ななちゃんとぴょんぴょん〜じびかにいこう〜
ななちゃんとぴょんぴょんは なかよし。
あるひ ふたりでテレビをみていると ななちゃんがリモコンで てれびのおとをおおきくしました。
「ななちゃん、てれびのおと きこえないの?」
ぴょんぴょんは ふしぎにおもって ななちゃんにききました。
「うん そうなの」
「だいじょうぶ? ぴょんぴょんが おみみを みてあげる」
そういって ぴょんぴょんは まほうのつえをだしました。
「ぴょんぴょん ぴょんぴょこ ぴょんぴょこぴょーん ちいさくなーれ!」
まほうで ちいさくなった ぴょんぴょんは ななちゃんの おみみに はいりました。
「わあ これ なにかなあ」
おみみの おくへ おくへと すすんでいくと おおきな いしのようなものが ありました。
「おおきな みみあかだ。これで きこえにくいのかな?」
もうすこし おみみのなかをみようと ぴょんぴょんは おおきなみみあかをよけて おみみのもっとおくに すすみます。
すると いきどまり。
そこには うすい しろい まくのようなものが あります。
「こまくだ。 ここにおとがあたって きこえるようになるんだよね」
ぴょんぴょんが こまくをよくみていると、むこうから だれかのなきごえが きこえてきました。
「えーん えーん」
「だれか いるの?」
ぴょんぴょんがきくと、 こまくのむこうがわに だれかが やってきました。
「きみはだれ? どうして ないているの?」
「わたしは ななちゃんの おみみのようせい。 いま、ななちゃんのおみみに おみずがたまって ないじで ういるす や さいきんといった ばいきんたちが あばれているの」
おみみのようせいのそばには ドロドロのおみずがあります。
そのおみずのまわりで ばいきんたちが おおさわぎをしていました。
「ばいきんばいきん ウィッシッシ
はなみずドロドロ たのしいな」
「このままだと ななちゃんの おみみが きこえなくなっちゃうかもしれないの」
「それはたいへん! すぐ じびかにいって なおさなくっちゃ」
ぴょんぴょんは ななちゃんの おみみからでて、 ななちゃんに おみみのようせいからきいたはなしを おしえました。
「じびかってなぁに? こわいところ?」
ななちゃんは とてもしんぱいそうなかおをして ぴょんぴょんに ききました。
「じびかは おみみとおはなのびょうきを なおしてくれる びょういんだよ。 だいじょうぶ! ぴょんぴょんも いっしょにいくよ」
「うん! ぴょんぴょん ありがとう!」
そしてふたりは もりにあるじびかへいきました。
「ななちゃーん しんさつしつにどうぞ」
なまえをよばれて しんさつしつにはいると おみみのせんせいと かんごしさんが まっていました。
ななちゃんは ぴょんぴょんといっしょに
いすにすわりました。
「ななちゃん こんにちは おみみがきこえにくいってきいたよ。 ぼくに おみみを みせてくれるかい?」
「うん」
せんせいは かんごしさんから おみみのなかをみるどうぐをもらって ななちゃんのおみみをしらべます。
「ちょっと みみあかが おおいから おみみのそうじきで おそうじするね」
そういって せんせいは ほそいくだを ななちゃんのおみみにいれて みみあかをすいだしていきます。
すいだされたみみあかは かんごしさんがよういした ティッシュのうえに だされていきます。
ななちゃんは こわかったけれど、ぴょんぴょんがいてくれたから がんばれました。
「わあ、すごい! みてみて こんなにおおきなみみあかがでたよ!」
せんせいにいわれてみると ほんとうにおおきなみみあかでした。
まるで こんぺいとうみたいに ごつごつしています。
ぴょんぴょんが ななちゃんの おみみのなかでみつけた おおきなおおきな みみあかです。
「すっごーい! おおきすぎだよ〜!」
ななちゃんとぴょんぴょんは おおきなみみあかにびっくりして おおわらい。
「みみあかがとれたから、 こんどは このカメラで おみみのなかをみせてね」
せんせいは ななちゃんのおみみに カメラをいれて おみみのなかを かくにんしていきます。
ななちゃんは おみみのなかが もぞもぞして すこしくすぐったかったけど がまんしました。
