002 1-1-2 ワクワクのつよつよ魔術
魔術師の拠点からすぐ、生い茂った木々によっていつも薄暗い森にて。
彼女は数メートルほど先、まだこちらに気づかず木の実をついばむ人間ほどの大きさの生き物、ニワトリに似た魔物を観察していた。
あのニワトリ魔物はラグルスの記憶の中にあった。魔物の中では魔術も使えず力が弱く、感覚も鈍いので軽く倒せるらしい。
彼女はスレッドでの話がひと段落した次の日、食料調達のためこの森を訪れている。
旅立ちの準備の際マジックバッグに入れられる物は根こそぎ入れたが、ラグルスの拠点にはほとんど食料がなかった。きっと彼の食生活はろくなものでなかったのだろう。
食料が心もとないため調達する必要がある。手っ取り早くこのあたりの魔物を狩ることにした。
魔物肉を食べたことはなく味が気になるが、前世で食べさせられていたものより不味いものなどそう無いだろう。
「っふ、ふふ、ふはは……」
彼女はニヤニヤしながらニワトリ魔物に向けて杖を構える。魔術の試し打ちを兼ねているのだ。
気分が高揚する。新しいことを試すのはいつも楽しい。
「淀み許さぬ大気の意志よ……」
詠唱。心の中の中学二年生がそわそわする。
詠唱をしなくとも魔術を発動させる事はできるようだが、詠唱は威力を上げるらしいし何よりワクワクするのだ。彼女に詠唱しない選択肢など無い。
体の中で魔力が高まり、周囲の空気にまで影響しているのが感じられた。高揚しながら詠唱を続け、最後の一節を終える。
「その咆哮でもって我が道を阻むもの全てを蹂躙せよ……！」
異常な魔力に気づいたのか、魔物が逃げ出したが既に遅い。
竜を思わせる暴力的な嵐が魔物を襲い、そして——。
*****
【悲報】最後は殺される悪役になった件
189：１ ID:V1lLa1n+
大破壊!!魔術的ビフォ→アフター
[画像ファイル]
[画像ファイル]
191：名無しの転生者さん ID:NOyRit2T
>>189
なんということでしょう
うっそうとした森がひらけた土地に
192：名無しの転生者さん ID:fa1nEB/X
>>189
木々があったであろう場所がえぐれてるんですけど……何これ……
196：名無しの転生者さん ID:Ldh7TgdZ
>>189
何をやっとるんやお前は
194：名無しの転生者さん ID:8g5rJ5Gm
イッチ魔術使えたんか？
200：１ ID:V1lLa1n+
>>194
いや、私自身は今まで魔術使えたことないよ
むかし習得したそれっぽい技も準備期間ないと使えないし
体の記憶とか知識とか漁って魔物肉の調達がてら「嵐竜の咆哮」って術を試し打ちしたらこうなった
肉は手に入れられなかった
203：名無しの転生者さん ID:uqKO/6oH
>>200
名前からして試し打ちで使うレベルじゃねーよ
加減がわかってなさすぎる
204：名無しの転生者さん ID:ZaYM4VEH
> 肉は手に入れられなかった
でしょうね
むしろそれで魔物肉残ってたら怖いよ
206：名無しの転生者さん ID:qJfRGTx3
なんでそんな名前に竜なんてついてる明らかに強い魔術選んだの
209：１ ID:V1lLa1n+
>>206
せっかく魔術使えるんだからどうせならカッコいいつよつよ魔術がいいなって……
それに前々世のお母さんも「迷ったらワクワクする方を選びなさい」って言ってたし……
210：名無しの転生者さん ID:uqKO/6oH
こんなバカに力を与えてはいけなかった
212：名無しの転生者さん ID:5PZyVgBL
>>209
お前のお母さんもこんな環境破壊の選択は想定してないだろ
ていうか体の記憶見れるんならその魔術の威力わかるだろ
215：１ ID:V1lLa1n+
>>212
ラグルスくんの体、戦闘の記憶がやたら多すぎて全部は確認してらんないよ～
毎日戦ってもそうそうこんな量になんないだろってぐらい多い
コイツ戦闘狂か？
217：名無しの転生者さん ID:8g5rJ5Gm
>>215
そりゃ世界滅ぼしたろ！って計画実行してたら戦いも増えるんじゃね
知らんけど
220：名無しの転生者さん ID:k/ngWZ8e
記憶って中には人をコロコロした時のもあるんじゃないのぉ？
スレ主大丈夫？
226：１ ID:V1lLa1n+
>>220
まあそういうのも無くはないけど大丈夫
わざわざ自分から見ようとしなきゃそういう記憶があることすらわかんないし問題無し
