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最終章 『春のマリア』  作者: 松島 雄二郎
聖と魔のフロントライン
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暗黒騎兵

 帝国と自由都市国家群との間に和平という名の、ほんの少し引っ張っただけでちぎれそうな脆い絆が結ばれた。これは何をどう言い繕ったところでそういう関係だよ。


 これは歴史的な偉業ではない。過去何度も繰り返されてきた悲劇の入り口だ。まぁ遠からず激突すると思うけど今年いっぱいは保ってほしいね。


 壇上で握手を交わす馬鹿皇子と都市長へと拍手を送りながらうちのお嬢様が言った。


「順調ね」


 はて何が順調なのだろう?

 いま結んでる薄っぺらいこと油取り紙のごとくといった和平条約だろうか。

 それともクソみたいに伸びきった戦線だろうか。

 王を退けたとはいえ未だ地方や民衆に不安を残す占領地だろうか。


 統治しきれない多くの土地を抱えたまま突き進む超無能進撃が順調なのだろうか?


 帝国軍の足場は波打ち際に作ったトンネルより脆い。来るべき時がきたら一発でおじゃんになる、動員した二十万人を呑み込む自殺行軍だ。


「これでようやくクリス様の下に行けるわね」

「行きませんよ」


 お嬢様が停止する。


「え?」

「え?」


 お嬢様と見つめ合う。そんなアホみたいな顔しても行きませんよ。


「あのアホンダラは追いません。先行して待ち構えるつもりです」

「そ…そうなの。どこで?」

「レンテホーエル大平原の北東部ですね」


「どうしてそこに?」

「管理者不在の土地だからってのは理由の半分でしかありませんが、そう悪い土地ではありませんよ。近所にユークリッド大森林がある点に目をつぶれば住みやすい環境です」


「まるで住むような話をするわね」

「住むんですよ」

「???」


 お嬢様が首をひねってしまった。愛らしいもんだ。このまま家に持って帰って飾っておきたいね、って俺がいうとホラーになりかねんな。やめとこ。


 お嬢様が地図を見始めた。どうやら予習していた範囲外であるらしい。

 お嬢様がお顔をお上げになり、じと目で見てくるのが堪らないね。


「ねえ、この辺りの土地ってラフレシアの領土なんだけど?」

「その国ならすぐに消しますんで。旧ジルニトラ系貴族が中核になっている反乱軍レジスタンスがいるんですがそいつが戦力を求めています。戦力提供の見返りに一部の土地の割譲を求めましょう」


「それがあんたの目標なの?」

「このくだらないお祭りの落とし所ってやつですね」


「あなたが言って、こんな小さな土地を獲って、それで終わりになると思っているの?」

「先頭で旗を振ってる奴が戦を止めると言い出せば誰も続けられませんよ」


 このくだらない祭りを始めた奴に責任を取って止めさせる。それだけだ、それだけのことで大勢が死んでいった。

 あいつには責任を取らせる。それだけの話だ。


「先頭で旗を振ってる馬鹿野郎はもう何のために戦っているのかもわからなくなっているんです。前に突き進むことしか知らない、道を切り開くことしか知らない可哀想な獣なんです」

「とめて差し上げるのね」


 お嬢様の強張っていた表情が安堵で緩んだ。

 お優しいあなたはきっと勘違いをなされている。だがそれで構わない。


 あいつには罰を与える、死よりも辛い永遠の苦しみをな。


 それはそうと根回しをしないとな!


