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最終章 『春のマリア』  作者: 松島 雄二郎
騎士学一学期 短話編
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お正月の暇つぶし 裏設定編

 本編ではあまり語られない裏設定。

 彼らはなぜ反目しいがみ合い、時に関係を修復したり決裂するのか?

罪業

 いわゆるカルマ値。犯した罪が精神の傷となり悪への変容を促す罪業の堰。

 無垢・善・良・中庸・罪・悪・魔・神聖と呼び表すことも可能なこの数値は基本的にどんな生命もまずは無垢(カルマ値0)から始まる。罪を犯したと精神が判断する度に傷を負いカウントが上がる。

 無垢なる子供が親に投げかける心無い言葉は互いを傷つけ、子の心にも消えない傷を与える。罪の味は背徳の甘美なり。

 心の傷は八つの段階があるが大きな枠組みでは無垢・善良・中庸罪・悪魔・神聖となる。良好なコミュニケーションを築ける相手は大きな枠組みの中までと考えてよい。善なる者は良なる者と友諠を育めど、中庸には苛立ちを覚え、罪と悪と魔とはけして分かり合えない。神聖など害虫がごとき汚らわしさを覚える。

 好例としては初遭遇時のリリウス(神聖)とフェイ(中庸)がよいだろう。当初は反発し続けたフェイだがユークリッド大森林を越えた後に和解の方向性をやや示した。中庸の精神がカルマを得て罪へと変化したのだ。

 中庸から罪人へ。大きな枠組みにおいては同じ段階なれど罪を知ったフェイが傍らをちょろちょろする最大罪業への小さな理解を見せたのだ。

 そして背徳の都ローゼンパームでの日々がフェイを次なる段階である悪へと押し進めた。悪は無垢を軽蔑し善良を鼻で笑い、中庸へは一定の理解を示し、悪魔にも理由があると考える。そして進化の先に存在する神聖には隔意ある敬意を抱く。

 ああはなりたくないがあれはあれで凄いやつなのかもしれないという檻の中の猛獣を見ている気分が近いのかもしれない。

 例外としてガレリアのキリングドールは生まれついての魔。殺害の王を宿したリリウス・マクローエンは中庸なれど自覚なき神聖。善良なる彼の家の子弟が無自覚にリリウスに苛立ち拒んだのは精神の在り方の問題であろう。自覚がなかろうと彼はおぞましき神聖であるのだから。

 毛嫌いしつつも妙に気の合う父ファウルとの良好な関係は父もまた魔に属する男であるからだ。

 また無垢はすべての罪業を差別しない。無垢なる精神は未だこの世に悪があることを理解しておらず、笑顔を向ければ笑顔が返ってくると無邪気に信じているからだ。無垢ならば最大罪業とて受け入れることが可能なのだ。

 カルマを得る方法は無数に存在する。罪とは法的な罪ではなく自らの精神を傷つける行いであり、どんな軽い罵倒であれど自らが後悔を抱いたなら最小のカルマと云えよう。

 最も多くカルマを得る方法は同族殺し。魂が忌避する大きな罪だ。

 カルマを減衰させる最も簡単な方法は神への奉仕または神殿への喜捨となる。行いが大事なのではない。自らを許せる心境に到ることのみが精神の傷を癒す。これにより大きな枠組みの中でのみになるがカルマ値が減少する。良き人が善なる人へと戻り、罪人が中庸に戻る。

