058 2-2-6 舞台の上
元悪役なラグルスくんと1のスレ 11
402:1 ID:V1lLa1n+
決闘の時間待ちなう
控室で例の入れ替わりラブコメの5巻読んでるんだけど、主人公と入れ替わってる男キャラになんかうっすら既視感がある
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404:名無しの転生者さん ID:5PZyVgBL
>>402
ジャンルのわりにあんまり二次元ぽくない絵柄だな
405:名無しの転生者さん ID:qJfRGTx3
それ面白い?
407:名無しの転生者さん ID:RCUT9dEx
>>402
18巻とキャラが違ってないか?
409:1 ID:V1lLa1n+
内容はわりとこれ系のラブコメの王道感あって手堅くまとまってると思う
メインキャラは数巻ごとに変わってる
この世界では斬新なネタで最初期はあんまり人気なかったらしいけど今は後追いで似たようなのがいくつかあるらしい
411:名無しの転生者さん ID:wCqsy9zr
>>409
見た目ラグルスくんに似てね?
白黒だから髪色とか違う可能性はあるけど
412:名無しの転生者さん ID:5PZyVgBL
>>409
ラグルス似の登場人物と重ねてたのか?
スレで見てるかぎり見た目はともかくあんま惚れるような内面してると思えんのだが
挿絵のキャラとも性格は違ってるように見える
415:名無しの転生者さん ID:uqKO/6oH
>>412
恋愛において顔バフは強いだろ
416:名無しの転生者さん ID:ZaYM4VEH
やはり世の中顔なのか…
418:1 ID:V1lLa1n+
顔なんて死んだら変わるのに
今の私の顔は前々前世とそっくりだけど、前世はもっと違う見た目してたし
なぜかアホ毛は前々前世からずっとあるけど
というかなんでこれずっとあるんだろう……?
なんでこれラグルスくんと入れ替わっても飛び出してくるんだ……?
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421:名無しの転生者さん ID:5PZyVgBL
>>418
>顔なんて死んだら変わるのに
それは転生者だからこそ言えるセリフだろ
転生者でもそこまで割り切れる奴は少ないし
422:名無しの転生者さん ID:Ldh7TgdZ
そのあほ毛わざとセットして作ってると思ってたわ
ラグルスくんはあほ毛無いのに入れ替わったイッチには生えてるから
違ったんだな
425:名無しの転生者さん ID:hEr0iNE/
魂に刻まれしアホ毛の宿痾
427:1 ID:V1lLa1n+
>>425
このアホ毛は病だった……?
*****
「時間だ。用意はできているな?」
「あっ、うん」
ノナがアホ毛に思いを馳せていると、ラグルスが呼びに来た。いよいよ時間らしい。
彼の後ろについて扉を出て通路を抜けると、すり鉢状の空間に客席が並ぶ施設に出た。
「円形闘技場まであるなんて、いよいよめちゃくちゃなところだ……」
「ここはしきたりに必要だからな。まあ、歴代の魔術師が面白がって拡張している節もあるが」
「なんか色々やりたい放題してそう……」
円形の舞台の周囲には数人のローブを着た人たちがいる。あれは今回の決闘に関わる3人のサブマスターの部下以外から選出された審判だそうだ。闘技場の中心あたりには既にミュリノが待ち構え、そばにいる兄と何か会話しているようだ。
彼女は歩きながら周りを見渡す。それなりに観客がいる。各々何やら話したりあちらこちらを見つめたりしていて、ノナが姿を見せると客席のざわめきが増した。
「結構人がいるね。この研究所ってこんなに人が多いの?」
「決闘の際は研究員だけではなく楽園の者であれば観戦できる。7割ぐらいは街の住民だろう」
