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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界で悪役令嬢になって帰ってきた話

おれが異世界で悪役令嬢になって帰ってきた話。

作者: 生姜焼き


 多分人生に目的なんて無くて、だらだら生きていくだけなんだといつも思う。

そうずっと退屈の日々が続くと思っていた、それが幻想と知らず。



 転機は16の夏、いつもどうりに過ごして蒸し暑い中寝ただけで変わらない日常、そうなる筈だった、目が覚めた時には異世界に居たんだ。


 最初は異世界転生だのなんだの騒いだがある程度育って女だと分かって絶望した、まだ序の口だったけど。


 魔法も使えたし天才とか神童ともてはやされた。有頂天になってた時学園に行くことになったんだ。

さすがにこの辺から怪しんではいたが気にしないようにしていた、都合の悪いことを目を逸らして。



 学園は地獄だった、一目惚れだったらしい王子から心込もってない愛を囁かれ、無駄にすくすく健康にスタイルよく育った体目当てのスキンシップ(セクハラ)をされ、男子達からはお茶の誘い(ナンパ)が絶えず。


 女子に陰口を叩かれ孤立していた(おれ)は頼れるべき人など要るわけ無く、心を無にして耐える他無かった。



 学園に入り一年が経つころ。

 王子の誕生パーティーでいきなり婚約破棄された、薄々予感していたがここが知りもしない乙女ゲーの世界ということは、謎に美形が多かったりで出来すぎてたから心当たりはたくさんあった。


 それで(おれ)に突き付けられた宣告は王子をたぶらかし国家転覆を目論んだことにより処刑に処す。と国王に言われた、どうでも良かった。



 心なんてとっくに壊された。何でも良かった。

牢屋に入れられた、どうでも良かった。凍える石の床で寝た、どうでも良かった。全身殴られた、どうでも良かった。磔にされた、どうでも良かった。


そして火炙りにされた、しにたくない



熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い


 苦しい苦しい苦しい

もがいてもがいてもがいてもがいてもがいてもがいてもがいてもがいてもがいてもがいてもがいてもがいてもがいてもがいてもがいてもがいてもがいて






しんだ









 そして(おれ)は目を覚ました、一昨日の出来事だ、ついさっきのように感じる、啼いた、哭いた、一日中泣きじゃくった、泣き止んでも動け無かった、親は何も言わなかった、何もやる気無くて


しにたい



しにたいんだ、そう理解した、世界が消えてゆくようだった、覚束ない足取りで立つ、どうでもいい、何でもいい、早く死のう。


 死に場所を求め外に出る。


彷徨った、死ぬ宛てなんて何も無かった、漠然と死だけを意識した、世界が色褪せてく、

「なにしてんの?」


 声がかけられる、最近聞いたようでひどく懐かしい声、振り返れば軽薄そうな態度に世界平和と書かれたダサいシャツに膝上までびりびりに破かれたジーパンの男、(おれ)に付きまとう親友を自称する男、釘屋蓮、何もしてこなっかった(おれ)に唯一話かけてきて初対面で(おれ)の家にずかずか入ってきた奴だ。ここで構うと絶対付きまとわれる、さっさと死にたいから全力で無視する。


「何で女になってんだよw」







 は?


どこかの扉ガラスにうつるのは燦々と輝く金髪、深いアメジストを思わせる紫玉の瞳、美しさを存分に表す美貌はトップアイドルも裸足で逃げ出すだろう。理不尽に育った胸はばるんと存在を主張する、それできっちり括れがありボディラインがはっきりしている、世の中の誰もが見惚れる女を体現した女がいた。


 何で、何で何で何で。


(おれ)じゃない(おれ)じゃない!ここは(おれ)が生きてのに!(おれ)はここにいたのに!何で(おれ)が!ここは狂った世界(乙女ゲーの世界)じゃない!(おれ)(おれ)のままで何でここ(現実世界)にいる!(おれ)(おれ)じゃないのに(おれ)がいる!(おれ)はどこだ(おれ)はここにいる!(おれ)じゃない(おれ)(おれ)だ!どっちも()だ!()はここにいる!だからおれは……おれは……



おれは誰だ?

















 ここはどこだ?


「起きたか?」


 釘屋、蓮、何で……


「びっくりしたぜ、声かけた固まって倒れるもんだから焦った。無事そうだったんで俺ちゃんの部屋に運んどいたぜ☆」


「何で……」


「ん?」


「何で(おれ)って分かった?何で(おれ)を助けた?何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で」



「とりあえず落ち着けよ。話せるもんも話せねーだろ、相変わらず泣き虫だなお前。」


 え?

