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最終章 『春のマリア』  作者: 松島 雄二郎
聖と魔のフロントライン
340/362

殺害の王

 彼は何も持たぬ存在であり、己の意思さえもなかった。

 だがそれは彼が虚無であるという意味ではなく、りんごを落とせば地面に落ちるのと同じで彼は概念であり法則であり世界の理であった。


 彼の名は殺害の王。何も持たぬ存在でありながら、意思なき存在でありながら名前があるのはおかしなことだ。……おかしなことだろうか? 重力だとて自分に名称があるだなんて知りもしないだろう。


 ゆえに彼も己にそんな名前があることさえ知らない。

 世界の理その一つとして殺害の王アルザインは己の名前すら知らずにただ存在している。


 彼にとっての世界は人間が感じるものとは違う。太陽竜ストラのもたらす光が万物に色を与え、風が吹き、大地と海に命が咲き誇る世界ではない。彼にとっての世界とは大小異なる波動が無秩序に動き回る水槽のようなものだ。

 星という名の巨大な水槽も彼からしたら矮小な物であり、彼はいつだって宇宙のごとき高所から水槽を見下ろしている。


 彼には意思もなく、欲望もなく、思考すら存在しない。喜びもなく怒りもなく彼はただ機械のように存在するだけ。そんな彼に変化が起きたのは時の繰り返しのいつの出来事だったであろう?


 窓が開いたのだ。彼という巨大な存在が矮小な世界を見るための小さな窓がいつの間にか開いていた。


(――――√ ̄ ̄ ̄)


 この窓は世界の理に初めて戸惑いを与え、戸惑いのみならず『窓を覗き込むか否か』と、腕もなく足もなく何も持たぬ世界の理に選択肢を与えたのである。


 初めての衝動に戸惑いながらも彼は窓を覗き込んでみた。

 それは人間にとっては何気ない光景であった。真っ白な雪を被った深い森と、大気に漂う冷気が織りなすダイアモンドダスト。時折吹き付ける強い風が梢を揺らし、溜まった積雪が大地に落ち、その音に驚いてリスが木の洞から飛び出してくる。


 これはマクローエンの地で暮らす者にとって飽きるほどに見てきた光景でしかなかった。だが殺害の王アルザインが世界に初めて触れた瞬間であり、世界の美しさに驚いた瞬間である。


 殺害の王アルザインはリリウス・マクローエンを通して世界を知り、理解できないまでも人の営みを観察するのに夢中になった。


 言葉はどうしてか最初から理解できた。おそらくは神が自然とするように魂の発する意思こえを聞いているだけかもしれないが。


 なにゆえ物を得るために小さなコインを渡すのか。なにゆえ自分とは異なるものを殺しその皮を剥ぎ肉を食らうのか。なにゆえ暗くなれば寝台に寝転がり動かなくなるのか。最初の内は何もかもわからなかった。

 しかし彼は熱心に観察を続けた。この不思議の窓のことなどすぐに忘れるという選択肢もあったはずなのに、彼は食い入るように観察を続けて、とうとう人の営みのほんの僅かな切れ端の理解できるようになった。


 言葉を発して互いに想いを伝え合うこと。貨幣と物を交換すること。食事を必要とし、睡眠もまた必要であること。互いに手をつなぎ友愛を確かめ合うこと。窓の向こうに見える不思議な形をした生き物どもがあの水槽を泳ぐ波動であることも分かってきた。


 だがまぁ分からないことも多い。弱いくせにえらそうに振る舞う貴族の権威が理解できない。町に入る度にえらそうな兵士にカネを渡すのもどうして素直に渡しているのか理解できない。普段殺している魔物よりも弱そうな人間に大人しくカネを差し出す一方、外では兵士よりも大きく強そうな魔物を問答無用で殺している矛盾が理解できない。

 彼は人間社会というものを理解してなかったし権威どころか同族を殺してはいけないなんて社会通念さえもなく、人と魔物の違いさえも理解していなかったのだからこの疑問も仕方なかった。


 他にも理解できないことは多々あり、だが理解に到れば喜びを得られた。疑問は尽きない。見ている内にだんだんと大きくなっていく窓の向こうの人間がある時を境に小さくなってしまうことは、どれだけ考えても答えにたどり着けなかったが彼は未知と理解を愛した。


