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最終章 『春のマリア』  作者: 松島 雄二郎
聖と魔のフロントライン
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悪夢の森②

 箱庭迷宮に閉じ込められた。何者が敵なのかをわかっていて嵌められたのは油断だ。……ファラとの再会で動揺したってのは認めるよ。


 さて、脱出するのは当然としてどうしたもんだろう?

 そう考えているとファラがサイドポーチをごそごそ漁り出す。けっこう長く漁ってる。そんな小さなポーチにそんな時間かかるかな?って感じだが……


 二分くらいかけてポーチから取り出したのはポーチと同じくらいの大きさのランタンだ。探す必要あるって感じの大きさだ。最初からそれ一個しか入ってなかっただろって言いたくなるような大きさだ。まぁ普通の人の感覚ならね。


「それってマジックバッグだったんだ」

「あら、知ってるはずでしょ、わたくしの持ち物はみんなマジックアイテムよ」


 そのセリフ超格好いい! 世界一の大財閥の総帥だけが言える嫌味にならないセリフ!


 どうせそのバッグも俺のように自分の魔法領域と魔法力を消費する必要がない高級品なんだろうな。救世主より装備品の品質がいいとか……


「≪導きの灯よ、正しい道を示せ≫」


 文言を唱えてマジックアイテムのランタンの火が灯る。闇が退き、火の輝きがレーザーみたいに一直線に伸びていく。


「もしかして正しい道を教えてくれる系のアイテム?」

「そうよ。文言でだいたいわかったでしょ?」


 わかったけどさあ……


「それ迷宮でも使えるの?」

「使えるわよ」


 さらっと言い切られたぜ。さらっとすごいアイテム取り出してくるのがファラさんだ。なにしろ俺でさえ欲しくてしょうがない品をさらっと持っている。

 新興のLM商会ではこういうところでまだまだイースに及んでいないんだよな……


「さあ行きましょ」

「は…はい」

「は…はい」


 ナシェカさえもすでに気圧されている事実よ。ファラって一緒にいるだけで格の違いを見せつけてくるからなあ……


 襲い来るアンデッドどもを適当に蹴散らしながら突き進んでいく。ファラが召喚した上位精霊が燃やしてくれるので楽ちんだ。

 俺もナシェカもずっと変な顔してる。


「ピンチだと思ったけどね」

「ピンチ感は全然ないよな」


 俺も本当はこんなこと言いたくないんだけどよぉ。

 財力は無敵だ。やっぱイースはすげえわ、敵う気がしねえよ。



◇◇◇◇◇◇



 雨が降ってきた。

 悪夢の森に立ち込める死の魔法力は濃く、雨はより強く死の魔法力を人体へと侵入させる、危険な雨だ。まったくデスってのは知れば知るほど厭らしい神様だよ。


「休憩しよう」


 都合よく木の洞を見つけたので中で休憩を取る。獣くさいことを考えればクマか何かの住処なのかもしれない。中に糞が転がっていないところを見るに綺麗好きなクマだったようだ。