228：名無しの転生者さん ID:9C5y+U4x
>>226
スレ主割と図太い？
俺だったら寝込みそう
230：名無しの転生者さん ID:4SYXSMAq
自分のものじゃないとはいえ、人コロコロの記憶…………きつい……
僕だったら贖罪の旅とかしちゃいそう
233：名無しの転生者さん ID:Ldh7TgdZ
イッチは罪滅ぼしとかやらんの？
229：名無しの転生者さん ID:Samw2rAi
人コロ記憶を見たせいで気分が落ち込んだりしてないでござるか？
239：１ ID:V1lLa1n+
>>233
悪党に憑依したからって贖罪とかめんどくさい
そもそも私関係ないし……
「この体が今までこんな悪い事をしていたなんて…………！よし！これからは僕が善い行いをして罪滅ぼししていくぞ！」キラキラ
なんつって他人の罪まで背負うのはもっと治安いい板の人がやるような事でしょ
ここみたいな便所の落書きに住み着いてる私達がやる事じゃないよ
242：名無しの転生者さん ID:ZaYM4VEH
>>239
わからんでもないけど割とクソでは
243：名無しの転生者さん ID:4SYXSMAq
>>239
あのへんの板ってそんなノリなの？
絶対気が合わないな
247：名無しの転生者さん ID:5PZyVgBL
>>243
板一覧で上行くほど善人度合いがあがる傾向はあるな
前に上の方の板で書き込みしたことあるけど明らかに俺だけ浮いてたわ
249：名無しの転生者さん ID:KeCy8LvA
真ん中ちょい上あたりは普通にお人好し〜普通の人の集まりって感じだけど一番上あたりはもう聖人君子みたいなのがゴロゴロいる
過疎ってるけど
逆に最下層はやべー奴らの集まり 犯罪者が基本ステータス
ただ上も下も過疎ってる
252：名無しの転生者さん ID:a7d8VEnt
>>247>>249
うわ〜絶対行かんとこ
ワイにはこの掃き溜めがお似合いや
245：１ ID:V1lLa1n+
そういう訳で罪を償うとかは私が離れてからご本人へ……って感じ
つまり私の行動方針をまとめると「自分の体を手に入れよう！罪滅ぼし？後で本人に言ってもろて……」です
246：１ ID:V1lLa1n+
ところで森がえぐれ終わって街道に出るあたりにこんなんあったけど
どうしたらいい？
[画像ファイル]
248：名無しの転生者さん ID:qJfRGTx3
>>246
倒れた馬車？
ついに殺ったか？
251：名無しの転生者さん ID:5PZyVgBL
>>246
なんかいかにもお貴族様みたいな豪華な馬車だな
255：名無しの転生者さん ID:KeCy8LvA
>>246
とりあえず助けられそうなら助けたら？
254：名無しの転生者さん ID:8g5rJ5Gm
いつかやると思ってました
257：１ ID:V1lLa1n+
>>254
魔術の影響範囲ギリギリだし私のせいとも死んでるとも限らないじゃん！
一応人間は魔物よりこの魔術ちょっとだけ効きにくいらしいし！
こういう馬車はだいたい魔術的防御が仕込まれてるらしいし！
260：名無しの転生者さん ID:qJfRGTx3
>>257
じゃあお前のせいで死んでたらどうすんの
264：１ ID:V1lLa1n+
>>260
えぇ〜…………逃げる？
266：名無しの転生者さん ID:RCUT9dEx
うーん、この
268：名無しの転生者さん ID:ga+SlRKR0
>>264
このクズ！
269：名無しの転生者さん ID:Samw2rAi
>>264
最低でごさる！
271：名無しの転生者さん ID:a7d8VEnt
これはギルティ
275：１ ID:V1lLa1n+
軽傷！治した！！はい私無罪！！！
[画像ファイル]
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278：名無しの転生者さん ID:NOyRit2T
>>275
あらかわいい
279：名無しの転生者さん ID:qJfRGTx3
>>275
どこぞのお嬢さまwithお付きの人たちって感じ？
281：１ ID:V1lLa1n+
お嬢様「助けていただいて本当にありがとうございます。わたくし～～(名前覚えられなかった)と申します」
私「大したことはしていない(いえいえ、無事でよかったです)」
予想はしてたけど口調の自動補正機能がある模様
283：名無しの転生者さん ID:uqKO/6oH
表情も自動補正してたもんな