「おーい、アデルアード、進軍プランへの提案があるんだ!」

「まっとうな献策なのだろうな?」

「この結果を見ろ、俺の提案はいつだってパーフェクトだ」

「毎回狙いすましたかのように大きな穴がある点はたしかにパーフェクトであるな。頼むから次は心労のない策にしてくれ」


「ってことは聞く気ありだな?」

「聞くだけな。聞いてから判断する」


 ツンデレのようなセリフばかりを吐くアデルアードと肩を組む。親愛度を誤認させる小技だ。友達の言ったことを真っ向から否定するのって精神力が必要だろ、これにはそういう効能がある。


 近衛のあんちゃんたちはどうして涙ぐみながらこっちを見てるの。やっぱ親や兄のような気持ちで見守ってるのかなあ。



◇◇◇◇◇◇



 自由都市国家群との和平協定を結んだアデルアード軍は東のアシェンダリア侯国で地方軍閥の討伐をやっている本隊に使者を送る。その使者ってのは俺さ。

 トレーラーに積んであるヘリコプターでの快適な空の旅だ。同乗しているアデルアードも目をキラキラさせているぜ。


「どう、人がまるでゴミのようでしょ?」

「ああ! ……いや、例え表現の一種なのだとしてもゴミはさすがに」

「もしゃ。ナシェカさんそんなキャラでいくことにしたの? 素直に怖いよ?」

「こいつ気分でキャラを変えるんだよ」


「評判のよかったキャラでいこうと思います!」

「素のままでいってくれ……」


 それが一番苦手なのは知ってるけどさ。

 頭が良すぎて器用すぎて、どう振る舞ったら相手が喜ぶかを知りすぎているせいで誰もが喜ぶナシェカという偶像を作ってしまうお前の苦しみは知っているつもりだが、それでも俺はお前のままのお前と一緒にいたいんだ。


 誰もがペルソナを被って生きている。素のままで触れ合うには人は醜すぎるから己を隠して生きている。

 別に悪い事じゃない、それは努力して身につけた技術なのだから。


 それでも俺は本当のお前でいてほしい。


「ナシェカ」

「なんだい?」

「生まれた時から殺人教団で育てられたやべー感じの女暗殺者キャラでいこうぜ!」

「表情を出さないのに初心なところがあってエッチなハプニングが起きると不意に照れが出てくるのがギャップのクールレディーでいい?」


 百点満点の回答を口頭で出されると困るなあ。それでいこうって言ったら俺の性癖みたいじゃん。


 何はともあれ本隊に合流する。騎士団長の大天幕で偽ガーランドと謁見する。


「ほぅ、アデルアードに雇われたか」

「あてこすりをどうも。いま俺は良い主に巡り合えた喜びの中にありますよ」

「リリウス、お前はじつは僕をそんなふうに想ってくれていたのか……」


 感動するな、ただのお世辞だ。


 偽ガーランドは怒るかと思ったがそうでもなく、椅子に深く掛け直す。


「それで何用か?」

「それは我が主アデルアード様から」

「うむ。命令に従い、自由都市国家群との和平条約を締結させた。彼らはタルキア地方における帝国軍の軍事行動を許容し、友である帝国軍の買い付けには誠意を以て応じるであろう。詳しくはこれを」


 アデルアードが条約文書の写しを渡す。だが偽ガーランドは受け取らない。


「和平を結べなどという命令を出した覚えがないのだがな」

「であるな。僕が受けた命令はタルキアの事情も知らぬ阿呆の世迷言であった」


 両者が睨み合う。言ってやれアデルアード、武力衝突になっても俺がついている、安心してトラの威を借りろ。


「あのような世迷言に付き合って兵を損耗させる無能がいるものか! 受け取れガーランドッ、これが僕の戦果だ!」


 男アデルアード渾身の一喝である。いい顔つきをするようになったぜ。


「……よいな、男の顔だ」


 あ、そういう反応? もっと小物っぽい反応を期待したのに。


「甘えた子供が一端の男になったな、一軍をあずけた甲斐はあった。お前には以後も期待をかけるとしよう」

「ガーランド……」

「感動するな、正気に戻れ、しゃきっとしろ」


 ポンコツ馬鹿皇子を叩いて元に戻す。しっかりしろ、ちょっと褒められたくらいで甘えた子供に戻るな。

 アデルアードがしゃっきりする。よし、打ち合わせ通りに頼むぞ。


「次の作戦だが僕に提案がある」

「まずは聞こう」


 アデルアードが作戦を説明し、単独行動の許可を求める。

 黙って聞いていた偽ガーランドが落胆の吐息をつく。こいつには難解すぎて理解できなかったか?