 そいつは巣穴の外で転がっている。アンデッド化して間もない感じだったからこの騒動の被害者なのだろう。


「くさいわね」

「雨をしのげる利点を押し退けるほどじゃないさ。それともファラお嬢さんは外の方がいいかい?」

「まさか。オルタナティブ・フィアーの雨の中に比べたら天国よ」


 そりゃそうだ。あんなものを浴び続けたら肉体が弱るのみならずアンデッド化しかねない。亡霊旅団の仲間入りだ。


 体は冷えたが木の洞の中では火は熾せないな、とか思っていたらファラが変な筒を指す。すると焚火のような温かさが洞を満たした。


「明かりの出ない野営具か、助かるねえ」

「ほんとほんと、ナシェカちゃん寒かったから助かるぅ~」

「お前雨に打たれたくらいでスペック低下すんの?」


 おい、言わせるなハゲみたいな目つきをするな。それとハゲとらんわ。

 さてと、まぁ一旦落ち着ける状況にはなったか。


「ねえファラ、よく出てこれたよね」

「苦労したけどね」

「苦労したくらいでガレリアの監視の目を搔い潜れるのはすごいよ。チーズとワインはないがそろそろ事情を聴いてもいいかな?」

「ふぅん、これは確かに深刻ね」


 ファラがポーチからティーセットを出しながらそう言った。俺には彼女が何を考えているのか全然わからない。


「ガレリアを倒すはずの男が一番ガレリアを怖がっている。アシェラ様も苦労するはずだわ」

「痛いところを突くね」

「事実は痛いものね。まぁ匂わせた通り脱出に協力してくれたのはアシェラ様よ」


 俺そんな計画は聞いてないんだけど?


「あの女神様の頭の中にはガレリアを出し抜く方法なんて幾らでもあるの。取るに足りないちっぽけな相手だと思われているわたくしだから使える方法とか、色々ね。じゃあその話をしましょうか」


 ファラが語り始める。まず思ったのは俺ってアシェラからあんまり信用されていないのかなあっていう情けなさだ。

 たぶん口が軽いとか誰かにしゃべっちゃうとか思われてるんだろうなあ……


 解せぬ、俺けっこう口は固いほうなのに。



◇◇◇◇◇◇



 昨年の秋頃、つまりは俺らが迷宮都市で学外実習をしていた頃だ。

 ある日気づくとファラの部屋に見慣れぬぬいぐるみがあったらしい。デフォルメされつつも誰かに似ているぬいぐるみが自然に置いてあったので、これは厄介な代物だとすぐに思ったそうだ。


「滅せよ!」


 初手から焼いたってんだから驚くべき胆力と判断力だ。俺なら部屋を出てから使用人を呼ぶわ。……まぁ炎の中でもぬいぐるみは平然としていたらしい。


「やあボク、アシェラ様だよ、悪い女神じゃないよ」

「別に初対面というわけでもないでしょうに」

「あれ? じゃあ気づいてて焼かれたのボク?」


 ファラ曰くわかってて焼いたらしい。


「確証はなかったので」

「ほんとぉ~~?」

「ええ、もちろん。英知のアシェラを焼くなんてとてもとても、そんな大それたことはいたしませんわ」


 嘘だってさ。あいつ人の心が読めるから絶対バレてんぞ。


「まぁそれでこそイースの後継者ってことかねえ。キミには胆力も判断力もある、なのに現実にイースは傾いている。おかしいよね、なんでだと思う?」

「アシェラ様はお説教をしたくて来られたのですか?」


 ぬいぐるみはせせら笑いながらお茶菓子を食べたらしい。あのぬいぐるみってお菓子食べるんだ。


「今はただの茶飲み話だよ。まぁ結論を言えば欲が足りないんだよね、リリウスくんもそうさ、あれほどの才がありながら欲がない、だからキミと同じく商人に向いていない。商人なら拝金主義と呼ばれるほど金への信仰が篤くないといけない。世の商人の顔を見なよ、神々しいまでの欲で下品に輝く顔をしているよね。ああじゃないといけない」


「低俗な商人と同じ顔をしろと仰いますの?」

「レグルス・イースだって昔はあんな顔をしていたはずだよ、今は別の方向に向かっているから好々爺のような顔をしているけどね。守りに入った老人のマネをしたところでイースは守り切れない、それはもう思い知っただろう?」


 思い知ったかと問われ、最初に心に浮かんだのは「そうだ」という諦観だったそうな。


 自分ではイースの崩壊は止められなかった。イースの下でちからをつけた商人の離反も、膨れ上がった代償として得てしまった腐敗した体制も、足を引っ張ろうとする親族どもの突き上げも、どれもこれもを止められなかった。

 心ある忠臣と共にこの二年必死になってイース財団の維持に努めてきた。だからもう無理だとわかってしまう。アシェラに言われるずっと前にわかっていた。


「リリウスくんはね、優しいから自分に余裕があると他の人に配っちゃうんだ。たくさんの富を持っているのだからその一割か二割くらいならって分け与えてしまう。それに比べたらキミはよっぽど商売を心得ているけど商人として一番大切な資質を持っていない。だからもう諦めていいと思うよ?」

