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テトラ-オクトパス

“イエメン-マアリブ”


「あぁ... んぁ? なんで俺は地面に寝てるんだ?」


「あ、おじさんおはよう」


 ロイは、巨大な機械の中に銀色の立方体のようなものを入れようとしていた。


「ロイ? 何やってんだ?」


「朝御飯。って言ってもインスタントだけどね」


「インスタントかぁ。カップ麺はカレーだよなぁ」


「カップ麺ねぇ。僕、二千年代初期のインスタントはあんまり好きじゃないんだよねぇ」


――二千年代初期? インスタントラーメンは、少なくとも三年前まで、多く流通してたはずなんだが...


「はい出来た。召し上がれ」


 目の前には、星付きレストランに出てきてもおかしくない様な料理が並べられた。


「な、なんだこれは...」


「朝御飯だけど... 魚は嫌いだった?」


「いや... そういうわけではないんだが。まぁ、頂きます」


――あ... めっちゃ美味いわ...


 俺は、久しぶりの朝飯を優雅に楽しんだ。



“イエメン-サナア”


「二十四年製... 型落ちなんか送り込むんじゃねぇよ...」


 砂漠の冷たい地面の上には、かつて徘徊者と呼ばれた男の生首が落ちていた。


「キ、貴様... 何者ダッ...」


「アレス陣営一番隊隊長... それ以上の説明が必要か?」


 ジョンは、その様に生首を煽った。


「ソンナコトハ分カッテイル... 俺ガ聞キタイノハ...」


 ジョンは、生首に刀を突き立てた。


「人間様の進化は恐ろしいだろ。今の若者達の中には、超能力者だっているんだぜ。お前らAIの需要が無くなる日もそう遠くないな」


 ジョンは、そう言うとニヤリと笑った。



“クロノス領-イラク-バベル基地”


「主神。2.4.-レオンから、陽炎の戦闘データを受信しました。しかし...」


「分かっている... 死んだのだろう?」


 クロノスに話しかけていた男は、口元に指を当てて言った。


「えぇ。いくら二十四年製とは言えども、人間一人が相手できるような相手ではありません。ジョン・クリスタも、一番隊隊長とは言え人間です... やはり、アレス陣営が何らかの兵器を隠し持っていると、言わざる負えないかと...」


「あぁ。月戦以来、時空間解離も増えていた。また始まるんだよ、戦争が...」



“イエメン-西部上空”


「ヒットレイ様。テトラオクトパスの再起動が完了しました」


「ご苦労。高度を上げて、指示を待て」


「はっ」


 ホークスは、空を見上げて言った。


「三年前のあの日に、お前が俺を確実に殺してれば、こんな事にはならなかっただろうなぁ」


 ホークスは、そう言って地上を見下ろした。


「なぁグリッドォオ...」


 ホークスの無線が鳴る。


「部隊の移動。完了しました」


「分かった... リゼロア。ショーを始めるぞ」


 リゼロアが、ホークスの呼びかけに答える。


「えぇ。決着をつけましょう」



“イエメン-マアリブ”


「そう言えば、おじさんはここに何しに来たの?」


「いや、ここらの近くで、核爆発事件があったらしいんだわ。お前らもそれが原因で、クロノス陣営と争ってるんだろ?」


「え? 核爆発が起きたの? この近くで?...」


――隊長が事件を知らない? そんな事があるのか? 何かおかしい。サンドワンダーが、セーフゾーンまで侵入してきたのも、何か訳があったんじゃないか?


 その時、ロイの無線から叫び声が聞こえた。


「⁑⁑⁑⁑⁑ペスカトール様ああああああああ!!!! お逃げくださ――」⁑⁑⁑


 激しいノイズと共に無線が切れた。


「な、なんだ?.....」


「おいおい... お前らの部隊に何かあったんじゃ…」


 次の瞬間、背後に途轍もない異変を感じた。


――なんだこの気配ッ... 気持ちが悪すぎるッ...


 そして、グリッドは叫んだ。


「ロイ!!! 伏せろ!!!」


 次の瞬間、金属製の触手が壁を突き破って現れた。


「⁑⁑962102⁑200⁑89!!」


機械語(ギア・コード)!? 無人機(ドローン)かッ!!!」


 無人機(ドローン)は、触手でグリッドに襲い掛かった。


 グリッドは、それをブレードで受け止める。


「⁑⁑⁑⁑962102⁑200⁑89!!!!!!」


「ニでギリギリ受けられるのか... 何なんだこの化け物は... .」


 ロイは呟く。


「テトラ... オクトパス...」


「あぁ? 知り合いか? 随分と乱暴なご友人様だなッ...」


 そう言って、受け止めた触手を押し返す。


「テトラ-オクトパス... 終戦後に各国の抑止力として開発された兵器で、分かりやすく言えば、史上最悪の無人戦闘機(ドローン)...」


 次の瞬間、背後からロイの声が聞こえた。


「おじさん!!! 無事!? はッ... ど、どうして僕がいるんだ...」


 しかし、会話の流れが明らかにおかしい。


           ・・・・・・・・・・・・

 そう。まるで背後に、ロイが二人いるかのような会話の流れだ。

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