 彼は何度も繰り返し続ける閉じた時の輪をずっと見つめ続けた。

 窓が開き、窓が閉じる。そしてまた窓が開くと死んだはずの人間がまた出てくる。暦を理解した頃にあぁ時が戻っているのだなと漠然と理解した。漠然とというのは彼にはそれがどんなに恐ろしいことかという実感もなければ、どのような怪しいちからの働きによるものかも分からなかったからだ。


 窓が開く時期はいつも異なる。何を契機に開くのかはついぞ理解に及ばなかったが、こちらから開くことは適わない。


 窓が閉じる法則については簡単だ。リリウスが死ねば窓が閉じる。閉じた窓は亀裂となって残り、彼が手を伸ばせば亀裂からあの美しい世界に降臨することもできた。

 降臨は歓喜なれど彼の巨大な腕が触れたものはみんな砂のように崩れて壊れた。……それは悲しかった。

 窓の向こうに見たあれはどんな物だろう? 触れること、言葉を交わし合うことができればどんな面白いだろうと夢想していたのに、触れることも言葉を交わすことも敵わないのだ。


 何度も亀裂に触れ、窓の向こうに出られる機会があった。何度も窓の向こうへと降臨を果たしては期待を裏切られ続けた。だが学びもあった。


 亀裂が大きければ彼は多くのちからを保ったまま外に出られる。だが亀裂が小さければ小さなちからしか持っていけない。亀裂さえも残さず消えてしまうこともあった。……魔道のまの字も知らぬ彼に、亀裂の大小はリリウスの保有する死の魔法力の大小が関わっているなど分かるはずもなかった。


 繰り返し続ける時の中でリリウスはいつも同じ二人の少女を愛し、いつしか彼も彼女達を愛するようになった。彼は死を司る法則なれど壊れて動かなくなる彼女達にだけは悲しみを抱いた。……なぜだろうか?

 彼はあまねくすべての命に祝福を与える存在。命が他の命を殺すことを許す。最後には殺されることさえも許す。この悲しみは理に合わぬのだ。


 彼は考えた。そして誤解りかいした。自分はもっと長く彼女達を見ていたいのだ。

 怒って、泣いて、笑っている彼女達をもっと長く見ていたいのだと。


 いつしか憐れみは奇跡を起こした。いや彼は最初から奇跡を持っていたのに使い方を知らなかっただけなのだ。

 彼は少女達にちからを与えた。それが常人にとってどれほどの負担となり強く死を招くかも知らずに。


 彼はいつも彼の窓を導いてくれる賢くも優しい少女を愛した。ゆえに死のちからをリザレア・マクローエンに。


 彼はいつでも気高く美しい少女を愛したがゆえに死のちからをロザリア・バートランドに渡した。

 巫女と呼ばれるほどにちからを与えた時、彼の前に新たな窓が開いた。


 彼はそれを喜んだ。無邪気に、それが何を招くかも知らずにただ喜んだ。

 殺害の王アルザインは己の名前すら知らずにただ存在している。……存在していた、というべきか。


 繰り返し続ける時の輪に死の因果がこびりつく。彼にさえも覆せない死がけして拭えぬ泥となって彼女達を犯したのだとも知らずに愛したから与え続ける。


 神の愛は人の愛とは異なる。人にとっての幸福は神に愛されぬことであり、だから、あぁだから彼がどんなに彼女達の幸福を願うのだとしても……


 彼女達はけして幸せになれない。何故なら彼女達は殺害の王にあいされてしまったのだから。



◇◇◇◆◆◆



 ガレリア対策会議を終えた夜。アーバックス前広場にて宴会が開かれた。名目は戦勝祈願となっているが皆が集まったら宴を始める連中なのでそこはどうでもいい。まぁ今宵は生憎の雨模様だったからアシェラ神が「今宵限りの特別だ」と言って雨雲を散らして満点の星空に変えてしまった。湿度もかなり減らしているのだろう。おかげで綺麗な星空だ。