カメラは どんどん おみみのなかを すすんでいきます。
「あらら、 おみみのなかに おみずがあるねえ。 こまくのいろも あまりよくないね。 これじゃあ たしかに きこえにくくなっているかもねえ」
そして せんせいは、 ななちゃんのおみみが ちゅうじえん というびょうきに なりかけているね。 といいました。
「せんせい、 ななちゃんのおみみは なおるんですか?」
ぴょんぴょんは しんぱいになって せんせいにききました。
「だいじょうぶだよ。 ちゃんとはなみずをとって、 おくすりをしっかりのめば かならずなおるよ」
せんせいのことばに ぴょんぴょんと ななちゃんは ひとあんしん。
「それじゃあ これで はなみずをすいとるね」
せんせいは くだに はなみずをとる どうぐをつけて いいました。
「やだよ、こわいもん」
ななちゃんは みたことのないどうぐに びっくりして ぴょんぴょんをぎゅっとだきしめました。
「そっかあ、 でも ちょっとだけがまんしてくれると うれしいな。 はなみずにはね、 ばいきんさんが たくさんいて、 とらないと おみみのほうにいって おおあばれしちゃうんだ」
「え? そうなの?」
「あっ、 ぴょんぴょんもみたよ。 ななちゃんのおみみで ばいきんたちが おおあばれしていたよ」
「そんなの やだよお」
ななちゃんの めに なみだがぽろり。
「そうだね。 だからなおすために はなみずをとろうね」
ズルズル
ズゴゴゴゴ
はなのきゅういんきに ななちゃんのはなみずが どんどん すわれていきます。
「おくちでいきしてね〜。 はい、はーってして」
かんごしさんが ななちゃんに やさしくおしえてくれます。
ななちゃんは きゅういんが とてもこわかったけれど、 かんごしさんのいうことをまもって、 はなをすわれているあいだ おくちでじょうずに いきをしました。
「はい、これでおしまい。 よくがんばったね。 ばいきんをたおす おくすりをだすから、しっかりのんでね」
「はーい!」
おはながすっきりした ななちゃんは げんきにおへんじをしました。
ちょっとだけ ないちゃった ななちゃんだけど、だいすきなぴょんぴょんが そばにいてくれたから がんばれました。
「それじゃあ、 モクモクやって おかえりだよ」
ななちゃんは はじめてみるきかいに びっくり。
きかいからでた ホースにつながれたマスクからは しろいけむりのようなものがでています。
「やだよお こわいからやりたくないよお」
ななちゃんは しんさつしつから にげだしたくなりました。
「これはネブライザーというきかいで、 のどや おはなのひりひりを おてあてしてくれるおくすりがでるんだよ」
かんごしさんが やさしくおしえてくれます。
「あっ! このモクモク、いちごのにおいがする!」
ぴょんぴょんのことばに ななちゃんも モクモクの においを かいでみました。
「ほんとうだ すごくいいにおい!」
ななちゃんは だいすきないちごのにおいに モクモクが すっかりこわくなくなって、 がんばることが できました。
「はい、 おくすりだよ。 おだいじにね」
「ありがとうございました」
ごほうびのシールと おくすりをもらって ななちゃんと ぴょんぴょんは おうちにかえりました。
「ななちゃん、 じびかはどうだった? 」
「ちょっとこわかったけど、 だいじょうぶだったよ! おはなもすっきりして きもちよかったよ」
「おくすりをちゃんとのんで はなみずをきちんとかめば よくなるんだって。 おみみのようせいさんもよろこぶね」
「うん」
ふたりはにっこりわらって それからいっしょにおやつの ドーナツをたべました。
おしまい
4歳の娘が耳鼻科デビューしたのですが、毎回大暴れをするので、耳鼻科はどうしていくのか、何をするところなのかということをわかってもらえたらなと思いながら作りました。
幼児向けなので、すべてひらがなとカタカナしか使っていません。
もし親御さんがこの作品をお子さんに読み聞かせたいと思ってくださるのなら、ぜひ、「ななちゃん」をお子さんの名前に、「ぴょんぴょん」をお子さんのお気に入りのおもちゃの名前にして読み聞かせてみてください。
いろいろな方に楽しんでいただけると嬉しいです。