「それは本当にお前の発案なのか?」

「ここにいるリリウスの献策だ」

「その男はたしかに優れている。だが優秀な者が真にお前に尽くしてくれるかは別の話になる。わかるな?」


 なぜかこの矮小なニセモノが大きく見える。

 夕焼けの瞳にあるのは人間への深い落胆だ。


「余は…俺は過去幾度も信じた者に裏切られてきた。ある者は貯水個建設の費用を懐にしまいこむために工事を延々と長引かせ、またある者は忠臣の面をして一歩外に出れば別の者の走狗となり告げ口に走った」


 人に落胆し続けてきた老いた皇帝の眼が欄々と光る。暗い情熱を吐露する理由は教育か喜びか、わからねえな。


「なあアデルアード、お前は本当に自らの頭でこの策にすると決めたのか? うまくいけばよいが失敗すれば地獄に落ちるのはお前だけだぞ。口ではよいことばかりを並べて失敗すれば逃げる。他人とはそんなものだ。今一度尋ねる、本当に信用するのか?」

「信じる」


 アデルアードが即答する。俺でさえもっと悩んでから答えろよって思うくらい清々しい返答だ。お前に不安だ。


「なぜだ?」

「先に挙げた中に友はいなかった。彼は僕の友だ、僕も彼も友は裏切らない!」


 熱く心の奥からこみ上げてくる感動が俺を襲った。

 こいつは俺のことをそこまで信じてくれるのかという感動で涙が出てきた。あ、みんなの視線が痛い。


 心の清らかな方々を見ていると心が痛くなるぜ。

 ナシェカちゃん、俺と一緒に隅っこにいようぜ……



◇◇◇◇◇◇



 謁見が終わった。


「どうしてこの二人はこそこそし始めたのだ?」

「御立派な殿下の姿がこの二人には眩しかったようですの」

「左様か……」


 あぁみんなの視線が痛いぜ。


「俺もかつては光の住人だったはずなのにどうしてここまで穢れてしまったのか……」

「まあまあ元気だしなよ旦那! ナシェカちゃんがいるじゃん!」

「形だけ光属性の元気ギャルキャラを気取ったところでてめーも闇の住人だろ!」

「そうだよ?」

「くっ、生まれた時からカルマ値カンストしてるような奴には光を求める気持ちなんかあるわけねえからノーダメなのか!」


 ナシェカが強すぎるぜ。人間の繊細な心ってやつを持ち合わせていない生まれながらの殺人マシーンの強さだ。

 光を求めろ、俺とお前に足りないのは光だ。


 ナシェカに抱き締められながら泣いているとお嬢様が仕切り始める。


「はいはい、馬鹿やってないで戻るわよ」

「うむ、兵は拙速を尊ぶというしな!」


 そんなこんなでアデルアード軍と学生義勇兵はタルキア地方を西に向かって駆け抜ける。

 走り抜けるだけだ。周辺諸国を大いに刺激しながら西へと走り抜ける三千の騎兵はひたすらに西方を目指す。


 幾つかの国を越えたところにある深い森。荒れた旧街道を進んできた果てにたどり着いた森の前で進軍を停止する。空はもう随分と暗くなりつつある。

 馬上のアデルアードがため息をつく。今日中にここを抜けたかったのだろう。


 アーサーくんも眉をひそめている。


「むぅ、事前の試算では森を抜けられるはずだったが……」

「等速で計算した通りにはいかないって。ちなみに何キロで計算した?」

「時速十六キロ」

「アーサーくんたまに馬鹿になるの何なの?」