 冒険者も悪徳信徒もレスバ族も太陽の王家も地べたに座り、膝を並べて酒を酌み交わす。後世の史家がこのワンシーンだけを見たならいったい何の集まりかと首をひねるような組み合わせでの楽しい宴だ。……なぜか途中でデュエルマッチが始まるのだけは理解に苦しむが皆が笑顔だ。


 楽しいの宴会の最中に人が吹き飛んでいったのだとしてもそれは楽しいのだ。きっと。彼らの価値基準に照らせば。


「え? ファトラさんが一撃で? あのぅルキアさん、いまフェイは何を……?」

「わからん」

「わからんって……」


 次は俺だ!って出ていったレスバの強そうな若者が一瞬で叩き伏せられる。またも何が起きたのか見えなかったのでユイちゃんも察した。


 いや、フェイの虚ろな目つきを見てようやく気づけた。


「酔っぱらって自制を忘れてる! ダメです、危ないです、今のフェイは普段は隠している奥の手を使う状態なんです!」


「ほぅ、それは面白いな」

「今のは本当に警告であってレスバ族を焚きつけたんじゃありません! レスバの人って本当に言葉が通じませんね!」


 下手をすれば死人が出そうだと判断して説得力のある人物を探し、見つけた。ほろ酔い気分で信徒のファティマちゃんを侍らせているアシェラ様とユイちゃんがアイコンタクト。……二人の間には何の友情も存在しないためか通じてなさそうだ。


「やめときなよ~、そいつは竜の権能を模倣しているのさ、対策も無しじゃ万が一にだって勝ち目はないってぇ~」

「アシェラ様、さあお水お水」

「へいきだってぇ~~~」


 何の説得力もなかった結果としてレスバ族が殺到する。あいつを一番早く倒した奴が宴の主役だとか本気で考えていそうな一族なので本気だ。部族VSフェイなのではない。彼らにとっては俺VSレスバ族&フェイなのだ。

 まぁそれは目の据わったフェイも同じ気持ちらしい。むしろその程度の判断力も残ってなさそうだ。


「雲身芙蓉、この身は雲間を漂う羽衣がごとく」


 普段と語り口が完全に違う。これはやばいと冷静な一部の人達だけが気づいた。


 超常の理が働きのようにあらゆる攻撃がフェイの肉体を捉えられずに貫通する。レスバ族も伊達や酔狂で戦闘民族を名乗ってはいないがどれほどに手を尽くしてもフェイの不可思議な守りを突破できない。

 まるで空をひらひらと舞うはごろものごとく、すべての攻撃はフェイには当たらない。


「竜身雲耀、雷雲を泳ぐ竜の御姿を捉えること何者にも能わず」


 繰り出される攻撃は刹那の稲光のごとく。戦士どもが宙を舞う。そしてどこかへと落ちていった。

 酒の気分でいけば危険かと見たレスバの元族長が魔剣を三方向から射出するも着弾の寸前にはすでにフェイの手の内に絡め捕られている。何とも奇妙だ。


「雷光鞭、爪は万里を超えて届く。これ天竜の理なり。さあ誰でもいいぞ、来い」

「では俺が」

「ルキアさんはダメです!」

「いいではないか。面白そうだしやらせろー」

「ナルシス様は煽らないで! もうっ、こういうのってリリウスの役目なのに!?」


 リリウスを探す。秒で見つかった。フェイの足元で酒瓶を抱えて眠りこけている。

 本来仲裁に入るべきクランのリーダーがモブ戦士のように束で向かっていった中に混じっていた挙句、一ミリの描写もなく負けたので不貞腐れて酒を煽ってふて寝している事実である。


「つ…つかえない……」


 って呟いた瞬間だ。リリウスから暗黒の魔法力が溢れ出す。まるで冥府につながる窓が突然開いたかのようにおぞましい魔法力が溢れ出し、リリウスがぎしりとやや非人間的な動作で動き出す。


 それはまるで人間の動き方をよく知らず、知らないなりに上体を起こした。そんなふうな起き上がり方だ。


 騒がしい宴の席もさすがに静まり返る。昼間に殺害の王だの何だのと話をした後だ。あれを聞いた後にこれを見て、察しもしないほどの馬鹿はここにはいなかったのだ。


 ユイちゃんも冷や汗が止まらず、震える我が身を抱いている。


(言われてみれば、言われてみればこの妖気は何度か……)