手で顔を拭う、自然と涙を流していた、(おれ)は知らない、こんなもの(悲しさ)(おれ)は知っている、(おれ)が待ち望んでいたもの(喜び)


 いきなりお腹を抱え抱き上げられる、寝かされていたベットに座らせれる。


「泣き止んだら何があったか話せよ。」


 こいつは何時もそうだった、何かあったらすぐ構って来る、中学の時いじめられてたところを助けられて……いやあんなの気にして無かったのにお節介だったんだ、(おれ)が悩むそぶり見せれば直ぐに話し掛けてくる。語ることなんて何も無いのに。


「なあ」


口が勝手に開く。


「なんだ?」


(おれ)の言うこと全部信じてくれるか?」


「当然だろ、親友の言うこと信じれ無くてどうする。」


(おれ)さ、異世界転生したんだよ。」


「そうか。」


「でさ、女だったんだよ(おれ)。」


「おう。」


「なんかあったわけじゃ無いけどさ、学園に行くことになってさ。」


 涙がこぼれおちる。


「いきなり王子に求婚されてさ、凄い下卑た視線でさ、(おれ)のこと自分の物って本気で信じててさ、どっかのメイドに手を出した手でさ、服に手を入れてくんだよ。どいつもこいつも欲まみれでさ、(おれ)のこと値踏みした視線でしか見てこないんだよ。でも平民だからさあ、学園のお貴族様に逆らえ無くて誘われたお茶会でさ、恥ずかしい真似させられてさ、女子からは貴族の犬って言われてたよ。」


「そうか。」


「でさ、一年は耐えたんだよ、もう諦めてたから。そしたらさ、いきなり王子から婚約破棄だってよ、いつの間に結婚する事になってたんだって、そんで彼女に目を覚まして貰ったって言い出すんだ、婚約者いたのに(おれ)に手を出そうとしてきたんだぜ、最低だよな、んで国王にさ、王子にとりいり国家転覆を狙ったことにされて処刑されたんだ、馬鹿らしいよな、しかもただの平民なのに敵国のスパイだのなんだの、嗤われながら死んじゃったよ。」



「死んで目が覚めたら女のままだったみたいだよ、(おれ)、どうしたら良かったのかなぁ。」


 涙が止まらない、(おれ)じゃない(おれ)の話なのに、(おれ)の体で(おれ)が泣く。


「お前が女になった理由はなんとなく分かった。だがお前が()()()()()()のは何でだ?」


 心臓が跳ねる、何も言ってないのに確信をつかれた、突発的に叫んだ。



「分かる訳無いだろ!?目が覚めたら(おれ)(おれ)がいてさ、訳も分からず泣いたよ!こんな(おれ)の記憶なんて知らない!知りたくない!(おれ)は平凡で平穏で平坦な日常を送りたかった!なのに(おれ)が全部壊した!もう(おれ)に何も無い!だから(おれ)(おれ)を終わらせる!」


 (おれ)の気持ちを全部ぶちまけた。



「はん、言ってること支離滅裂だし矛盾してるし勝手に自己完結するし馬鹿だな“いたみ”は。女のお前も男のお前もかわんねぇじゃねぇか、この上なく馬鹿だぜ、女としての後悔も男としての選択もする必要ねえんだよ。未来見ろよ、生きてりゃどうにかなるぜ。それにお前はもうちょい親友のこと信頼しろって。出来ること何でもするぜ?」


 心にストンと入って来る、求めていた言葉を掛けてくれる、それに応えて口を開く。


「なあ」


「何でも言って見ろ。」


俺を殺して(私を助けて)。」


「……いいぜ。」


 短い返事、認めたくは無いが親友に身を任せる。



「“いたみ”だ、お前は、男も女も関係無いいたみになるんだ、生まれたての赤子のころのように無垢で、自由で、無邪気に遊ぶ心だ、複雑なことなんて何も無い原点回帰だ、お前はただの“いたみ”だ。」




 うん、そうか、そうだった、()はいたみだ、至魅、至る魅力と書いていたみ、よく変な名前と言われている、そんないたみ、おれはいたみだ、(おれ)(おれ)もおれだった、(おれ)よ、どうかこれ以上(おれ)を痛めないで。(おれ)よ、どうかこれ以上(おれ)を傷めないで。おれはおれになる。(おれ)(おれ)もさようならだ。おれはただのいたみだ。



「よし、正直こんな自己暗示で解決するなら安いもんだ。」


 ?なんか言った?


「これからどうしよ蓮。」


「とりあえず寝ろよ、疲れただろ。」



 うん、そうしよう、疲れてる気がするし。


















 寝ぼけなまこで起きる

 あー、えっと昨日は何があったんだっけ、なんか蓮の家にいたような……

だんだん思い出し……


「あああああああああああああああああああああああああああ」


「おっ起きたかw」


 恥ずかし恥ずかし恥ずかし恥ずかし恥ずかしい!


「いやー俺を殺して(私を助けて)なんて初めて言われたぜ。」



「あああああああああああああああああああああああああああ」



 落ち着くのに三十分かかった。




「それでどうだ。」


「どうって?」


「そりゃお前女になったことだよ、えらい別嬪さんになってもうて。」


「いまいち実感わかない、というかよくおれって分かったな最初。」



「いやこう男が女になっただけでお前がいたみって理解出来るんだ。」


「まじか、そういや町で歩いてても何も言われなかった。」


「多分お前のこといたみって分かってたらいたみに見えるんだろ、いたみの顔知ってりゃイメチェン程度の認識じゃねぇのか。」


「そんなレベルか?」


 まあいっか、どうでもいいかも。


「それでお前はやることあるだろ?」


「やることって?」


「身体測定☆」


「何で巻尺を取り出して、あーーーーやめろやめろーー!?服を脱がすなぁ!?」






 とある日常、少し変わったとすれば一人が女になっただけ、ただ二人の関係は変わらない、結局なんだかんだ親友続けてる二人に変化が有るならば……恋愛だけだろう。



要望が有れば



つづ……く?

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