 先輩は完全にニートそうな見た目でパジャマを着て(猫耳フード付きだ)、

 俺の愛すべき幼馴染(天使だ)が手渡すクッキーを口でパクッと食べてた。


「はむっ」

「先輩指まで咥えないでくだいよっ」


 手を使えよ。手を。

 お前の両手は飾りか?


 そんなツッコミが浮かんだが、彼女たちの邪魔をする気は毛頭起きなかった。

 

 ちなみに、幼馴染の名前を、東雲しの。

 先輩の名前を、紅終という。


「……餌付けされた鳥みたいだな」

「なにか言ったかーーーーー?」

「いえ何も」


 過剰な優しさは、人をダメにする。

 〈働かざる者〉ニートはこうして生まれていく。

 俺は世界の仕組みを知った気になった。

 

 過剰な糖分摂取は、甘味だろうと優しさだろうと、人体に良くないぜ。

 俺はそう思いながらモニターに視線を戻すと俺のキャラが全裸になってた。

 

「何で!?」

「ああ、装備を借りたからな」

「何でだよ!?」

「死んだんだ、しかたないだろ?」

「お前が殺したんだろっ!? 少しは優しくしろよっ!」

「過剰な優しさは人をダメにするからな」


 うるせぇ、人の台詞パクるな!


「不慮の事故だ。それよりもボス戦だ。泉野知恵さんのスーパーテクを見てくれ。私は今日TASを超える」

「とっとと、負けろ!」


 俺は叫んだ。



 ◇



 ちなみに、ここは「第二図書委員会」呼ばれる組織だった。

 委員会と言う名を持つが、実態はサークルに近かった。

 詳しい事は追々説明するが、我が天上院学園高等部にある二つの図書室、

 その内の――「第二図書室」と言う小さい部屋を管理するチームだった。


 利用者の少ない場所の管理を受け持つ代わりに、

 自由に奥の管理人室を使ってよく、

 そのため、ゲームなり漫画なりを好き勝手持ち込んで、

 ソファを置いたり、お菓子を常備している最高の空間だった。


 「第二図書委員会」という形態上、学校組織に守られてもおり、

 そう簡単になくなりそうにない所もよい。

 巨大化しすぎた学内システムの隙間にできたエアポケットみたいな、

 そんな程よい居場所だった。


「ほらー、二人とも喧嘩はダメだよ。ユート君、お茶のおかわり」


 しののお茶を受け取り俺は一服する。

 こうしてポットでお湯を沸かしてお茶を淹れることもできるし。


「……ふぅ」


 落ち着いて周囲を見回す。


 同級生、泉野いずみの知恵ちえ

 冒険的職業《狙撃手》。

 巨大な魔神を片手剣で無双している。


 幼馴染、東雲しののめしの

 冒険的職業《聖職者》。

 振り向いてこちらに天使を笑みをくれる。


 ちびっこ先輩、くれないおわる

 冒険的職業《暗殺者》。

 ソファに寝転がりながら携帯ゲームに興じてる。


 俺は窓を見る。

 窓の向こう側は青く澄んでいた。

 きっと目を凝らせば、銀翼の飛行機と巨大な龍が並走しているだろう。

 地上を見れば、冒険の旅に出た元・同級生達が魔獣退治に出ているだろう。


 そうだ。

 そういう日常が俺らの世界だ。


 24年前、惑星フィールを救った最強の父、夢飼勇気と、

 エルフの最高位に君臨する最強の母、ヴァルダ・イルヴァールシュタイン。

 その二人の間に生まれし男の子。


 この俺、夢飼遊人ゆめかいゆうと

 それが俺だ。

 ちなみに、ステータスはこんな感じ。


 名前:夢飼遊人

 年齢:十五歳

 職業:高校生

 Level.99999

 冒険的職業:魔法剣士

 属性:風・氷

 生命力:99999 戦闘力:99999 守備力:99999 俊敏性:99999

 魔法力:99999 精神力:99999 運命力:254  ガッツ:3000

 固有スキル:英雄の称号、絶対戦場領域、魔王の遺伝子

 所属:第二図書委員会


 現在は世界を救う勇者ではなく、ましてやダンジョンに繰り出す冒険者でもなく。



 ずーーーーっと、ダラダラとゲームばっかして女の子達と遊んでいた。



「あークッキーうめー」


 次の瞬間、資料室の扉がガラッと開かれた。



「さぁ、ユートッ! 私と共に魔王オーガを倒す旅にでるのだっ!」



 うわっ、ヤバい奴が来た。



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