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最終章 『春のマリア』  作者: 松島 雄二郎
いかさまカジノ激闘編
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噂の悪夢の後日談

 ―――最近寝ても疲労が取れない。


 朝日が出て間もない早朝に目覚め、二度寝をしたい誘惑と戦いながら起き上がる。デブも起きたらしい。


「おはよう。……顔色悪くない?」

「かもしれん」


 眠いせいで小粋な返しができないぜ。マジで疲れてるらしい。

 顔でも洗ってサウナに入れば目が覚めるだろってことでお風呂セットを手に部屋を出る。


「そういえばリリウス君って悪夢の調査をしてたよね。あれって解決したの?」

「忘れてた」

「マジか……」


 いやそれどころじゃねえんだよ。

 最近夢にナシェカが出てくる。毎晩出てくる。毎晩あいつを抱いてる。もちろん夢の話だ。……夢の話なのに日に日にテクが上がっていくんで色々仕込んでる。

 正直楽しい夢なんだけどこうも毎日だと不安になる。っていう話をデブに披露すると半笑いで……


「なるほど、なるほど、あー、そういう……」

「これってやっぱりナシェカに本気になっちまったのかな……」

「ナシェカさんが本気になってるんだと思うなあ」

「……呪いでも飛ばしてきてんのかよあの女。なんか恨み買ったっけなあ」


 まぁこの線はないだろ。俺の魔法抵抗力を通せる呪いって何だよ。ナシェカは身体能力こそ極上に高いがそこまでの術者じゃねえぞ。やはりデブはポンコツだな。


 早起きは三文の得というが早朝ともなると朝は混雑してる井戸に誰もいない。この格言を考えついた人は本当に賢いと思う。電車は空いてる。コンビニも空いてる。都民なら大喜びだ。


 ポンプから水を汲んでバシャバシャ流す。タライで顔を洗っていると……

 無人のはずのバイアットキャンプから誰か出てきたんですけど!


 ナシェカだ、ナシェカが出てきた。ここ男子寮なんですけど!


「うぅぅぅ朝日がつらい。あ、桶借りるね」

「返せよ」

「井戸で桶借りて返さなかったやつ見たことないんだけど」


 ナシェカが眠そうな目をこすりながら桶に顔をつける。ダイナミックな洗顔だな。そんなナシェカを背後から見下ろす俺氏。……やはりナイな。恋じゃない。


 ナシェカの尻を見ても興奮しないし濡れぼそった黒髪を見ても興奮しない。コレ恋ジャナイ。


 潜水時間チャレンジくらい長くタライに顔をつけていたナシェカが……


「ぷはあ! よし、しゃっきりした!」

「そいつはよかったな。つか何でテントにいたんだよ、男子寮の男子の意味ってわかるか? ここ男子寮だぞ」

「知ってる知ってる。じゃあリリウス、今夜もよろしくね?」


「何か約束してたっけ? って帰りやがった。何なんだあいつ、マジで呪いでも飛ばしてきてるんか?」


 ナシェカが帰っていった。謎だ。

 もしかしてキャンパーに憧れでもあるんだろうか?


「ねえリリウス君さっき言ってた悪夢の調査だけどさ。もうしなくてよさそうだよ」

「あん。そうなのか?」

「うん、だって被害者はもう出てないし。リリウス君しか出てないし」


 デブがよくわからんことを言った。こいつたまに変な事言うんだよなあ。

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