「ふーん……」
「緊張しているのか?」
振り返ってこちらを伺うラグルスの言葉に、ノナは笑って返す。
「いや全然。観客が多いのは慣れないけど、体を動かすのは嫌いじゃないから」
「その調子なら問題はなさそうだな」
「もちろん! 私の勇姿をしっかり見ててね!」
「そこまで言うなら期待しておこう」
強気な様子に彼がにやりと笑ったところで2人はちょうど戦闘の開始位置にたどり着き、その場が静まり返る。付き添いのラグルスとキュリノが舞台から降りると、審判のうち1人が声を張り上げた。
「これより魔術師としての誇りをかけた両者の決闘を開始する! どちらかの戦闘不能、場外、降参のいずれかにより勝敗を決する!」
前から突き刺さる視線にまっすぐ見つめ返す。戦い直前のピリピリした空気に気分が高揚してきた。雑念が払われ、感覚が研ぎ澄まされていく。彼女はこの、世界に自身と相手しかいなくなっていくような感覚が好きだった。
ミュリノが杖を構える。ノナも合わせて姿勢を取り、数秒。
「始め!」
合図と同時に相手へと駆ける。昨日のうちに過去の記録をさらい、身体強化をメインにした戦法でも問題ないことを確認していた。飛んでくる岩の杭を避け、時には砕き接近していく。
あと数歩も近づけば拳の届く範囲だ。が、熱を感じすぐさま飛びのく。
「深紅よ、汝の敵を灰へと還せ!」
ごう、という音とともに烈火が目の前で燃え上がる。ラグルスから事前に聞いた通り、簡単な土や岩の魔術を使う間に強力な炎の魔術を詠唱するスタイルだ。
「燃え尽きなさい!」
「そう言われて大人しく燃やされるわけがない……」
追いかけてくる炎を避ける。体を反転させながらもいくつか魔術を放つがかき消された。舞台上を走り回りながら接近しては飛びのき、隙を伺う。風を放った。かわされ、舞台に傷が残る。
実を言うと、すぐ思いつくやり方はある。ダメージを考慮せずにラグルスの体で突っ込んでいくのだ。多分、相手はこの体にあまりにもひどい怪我は負わせたくないだろう。
だがノナにこの戦法を使う気はない。それはスレッドで『外道戦法』『勝てばよかろうなのだ!』などと罵られたからではなかった。今この体を盾に勝ったとしても、おそらく彼女は納得しないだろう。また何かしら騒動が起きるのは避けたい。ノナは膿んだものは潰せ派だ。
「ラグルスくんも期待してくれてるし」
ちら、と場外に視線をやる。ラグルスが落ち着いた様子でまっすぐこちらを見ていた。彼は目が合うとかすかに頷く。
すると心なしか相手の攻撃が激しさを増した。ミュリノが悔しそうな顔で言う。
「やっぱりそういう関係なんじゃない! 寝泊りだって同じ部屋なんでしょ!?」
「いやそれは襲撃とかあるしお互いの体調とか問題ないか気になるし、あとついでに宿代も——うわっと!」
なんかこの話聞いてくれない感じ、いつかの勇者くんを思い出すなぁ。恋ってすげー。そう思考しながらも飛んでくる炎を避け、舞台中を駆け巡り、魔術を放つ。続けているとさすがに少し疲労を感じる。たまに攻撃がかすり服と、ついでに舞台も傷んできた。
そろそろ頃合いか。そう考えていると、相手も勝負を決めたいのか新たに詠唱を始めた。次いでノナも口を開く。
「地を紅に染める炎の獅子よ——」
「岩峰を抱く地霊よ——」
おそらくこれで決する。確信しながら言葉を紡ぐ。
「氷獄をも燃やし、天まで呑みこめ!」
「その爪で敵を切り裂け!」
同時に魔術が発動した。舞台が激しい爆炎に包み込まれ、ついに魔術の衝突に耐えきれなくなった石材があちこちへ飛び散っていく。数秒後、視界をさえぎる煙が消えた。かろうじて一部だけが残る舞台に見えたのは。
「うわ、髪ちょっと焦げちゃったな」
「——場外! 勝負あり!」
半径1メートルほどとなった床に立つノナと、がれきの中に座り込み顔を歪めるミュリノであった。




