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13/18

モフ溺13 モフベリアン、4ヶ月目のピト

ぼくはサイベリアン。

生後4ヶ月の、パヤパヤでふわふわなモフベリアン。


ご主人様のところにきて、もうひとつき以上経つ。

ペットショップで過ごしたよりも長い。

心なしか、ぼくのモフしっぽもモフモフしっぽになってきた気がする。

あと、毛の色も少し濃くなってきた。

ペットショップのみんなも、もう新しいご主人様のところにいるのニャンかな。


────

その日、ご主人様は、穴だらけのキャリーケースにタオルをしき、サメちゃんを入れ、ゆたぽん(あったかいやつ)を入れ、毛布を入れ、最後にぼくを入れた。


ンナ……。

ぼくは憮然としながら、ご主人様の腕に抱えられ、どこかにお出かけさせられた。


ちなみにこのサメちゃんとは、いつもケリケリして遊んでいるので、青かった鮫肌は白っぽくなっている。

運ばれ中にケリケリ遊ぶわけにもゆかぬので、ぼくはゆたぽんとサメちゃんによっかかり、リラックススタイルになった。

真冬のお外はぼくの冬毛でも寒いけど、このゆたぽんと毛布がぬくいので、眠たくなる。

ふぁぁ……。


ご主人様はせっせと歩き、ぼくを自動ドアの中へ運んだ。

おや、ここは……。

あ、ふわふわポメラニアンがいる。かわいいのニャン……。

ぼーー……。


ン?


あれ、ここ、きたことあるジャン。

ご主人様は、他にも席があいてるのに、わざわざポメの横に座った。

まあかわいいしな。

じゃなくて、ここは、えーと、オークション会場……じゃなくて、闇の毒針施設ニャンな?


観察していると、ご主人様は隣のポメご主人様とお話をしだした。

この場にはオークションや毒針の緊張感はなく、昼下がりのポカポカ感に満ちており、ひたすらねむたい。

ぼくはぼーっとポメのお顔を眺めた。

ポメはというと、怖がってソワソワしている。

繊細ちゃんはかわいそうニャンな。

こっちで一緒にまったりするニャンか?

うとうと……。


間もなく、例のめっちゃ狭い小部屋から呼ばれ、ぼくとご主人様は移動した。

緑服のにんげん、久しぶりニャンな。げんきしてた?

ぼくはケースからなぞの台に出される。

あ、あの時のなぞのメカの台だ。ぼくが乗せられた冷たい台のナナメ前に、なぞのメカの台があるのだ。

こんなの余裕でジャンプ届くニャン、と狙ったら、また緑服のにんげんにあわてて阻まれた。


「1.4キロですね」


ご主人様に抑えられながら、緑服のおててで、なぞの丸くて冷たいやつをピトされる。

ピト。

ピトピト。

シーン……。

なあにこれ?


「雑音が……」

「成長途中ですし、まだなんとも……」


緑服はノートに何かカキカキしている。

オークションも毒針も始まらないニャン。

クンクン。

キョロキョロ。

なんなのニャン?

かわいい猫でしょ、て自慢しに見せただけ?

あのノートにはぼくの顔とか描いてるの?

フッ、やれやれ……。


結局ピトとカキカキだけで終わり、ぼくたちは小部屋を出てきた。

なんか全然なんともなかったよ。

ぼくは怯えポメにアイコンタクトをして、またうとうとした。


4ヶ月、少し大人になったぼくは学んだ。

寒さとは、お布団の気持ちよさを味わうスパイスなのニャン。

お、これ名言ぽいからそのノートに書いといて。

ぐう。


────


「ミャ……」

わったちゃんはまだ若いから、そんなに毒針は打たれないんじゃないかな?

と、お姉ちゃんは言った。


「んーーーニャ……?」

年取ると毒針打つのかニャン?

なんでなんで?


「ミャッ……」

毒かどうかわからないけど、大丈夫だよ、ヨチヨチ……


「ンン?ンーーーナア……」

ヨチヨチじゃなくて、なんでなんで?あれなんなの?

ほかのみんなも怖がってたよ。ぼくはへいきだけど。勇者モフベリアンだもの。(褒めて褒めて。)


「ナン……」

コットンも怖かった。


「ふにゃぁ……??」


お姉ちゃんとの会話は猫語だし、猫語に細かいニュアンスの語彙があるわけでもないので、毒針についてのなぞは全く晴れなかった。


────


ぼくは大賢者、モフベリアン。

ぼくの灰色の脳細胞は、諦めない。

ご主人様は、ぼくのお爪を切るでしょ。そして、ご主人様は自分のお爪も切る。

ご主人様は同様に、ぼくの歯もみがくし、自分の歯もみがく。

ご主人様は、食べる。ぼくも、食べる。

トイレ……、おっと、高貴なぼくはここで生々しいお話しはしないのニャン。


つまり、ぼくやお姉ちゃんに毒針をうつのなら、自分にもうつのでは!?

そこから、なにかしら、ヒントが得られるのではないかニャン?

ぼくはご主人様へのガン見観察を開始した。


なぞマシンをピコピコして……、ベッドに寝転がって、なぞマシンで何かの動画を見て……、ダラダラ……。あくびをして……。寝返り……。


ぼくはご主人様へのガン見観察を中止した。

なんだ、この観察しがいのない生態は。


そもそも、あれはほんとに刺されたのかニャン?

しんじがたいニャン。

こんないたいけな子猫のモフベリアンを刺すなんて、ありえるのニャン??

でも、すごーく小さい頃も、チクッてされたような記憶がある。

うーんうーん。


ご主人様は、むくりと起きて、キッチンへ向かった。

もちろん、ご主人様が歩いたら、ぼくはその足元にまとわりつかねばならない、というモフベリアン・ルールに従う。

ごはんかな?ウロチョロウロチョロ。


ご主人様は自分のご飯をつくえに運び、それからぼくのお皿にロイヤルやわごはん(グレービーソースがけ)を入れたやつを、ぼくの檻に入れる。

そして、ぼくがもぐもぐするのを見ながら、自分ももぐもぐする。

ご主人様も、ぼくをガン見観察するのが好きなのだ。


もしかすると、にんげんも、猫のこと全然わからなくて、脳細胞を働かせて推理しているのかもしれない。

たとえばほら、このおヒゲもしっぽもないにんげん、不便ニャンな?

高いところに登ってバランス取れないでしょ?

でも、観察しても、おヒゲもしっぽも、はえないかもね。

残念だったニャーン。


ロイカナのやわごはんは、ロイヤル度マックスで、くるしゅうない。

カリカリもうまうまだけど、これはなんともよきかほりがする。

噛み心地もよい。

ぺろぺろ……。

うん、おいしいけど、ちよっと取っておこ。


ぼくはロイカナをチョイ残しして、毛づくろいして、寝てしまったので、毒針のことはわすれた。

挿絵(By みてみん)


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くるしゅうない。

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