284：名無しの転生者さん ID:fa1nEB/X
>>281
言葉って少しの違いでかなり印象変わるから場合によってはすごい厄介
286：名無しの転生者さん ID:5PZyVgBL
>>281
名前ぐらい覚えてやれよ
289：１ ID:V1lLa1n+
お嬢「急に魔物の群れに襲われて困っておりましたの。この辺りの魔物は臆病で、滅多に街道に出ることはありませんのに……」
護衛「先ほどのあなた様の魔術で魔物がすべて吹き飛びました。あれほどの魔術を行使できるとは、さぞかし名のあるお方なのでしょう」
従者「馬車の修理まで手伝っていただいて……本当に何とお礼を言っていいやら」
なんかお嬢様にも他の人にもキラキラした目で見られてて恥ずかちぃ
別に助けようとして魔術ぶっ放したわけじゃないのに
お嬢「ぜひお名前を教えていただけないでしょうか。～～家(名前聞き逃した)の名にかけてこの御恩をお返しいたしますわ」
ここでラグルス・ヴィア・ヴォロスですって言ったら態度変わりそう……よーし名乗らず去るぞ！
私「貴様らに名乗る名など無い(いやあ、名乗るほどのものでは)」
自動補正くん！！！
291：名無しの転生者さん ID:wCqsy9zr
>>289
自動補正くんにかなり印象悪くされてて草生える
293：名無しの転生者さん ID:Ldh7TgdZ
>魔物の群れに襲われて
ほーんじゃあイッチのせいじゃなかったんか
296：名無しの転生者さん ID:RCUT9dEx
>>289
お前は人の名前にもっと興味を持て
297：１ ID:V1lLa1n+
お付きの人にちょっとムッとされつつ、引き下がらないお嬢様にじゃあっつって食料とか旅に必要なものいっぱいもろたで！
かなり大容量のマジックバッグ複数持ち……めちゃくちゃお金持ってそう
まあ私は自作の超高性能マジックバッグ持ってるけどね(ドヤ
とりあえず森に来た目的は達成できたぞ！
なんかお嬢様の顔が赤い気がするけど早く立ち去りたい！
299：名無しの転生者さん ID:RCUT9dEx
>>297
マジックバッグ自作はラグルスくんの力やろ
他人の力でお前がドヤるな
302：名無しの転生者さん ID:KeCy8LvA
>>297
>お嬢様の顔が赤い
おっ恋愛フラグか？
303：名無しの転生者さん ID:NOyRit2T
ガタッ
*****
恋愛フラグだと沸いているスレ民には悪いが、彼女は恋愛をする気など毛頭なかった。
そもそも今は他人の体の中にいる。それどころではない。
「その……魔術師様……」
目を潤ませ頬を赤らめたお嬢様が目の前にいる。
ラグルスは多少険があるものの整った顔立ちをしているし、そんな相手に命を救われた。恋に恋するような年頃の少女の反応としては当然のものだったのかもしれない。
しかし恋(仮)のお相手である彼女、あるいはラグルスの顔は——他人からはほとんどわからないが——ひきつっていた。
その思考は思い至ったひとつの考えにとらわれている。ゆえに、早くこの場を去らねばならない。
「魔術師様、もしよろしければ——って魔術師様！？」
彼女は身体強化と風の魔術を使いすぐさま無言でその場を去った。
木々の合間を飛び抜けながらスレッドを確認すると、彼女が思い至ったことにスレ民たちも気づいたらしい。
*****
【悲報】最後は殺される悪役になった件
321：名無しの転生者さん ID:ZaYM4VEH
つよつよ魔術の魔力の波動に気づいた魔物が逃げ出したのでは？
322：名無しの転生者さん ID:9C5y+U4x
馬鹿のつよつよ魔術準備
↓
感づいた魔物たちが街道方面へ逃げる
↓
馬車が襲われる
↓
つよつよ魔術発動で魔物消し飛ぶ
↓
馬鹿がお嬢さまを救出する
これで矛盾なく説明できるな
324：名無しの転生者さん ID:4SYXSMAq
>>322
マッチポンプ…ってコト!?
325：名無しの転生者さん ID:5PZyVgBL
マッチポンプで旅の準備をするな
328：１ ID:V1lLa1n+
わざとじゃないからマッチポンプじゃないもん！！！
旅の準備完了したからこのまま聖物探索行く！！！
330：名無しの転生者さん ID:4SYXSMAq
勇者がこの辺来たらえぐれた森を見て「またアイツが悪事働いてる……倒さなきゃ！」ってなりそうw
333：名無しの転生者さん ID:KeCy8LvA
>>328
いってらっしゃい
334：名無しの転生者さん ID:fa1nEB/X
お気をつけて！
