掘り師-イーナ・トリシア
~掘り師-イーナ・トリシア~ 武器:亜空間円匙
亜空間採掘師という通り名でも知られる、彼女の仕事はとても丁寧なもので、ミネルヴァ陣営内の工作任務の大半は、彼女が請け負っている。
彼女に関しての情報は少なく、ミネルヴァ陣営内では、都市伝説的な噂が数多く広まっている。その中でも有名な話の内の一つには、ジョン・クリスタとの決闘で勝利した、などという凄まじいものがある。しかし、どれも信憑性に欠けるものが多い。
トレードマークは、仮面とシャベルだ。
そう。まるで背後に、ロイが二人いるかのような会話の流れだ。
・・
そして、すぐ後ろにいたロイが言葉を発した。
「あら。随分と早かったわね...」
「おじさん!!! そいつ僕じゃない!!! 逃げて!!!」
「もう遅いわぁ♪」
・・
次の瞬間、ロイがナイフで切りかかって来た。
同時に、触手がグリッドを再び襲う。
グリッドは、触手を受け止め、背後からの攻撃に対応できなくなった。
――サンでは押し返せんッ... 急所を外すしか方法はないのかッ...
グリッドは、致し方無く斬撃を受ける覚悟を決めた。
すると突然、グリッドの背後から黒い穴が現れる。
「な、なんだ? おじさんの後ろに何かが...」
「あら、何かしら... まぁ、関係ないわ。心臓、外さないから...」
次の瞬間、黒い穴から、シャベルを持った女が現れた。
「それは私が許さない」
「あのシャベルは!!」
・・
ロイの表情が明るくなると同時に、ロイの表情が険しくなる。
・・
そして、スコップは、ロイの斬撃を受け止めた。
「小賢しいッ... 何よこの玩具はッ...」
「あら。私の円匙のこと知らないなんて珍しいわね...」
・・
ロイの変身が解け始め、中から女が現れた。女は、ボロ布の上に、ボロパーカーを着用している。
「あなたが避役ちゃんね? リゼロア・スカーレットと名乗っているようだけど。その名前どこで知ったの?」
「どこで知ったの?... だと? 本名だがぁああ?」
リゼロアは、スコップをナイフで強く押した。
次に、リゼロアの名にグリッドが反応する。
「リゼロア・スカーレット!? リゼロアがここにいるのか!?」
「あら、極東音じゃない...」
「俺の事を知ってるのか... って、ヨンじゃ抑えきれんぞッ...」
触手の力にグリッドが段々と押され始めた。
「あぁ、あなたそう言えばそうだったわね。私に任せて」
スコップ女は、そう言って空中に何かを投げる。
「極東音。伏せて」
「嘘だろッ...」
グリッドは、咄嗟の判断で地面に伏せた。
次の瞬間、周囲が強い光に包まれる。
「スタングレネード!? 逃げるつもりかッ!」
リゼロアは、グリッドがこの隙に逃げると思っているようだ。
「いえ。逃げないわよ?」
「何?」
グリッドは、ニヤリと笑った。
「誰だか知らねぇが、礼を言っておこうッ... これでイチだ」
次の瞬間、グリッドはその場から姿を消した。
リゼロアは、目の前で起きた出来事に、驚きを隠せない様子だった。
「!? あの最弱の男... テトラから逃げられると思っているのか?...」
「まだ逃げるとか言ってるの? 戦うのよ。彼は」
「何? ヴェインにやられる様な男が、テトラに勝てるわけが...」
その時、テトラ-オクトパスが悲鳴をあげる。地面には、金属製の触手が転がっていた。
「⁑⁑⁑⁑865314だと!!?? ふざけるなぁあああああああ!!!!!!」
「こいつ言葉を...」
リゼロアは、手の力を弱めて言った。
「切ったのか... 世界最強の無人戦闘機を」
「あれは無人戦闘機なんかじゃないわ。中身は人間よ」
「人間だと?...」