 だが自らを悪だと自覚する者が善良に立ち返ることだけはけして無い。

 悪を自認しながら喜捨をしたから俺は善なる存在だと嘯く精神こそが悪と言える。否、そこまで来れば神聖の兆しを見せているのかもしれない。



現時点における作中人物のカルマ値


神聖=もうダメだこいつらという超絶の精神の在り方

 リリウス・マクローエン「俺は救世主だ。皆がそう信じてくれる限り俺はそう振る舞おう」

 ステルスコートの妖精さん「マスター君いじり楽しい!」

 ラスト・アルチザン「うふふふ、異端者には死を。死を以てその罪を清めないと♪」

 アルヴィン・バートランド「うん? 私は正義だよ?」

 ルキアーノ・ルーデット「正義はルーデットの名の下にある! チェエエエンジッ、アバーライン!」

 ティト=プロメテア「……あぁボクこいつらと同じ枠組みなんだ(一番の害悪)」



魔=最大の罪人の称号を受け入れた者ども

 ダルタニアン=アルルカン・ローゼンパーム「罪は消せぬ。過去は消えぬ。私自身が忘れようとこの思いが風化しようとな……」

 銀狼シェーファ(クリストファー)「レティシア、君へと捧ぐ花束を作るためなら罪も痛みも恐れはしない」

 ファウル・マクローエン「人斬りに落ちた身で今更なんの罪を恐れようか。血塗れの道なのはわかっている。だがそれでもこの剣が帝国のためとならんと願って……」

 アルド・マクローエン(精神汚染)「……え、本気ですか?」

 ナシェカ・レオン(キリングドール)「ナシェカちゃんは天使なんですけど?」

 ジャイフリート=ナルシス・イルスローゼ「ルキアーノに負けた気がするのが癪だな。もう少し殺すか」

 イザール(頭のおかしいパカ政府代表)「神聖は魔の上位ではないよ。言うなれば頭のおかしい連中の巣窟だ」



 フェイ・リン「血を纏いて突き進んできた先がここであるなら受け入れるさ。どうせ悪なら強き悪であろう」

 ガーランド・バートランド「我が覇道こそが帝国の唯一生き残る道。そのためなら幾千万の罪とて背負おう」

 バランジット・セルジリア「悔やんできたさ。口に出した願いは覆らない、振り下ろした刃は振り上げる前には戻せない。だがせめて俺がやるべきだった。それだけのことだ」

 ラキウス・マクローエン「魔に到れば出世も叶うかな?」

 アルトリウス・ルーデット「己が信じる道こそが正道なのだ。とはいえ我が子が二人とも神聖とはね(クソでかため息)」


 ロザリア・バートランド「……納得がいかない」

 ファラ・イース「おかしいわね、とっくに神聖のつもりでしたのに」

 バトラ・マクローエン「ラトファ、ファルコ、この並びを少しだけ嬉しいと思ってしまった俺を許してくれ」

 ユイ・ファザンゼール・アルテナ「納得いきません。私絶対善の側なのに」

 レテ「自覚はあるの。フェイと一緒に行くって決めた日からこの罪を背負うって決めたから」

 ルールズ・アズ・エイジア「……ま、仕方ないと諦めているのですぅ」

 コパ・ベラン「主より許しを賜ったとてこの罪悪感は消えない。むしろ中庸に戻らずに安堵しているよ」

 ライアード・バーネット「妥当なところだ。魔王の呪具使いとしては頑張っている方だと思うね」


中庸

 バイアット・セルジリア「一番上にいるやつと同室なんだけど……」

 リザレア・マクローエン「ルドと同じ枠ってのはなんか……いやいいけど」

 ルドガー・マクローエン「マクローエン家はどうかしてる。俺がしっかりしないと!」

 ファトラ・ガランスウィード「尊師ドレイクがいないのだが?(ガンギレ)」

 アーサー・アルチザン「善とか悪とか言葉遊びに興味はないよ。ラスト姉上が神聖なのは得心がいったけどね」

 ルル・ルーシェ・ユルゲン・クライシェ「まぁこんなところだろうな」



 エリンドール・フラオ「異論なし」

 クロード・アレクシス「善の側にあってホッとしたような足りないものを示されたような。うん、いかんな。おかしな事を考えてしまいそうだ」

 コンラッド・アルステルム「よしっ!」



 マリア・アイアンハート「あいつら罪深すぎでしょ」

 リズベット・カーネル「赤モッチョが悪いやつの一番上にいるなー(どん引き)」

 ウェルキン・ハウル「そうか! ナシェカちゃんと仲良くなるのに足りなかったのはカルマ値だったのか!(どうしようもないほど悪の側に向かない発言)」

 イルドシャーン・ザナ・デモン・ジェイル「己が心を偽り己を悪と認じる者は総じて幼児性を捨てきれておらぬのだ。王者ならば誰に恥じることもなく己が覇道を信じ貫け」

 ウルド「クランの連中がほとんど悪の側なんじゃが……」



無垢

 ファティマ・エントア「すべてはアシェラ様の御為に」



 なぜそこにファティマがいる!!!?

 度を越した狂信者は己の過ちを認めない。すべては神への奉仕であり自らの行いはすべてすべてがアシェラ神への奉仕であるからだ。完全に無敵の人だ……


 なお運気とカルマ値に関係はない。種族王の多くは支配の異能『黄金律』を有しており、マリアの異常なまでの強運はこれに寄るだけの話だ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 気付くのが数日遅れたことが悔しいです。一覧にされると、よりキャラの性格が捉えやすくなりました。 [気になる点] ナルシスが神聖ではないことにとても驚きました。だってアイツ、前日譚で「80万…
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