「赤字を出し続ける財団を切り離して根幹となるイース海運だけを守り抜く方針です」

「それもダメだよ。それはイザールが邪魔をするつもりだ」

「は……?」


 ファラは愕然としたらしい。そしてアシェラは当然のような顔をして笑ったらしい。


「イザールには信念があってね。悪魔と契約した者は必ず不幸にならなければならないというんだ。願いを叶える代償に他の何もかもを失わないとイーブンイフではないと考えているんだ。ふざけているよね、だけどそれが彼が示す唯一の公平性なんだ。だからイースはもう終わりだ」


「では、ではどうしろというの!」

「それはキミが決断することだ。……偉大な父の下に生まれた苦しみならわかるつもりだよ。誰もがボクに第二の夜の魔王の役割を求めたけどボクにはそんなちからはなかった。ボクははじまりの救世主にはなれなかった」


「アシェラ様はどうしたの?」

「ボクは逃げたよ、どれだけ探しても彼は見つからなかったしね。まぁ経験者として助言するなら逃げるのもありだ。押し付けられた責務で潰れるくらいなら自己の幸福を追い求めるのも悪くない」


 アシェラがぽむと手を合わせて叩いて、話を変えたそうな。

 茶飲み話はここまでということだ。


「さてそろそろ本題に移ろう。実際の話をするとガレリアにも幾つかの弱点があるんだよね。まず動員できるキリングドールには定員がある。やろうと思えば無尽蔵に動員できるくせにやらないのは美学があるからだ。衛星軌道軍の監視網だって夜間はザルさ。重要度の高いリリウスくんならともかく他に関しては全然だ。何より奴らは一番大事なものを持っていない」


 相変わらず会話の順序を守るというか溜めに溜める女神である。

 ファラはその一番大事なものが何かを聞いたそうだ。


「ふふっ、奴らは鑑定眼を持っていない。顔を隠したり体格を変えたりするだけで奴らはキミをキミだと認識できなくなるよ」


 ガレリアのキリングドールは体格やスリーサイズからでも簡単に人物特定をしてくるけど逆に言えば少しカップを盛ったり腰に布を巻くだけで誤魔化せるんだってさ。結局ハイテクの天敵はローテクなんだねえ。


「ちょうど今ガレリアは屋敷からいなくなったよ、ボクが侵入できたのもそのおかげだ。そしてこれからは春の大攻勢でもっと忙しくなる。イースにまで監視を回すなんてとてもじゃないが不可能だ。たかだか180体の三部隊ではそれが限界なんだ」


「今の内に逃げろ、そういう話でして?」

「まさか。ボクの悪い企みに付き合ってほしいとお願いにきたのさ」


 そういう話らしい。

 アシェラよ、頼むからそういう話は俺にもして?って口が軽いと思われてるから無理なんだろうなあ……



◇◇◇◇◇◇



 ファラが語りを止めた。まだ聞きたいことは山ほどあるが、俺を見つめる切れ長の眼が求めるものは語り部の後退だ。


「……ファラは亡命しに来たってこと?」

「いいえ、イースを蝕む悪夢を終わらせにきたの」


 悪夢とは何だろう?なんて言いやしないさ。

 不老不死を夢見る老人が悪魔の手を取り、一族を破滅の道へと誘っている。イースの女王として曾祖父レグルス・イースを止めるつもりなのだろう。

 ならば俺はその手伝いをしないとな。


「俺も手伝うよ」

「それとね」


 ファラが不穏な眼差しで睨みつけてきた。

 ふ、ふふ……とうとう来たのか、我が身に眠る土下座のちからを解放する瞬間が。


 いいだろう、見せてあげよう、あのナルシスでさえ「芸術だ!」と言い放って怒るのをやめてくれた頭部埋没式直立ドリル土下座の破壊力というやつを。悪魔のような太陽の悪竜が笑いすぎて涙を流したんだぞ。


「あなたの悪夢も終わらせてあげるためにきたの」

「俺の?」


 俺の悪夢ってなんだ?