「午前中は調子がよかったからいけると考えたんだ!」

「いや、ぜってえ無理だよ。直線距離で計算したって……」


 表情でわかる。これは理想的な行軍速度で直線距離で計算してるわ。

 無理無理、諦めて明日のお昼到着を祈ってなさい。


「野営準備!」


 アデルアードが号令を出して野営の準備が始まる。森に入って薪の調達、テントの設営、石を積んでまでカマドを作る奴はさすがにいないか。義勇兵も近衛騎士も優秀な魔導師揃いだ。土系統魔法で簡単に作ってしまう。……術式の甘いやつがやると煮炊きの最中にカマドが崩れるんだよなあ。


「ウェルキンは薪の調達な。お前はカマドに触れるんじゃねえ」

「まだ根に持ってんのかよ」

「ついでにイノシシでも狩ってこいよー」

「深くは潜らねえよ!」


 腰抜けめ。まぁ俺でも夜の森の深くには行きたくないけどよ。

 優れたハンターなら森の深くからでも帰ってこれるが、素人が初めての森という条件では間違いなく遭難する。朝日待ちコースだ。朝日でだいたいの方角はわかるからな。


 適当に下拵えをしている間に料理班の下に薪が集まってくる。ある程度貯まったら料理開始だ。

 あっちこっちから煮炊きの煙があがる。


 いい香りに誘われて森から魔獣がこっちを見ているが、数が多いもんだから諦めて引き返してるわ。賢い。


「ファリス先輩、そっちのガラコンガを取ってください」

「なんでそんな珍しい物があるのよ。はい、これでしょ?」


 ガラコンガの実は面白い木の実だ。振ると中の種がガラコンと音を鳴るんで、魔物除けのために持つ旅人もいるらしい。効果はあるらしい。一応。野菜売りのおっさんから聞いた限りでは。


 ヤシの実みたいなガラコンガを割って中身をスプーンですくって鍋に入れる。


「どんな味がするの?」

「さあて、俺も初めての食材なんでね」

「勇敢ねえ」


 野営中の鍋なんてチャレンジ精神の塊でいい。心の豊かさこそが幸福なのだ。さすがにガチではやらないよ。一応試食させてもらってあるから。

 ココナッツのようなまろやかでプレーンな味だったから鍋に合うはずだ。


 しかしそんなことは知らないファリス先輩に後ろ暗い提案を持ち掛ける。


「ナイショで味見してみますか?」

「いいわね」


 顔を寄せ合って頷き合い、二つの底の深い鉄のコップに注ぐ。

 スープを一口飲み、二人して微笑み合う。


「いけるわね」

「ええ、こいつはみんなも大喜びだ」


 油分が多くてまろやかなスープになった。疲労たっぷりの義勇兵には最適だ。


 いい気分で鼻歌まじりに鍋をかき回しているとファリス先輩が人聞きの悪いことを言い出す。


「最近口説いてくれないね?」

「ふざけている状況じゃないので」


 真面目に答えたら笑われた。笑っててほしいね。ほんと。


「遊びだったんだ?」

「遊びでしたよ、ご存じだったでしょ?」

「そうね。でもそれって本気にした子を泣かせていい理由になんないからね?」


 察したのか相談されたか。まいったね。


 やるせなく夜空を見上げる。……遠くで魔法力が衝突している。


 ぶつかり合うちからが波動となって届く。それは少し強い夜風のような形で現れ、魔力感知に長けた者だけが気づいたようだ。

 クロードが叫ぶ!