 適当に茶化していたナルシスでさえ座り方を変えていつでも戦闘に移れるふうに構える。


(今更だがこれほど異常なちからに気づけなかったとはな。コンラッドの報告してきた魔王の認識阻害の術の影響か? わからんがこれは……)


 知識を与えられ、真実を知り、ようやく見えた友人の完全な顔とその側面。

 殺害の王アルザイン。死の最高神格。彼は何の表情も浮かべずにあちこちをキョロキョロと見渡している。変だ。最高神格のくせに眠ってた酔っ払いが起きた時の行動に酷似しているのは変だ。


 なんとも妙な緊張感に支配された場で、殺害の王がようやく口を開く。


「タノ…」


 いったい何を言い出すつもりかと誰もが警戒している。……フェイ以外は。

 冥府の王デスのもう一つの顔である死の最高神格、どう考えてもまともに話の通じる相手ではない。ゆえに皆がその言動に注目するが……


「シイナ…タノシイナ……」

「おっ、そうだろそうだろ! 楽しいんだよ宴はなあ!」


 すぐに反応したフェイが王の背中をバンバン叩き始め、すぐに二人とも手酌で飲み始めた。

 みんながビビリながら「マジかよ」って言ってるのにフェイは嬉しそうに殺害の王の肩をバンバン叩いてる。


 この後ユイが殺害の王から今晩のお誘いを受け、ものすごい勢いでフッタのでフェイは爆笑していた。


「……ザンネンダ」

「そう落ち込むなって、酒でも飲んで忘れろ忘れろ!」


 みんなの中で王って案外お茶目なやつなのかもしれないと変な認識が生まれた瞬間であった。

 だってこいつはただの失恋の王だ。



◆◆◆◆◆◆



 眠っていた男が起き上がる。

 死体のように起き上がった男は「ここはどこだろう?」と興味深そうに室内を見渡すがママボボとハザクにはまったく興味を見せない。

 取るに足らない矮小なモノ二匹、気にかける必要もないのだ。


 操る死体がベッドから出ようとする。そのように気を発しただけで真っ黒い闇が噴出する。

 大地母神は今にも発狂しそうな恐怖の中で奥歯を噛み締めている。


 吹雪の中でなぜ凍えているのかもわからない子供みたいにただ己の持ち得るアビリティだけで死の化身に抗っている。


「殺害の王アルザインだね?」

「理解に苦しむな」

「何がだい?」


 死体が嗤う。どこまでも非人間的な高笑いが部屋を守る結界を吹き散らし、死が満ちていく。

 この中で一つでも呼吸をすれば千度死んでもなお足りぬだけの死に冒されるであろう。


「答えはお前の内にある。分かり切ったことをわざわざ尋ねる理由がまったく理解し難い。様式美だとでも抜かすつもりか?」

(随分と流暢にしゃべるね。知能も高そうだ。まったく英知め、開けてはいけない蓋を開けてどう始末をつけるつもりだい?)


 トカゲのように頭の足りない怪物でも困るが、賢い怪物も困る。手に負えない可能性が高い。


「あんたの依り代、このままじゃ死ぬよ?」


 だが知能が高いからには交渉は成り立つ。


「それはあんたも本意ではないだろう? この子が生きていないとあんたは世界に触れられない。そこで提案があるのさ」

「ハザクの入れ知恵か?」


 壮絶な視線を浴びたハザクが大地母神のぽっちゃりボディの後ろに隠れる。なんだってこいつは分霊だと精神年齢が下がるんだと思ったが、恐怖が染みついているのかもしれない。