 が…学生結婚のことだろうか。おいナシェカ、霊圧を消すな。空気になってやり過ごそうとするな。


「まさかと思っていたけれどその顔を見てわかったわ。死ぬ気なんでしょ?」

「死ぬ気はないよ。ただ……」


 ただ死が避けられないのなら可能な限りの成果は出すつもりだ。

 思ったよりも随分と時間が少なそうで、やり遂げると決めたことを半分もできそうもないのは心残りだけどな。


 こんなこと普段なら隠してしまうはずなのに相手がファラだから、いや今の心境だから口にできた。

 だから胸を叩かれるとは思わなかった。


「ふざけないで! 勝手に愛しておいて、勝手に死んでいなくなろうなんて卑怯よ!」

「でもどうしようもないんだ」

「そうやって諦めて! それが潔いつもり!? みっともなくてもいいからあがけ、諦めるな、それが生きるってことだろ!」


 叩かれた胸が熱い。

 それはファラの言葉が胸に響いたせいなのだと思ったが普通に火属性の魔法力のせいだった。懐かしい痛みだよほんと。


「だが……」

「だがとか要らない! 無様でもあがくって言いなさい、それ以外の返事は認めないわよ!」


 ぐ…具体的な方法とかも大事だろぉ?


「旦那、もうやめよう」

「やめようってなんだよ」

「悲劇のヒーローごっこはやめようよ」


 俺そんなつもりでいなかったけど?


「そんなのやってて格好いいと思っているのは当人だけだよ」

「格好いいからやってたわけじゃねーよ」

「高二にもなって中二病は見ていて痛々しかったしそろそろやめようよ」

「お前そんな目で俺を見ていたの!?」


 衝撃だよ、衝撃の事実だよ、びっくりしたよ。味方の中に敵がいたよ。

 でもそうだな。勝手に愛しておいて、勝手に死んでいなくなるなんて卑怯だよな。惚れた女が生きろって言ってんだ、無理でも何でもやるしかねえよな。


「ねえ、殺害の王とのチャンネルってまだ開いているの?」

「アシェラから聞いたのか。いや、今は閉じてある」

「それって向こうが承諾した不通なのよね? あ、こっちで調べるわ」


 ファラが俺の胸板に変なアンテナをドスッと突き立てる。注射器みたいに黒く染まっていく中身が一定のラインで停止し、赤い線のあたりを越えたり越えなかったりしてる。

 何だか知らんアイテムが四次元ぽけっと並みの気軽さで出てくるなあ。


「うん、本当に閉じているみたいね」

「なにそれ?」

「オルタナティブフィアーの圧力計測器」


 そんなんあるんだ。なんで作ろうと思ったかも用途も不明すぎる。一個体が保有する原初の暗闇の量を計って何をどうするつもりで開発されたんだか。


「もちろんアシェラ様のお手製よ。殺害の王とのチャンネルの有無を調べるためのね。……無茶したわね、最悪のシナリオ一歩手前じゃない」

「ファラはどこまで知っているの?」

「何もかも、と言えたらいいんだけど全部予想よ」


 ファラがポーチから一冊の辞書を出す。辞書と言ったのは辞書のような分厚さだからだ。そして辞書のはずがない。


「アシェラ様はこの状況を予測してこれから取るべき行動をゲームブックみたいに書き記したわ」


 辞書どころかゲームブックだった!


「この状況はオルタナティブフィアーの摂取限界点に達して殺害の王が自発的に窓を閉じた状態よね、合ってる?」

「合ってるよ。まぁ大地母神に交渉してもらった結果だけどね」

「となると242ページね」


 マジでゲームブックじゃん。

 おっといきなり俺宛ての伝言があるじゃん。


「読み上げるわね」

「いや、別に読み上げなくても……」

「やあリリウスくん、困ったことになっているね? ボクもちょこっと予想外だったよ、ハハッ!」


 予想外だった奴はこんなゲームブックを書き残さない!