「消灯! 航空騎兵だ!」


 急いで鎮火する。夜に焚いた明かりは航空騎兵からすれば恰好の的だ。

 とはいえそんな余裕もなさそうだ。すぐにクロードの下に集まった生徒会メンに話をする。


「航空騎兵どうしの戦いだ。どうする?」

「俺なら静観するね。地理を考えれば友軍である可能性は限りなく低く、呼び掛けるにはリスクが大きい」


 妥当な判断だ。


「だが判断をするのはアデルアード閣下だ。生徒会は皆に付き添ってやれ、俺は指示を仰いでくる」


 少し遅れてやってきた教師陣とは逆に散らばっていく生徒会メン。年食ってるから行動が遅いのか油断していたのか、まぁ可哀想なので追及はナシで。


 俺は俺でナシェカの待つトレーラーへ。光学補正なら航空騎兵の所属もわかるはずだ。


 向かっている途中で強風が野営地を叩いた。ワイバーン騎兵が超低空を駆け抜けていったのだ。


 スレスレの高度で森の上を飛ぶワイバーン騎兵を追うデーモンスネーク部隊が短槍を投射する。魔法を込めた投擲攻撃は爆弾のようなものだ。

 デーモンスネーク? あんな危険な魔物を使役する国があるってか?


「旦那!」

「ナシェカ、所属は見えたか?」

「それっぽいものは何も。でもあっちはまともじゃないね」


 そりゃそうだ。吸血鬼の王国の人狩り部隊が乗ってるような人食いの怪物を乗り物にするなんてまともな神経の軍ではない。


「事情を聴くにはワイバーン騎兵か。出るぞ」

「はいはい、うちの旦那さんならそう仰ると用意しておりまー」


 だから大口径の狙撃銃を用意してるのね。えらい。


 ワイバーン騎兵を追って離れていく暗黒騎兵を狙撃銃が狙い撃つ。魔導防壁の抵抗こそあったが貫通して撃ち落としていく。

 狙撃に気づいての方向転換は悪手だ。その瞬間はナシェカにとっては絶好の的だ。連続で四騎を落とした。


 地を這う蛇のように夜を泳ぐデーモンスネーク部隊がこちらを標的に定めた。学生さんに相手をさせるにしちゃ危険な相手だ。


「打ち漏らすなよ」

「任せてって!」


 その瞬間、逃げの一手を打っていたワイバーン騎兵が反転。青い光が破裂してオーロラみたいに広がっていく。干渉結界だ、単独で!?


 干渉結界の中に絡め捕られた暗黒騎兵どもが一斉に砂になって消えていく。そして干渉結界を放ったワイバーン騎兵も風の魔法による飛行補助を失って森へと墜落していった。

 うーん、自爆覚悟で追っ手を殺ったか。お見事。


「あれ、召喚魔だったの?」

「わからんが厄ネタなのは間違いない」


 あれは魔導防壁を用いていた。召喚魔だとしたら並みのクラスの使役魔ではない。それこそ神兵の御業だ。ナルシスとかも使うけどあいつを基準にしたらおかしいし。


 とりあえず事情を聴くために落ちたワイバーン騎兵を探しにいく。木々を盛大になぎ倒していったからすぐに見つかるはずだ。


 月光の降る泉の傍にワイバーンが倒れている。遠間ではわからなかったがけっこうな傷を負っていたようだ、あちこちを瘴気の槍で貫かれていた。

 ワイバーンが小さな声を発し、そのまま首を倒して動かなくなった。


「無理をさせてごめんね。ゆっくり休んで」


 女の声だ。聞いた瞬間に肌がぞわっとした。


 騎兵がこっちを向いた。あれ、心臓がきゅっと縮小したぞ。


「ドルジアの学生さんね。いい腕ね、助かったわ」


 騎兵が温かそうなファー付きの帽子を脱いだ。イリスの銀の月を浴びて輝く黒髪と、ルビーのように輝く生命力あふれる赤の瞳。


「久しぶり。でも初めましての方がいいわね、正体を隠さなきゃいけないの」


 そこにいたのはファラ・イースだった。

 逃げなかった自分を褒めたいところだ。


 叱られる要素がたくさんありすぎて土下座どころかドリル土下座でも許してもらえる気がしねえ……

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