 こいつはイザールに目の仇にされて散々追い回されていたから、殺害の王を恐れているのだ。


「正確には英知のだ。あんたあの子と仲がいいらしいじゃないか、あの子の言伝だ、聞いてやっておくれよ」

「内容次第だ」


 アシェラからの提案というのは本当だ。あの謀略大好き陰険小娘はこういう最悪一歩手前の状況も予測していて、信頼の置ける神に行動表を託していた。

 だからママボボはハザクの手を通じてアシェラの警告も文章で渡されている。


『殺害の王は基本的に好奇心旺盛で素直だよ!』

『でもめっちゃ短気だから気をつけてね!』


『理解力はあるけど短絡的だから目の前に肉を放り投げると罠とは考えもしないで簡単に飛びつくよ! 』

『ものすごく扱いやすいけど短気だから気をつけてね!』


『温厚だよ、友好的に振る舞う相手には友達のように振る舞ってくれるよ、対人関係の距離感がおかしいんだね。でも恐ろしく短気だから極限まで気をつけてね!』


 三度も短気さについて警告しているのを読んだ時はママボボのほっぺもヒクついたものだ。こんな物は読まなかったことにして逃げようかと思ったくらいだ。


(とんだ貧乏くじだねえ……)


 最高神格どうしの交渉が始まる。



◇◇◇◇◇◇



 隣で赤毛の少年が皿洗いをしている。あんなにあったお皿を手慣れたものでするすると片づけていく手際はみごとなものだ。見た目に寄らず普段から洗い慣れているにちがいない。

 見た目も言動も悪いところはない。なんでこんな良い子にあんな怪物が憑いてしまったのかとため息も出てくる。


「一応ね、話はつけたよ。交渉内容は殺害の王との接続チャンネルの一時的な破棄。これであんたはしばらくは自由の身だ」

「感謝します」


 消えてしまいそうな微笑みで感謝を口にした少年が愛おしくて頭を撫でてしまった。親しくなっても辛いだけなのはわかっているのに……


「わかっているんだね? そうさ、次だ、次あいつが窓を開いた瞬間にあんたは喰われる。積もり積もった死の因果があんたをロストさせる。―――わかっていてどうして!」


 死を前にしたヒトを何度も見てきた。

 死を予期させる決戦に挑む前夜の勇者も、これから死に往くヒトも、たくさん見てきた。だが死を受け入れたどんな男だってここまで儚く笑ったりしなかった。 


「予感はしていたから」

「未練はないのかい?」

「ありますよ。でも俺はこれはこれで悪くないと思っているんです」


 少年は笑っている。風に溶けて消えてなくなりそうな笑みで、どこか嬉しそうに。

 本当に死を喜んでいるかのように。


「またカトリに会える。次の俺は今の俺じゃない別の俺だってわかっているんです、わかっているんですがまたあいつと出会えることが楽しみで仕方ないんです」

「あんた……」


 頭だいじょうぶかしら?って思った。

大地母神の旅宿

 資格持つ勇者の前にしか現れない不思議な旅宿。ここにあり、どこにもないという遍在する旅宿の門はどこの町にも開き、旅に疲れた勇者の心身を癒す。

 大地母神の手料理は失われた活力を戻し、大地母神の湯はあらゆる負傷や病魔を退け、大地母神の下での休眠は勇者を万全の状態へと戻すのみならず能力を向上させる。……宿に宿泊するどこぞの神がこっそりと加護を授けてくれるせいだ。

 資格とは即ち大地母神ママボボが認めた神魔からの紹介である。そのため素性の悪いモノも時折混ざるが、ビッグマムの優しさに触れてわるさは働かないらしい。



大地母神の旅宿の女将。

 ボボ様やママの愛称で慕われる永遠の四十六歳。ママって愛称か?

 天の覇権争いからは完全に降りているのでどの勢力とも比較的良好な関係を築いているが、心ならずもダーナ神族の手先と化しているティト神やアルテナ神とは距離を取っている。

 高名な旧神ではあるが俗世への権力は無いに等しい。



旧神

 魔法王国パカの時代に隆盛を誇った旧神話大系の主役たる神々。

 信仰の断絶が善なるモノを魔へと落とすこともあり、現代では先史文明の記録とは大きく異なるためアシェラ神殿の英知を頼るべきであろう。

 吸血鬼の神祖エクステリアなどは完全に堕ちた神であるが、その素性はデス神とは異なるため現代では大きな誤解といえるが、アシェラ神殿はそれを否定するつもりはないようだ。仲が悪いからだ。

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[気になる点] アルザインは小さな子供みたいやなー [一言] フェイくん強くなりすぎ笑
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