 つかアシェラのモノマネがうまいな。ファラの多才さがこんなところで発揮されているがこの人って常人の何十倍もの才能に恵まれた人だよ。


「今回の問題は殺害の王だ。最初は全然いける気がしていたんだけどあいつ加速度的に知能が高くなっていってね、もう全然操れる気がしないんだ。閉じた時の輪の繰り返しのせいかな? あいつが復活するタイミングが近づくにつれて重複する経験値があいつを小賢しくしているんだと思う。いやぁ、やばすぎて笑ったよ」

「めっちゃ軽く言いやがる……」


「神代ではうまいこと扱えていたし何とかなると思ったんだけどね。殺害の王を乗っ取るプランは放棄だ、ここまで追い込まれたら素直に契約を捨てた方がいい。いま徒労だと思ったね? うんうん徒労だ、ごめんね、あっはっはっは!」

「めっちゃ軽いね、アシェラ様ってこんななんだ……」

「おう、アシェラはこんな奴だよ」


 英知の女神に夢を見ている全国の男子は早く夢から覚めろよ。話の通じない神々の中では比較的まともってだけで神はやっぱり神なんだよ。やべー奴なんだよ。最悪俺が死んでもまたループするしいいかって思ってそうなんだよな。


「殺害の王に覗き見を許している状態では相談さえできなかったけど今なら何の懸念もなく以後のプランを伝えられる。すぐにやらなきゃいけないのは殺害の王の魔法力は惜しいが窓を閉じることで、方法はもう知っているはずだよ」


 そ…それができないから苦労してるんじゃ……

 なかったのね。そうなのね。俺には黙っていたってわけね。俺で人体実験すんのやめてくんねえかなあ……


「夜の魔王の呪具だ。時の大神が示した殺害の王を封じるすべに今更頼るってのは少々業腹だけどね、いまは素直に安全を取ろう。呪具の在り処はグリードリーに聞いておくれ」

「超遠回りして最初に戻すっての!?」


 いや、だが、その手があったか。

 つか考えてみればそういうことだったのか?


「夜の魔王の思念波なら殺害の王を抑え込める。なら……」

「やろう旦那! 儚い主人公気分なんてらしくないよ!」

「やるわよ。そのために来たんだから」


 一人だけ強制するつもりの奴がいる!


「イースの総帥を出張させたんだもの。安くつくとは思わないことね」


 しかも金を取る気だ! いや、良心的な金額でお願いします的なセリフは要らないんだろうな。学んだよ、さすがにな。


「言ってくれ、ファラは何をお望みだい?」

「絶対に諦めないこと。最後まであがき抜くこと。必ずわたくしの下に帰ってくること。この三つだけは必ず」

「はっ、たしかに商売に向いてねえや。俺もファラも商売人は向いてない」


 でも恋人には向いているよ。妻帯者が言っていいセリフじゃないけどな。


「俺達はこの汚れた世界で商売をやるには優しすぎた」

「本当にね」

「やりなおそう。一から、何のしがらみもない状態からさ」


 見つめ合う二人。そしてナシェカだけが物言いたそうにこっちを見てる。これが大変に失礼な目つきだ。


「悪魔二匹が何か言ってる……」

「リリウスイヤーは地獄耳、だが聞きたくない言葉は聞こえないのである」

「聞こえてる奴の発言じゃん……」


 さぁて、まずは箱庭迷宮からの脱出か。本気パワーで軽くやってやろうじゃん。

 やることが定まった俺の強さを思い知らせてやるぜ。

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― 新着の感想 ―
色々リアルが忙しくて30話ぐらい一気に読みました。 いつも更新ありがとうございます。 リリウスくんの問題の解決手段に光明が差し込んできて一安心ですが、まだまだ波乱は多そうな道のり、可能であればハッピー…
[一言] 人生で読む小説はこれが最後でいいと思うほど楽しまさせていただいております。 ありがとうございます。ようやっと最新話まで来れましたので二週目に行ってまいります。
2024/08/21 20:40 ありをりはべり
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