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最終章 『春のマリア』  作者: 松島 雄二郎
ヴァカンス&ダンジョンシーカーズ
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フラグを作りにいく男リリウス

 クラーケン(何だったんだあの怪物は。小さいのに硬くて強くて怖かったぞ。レアエネミーかよ……)


 数時間後~


 主人公「うおおおお、ゲソをよこせー!」

 クラーケン「また来た!!???」




 全力で海の底まで行って全力で戻ってきた。その間約一時間。

 まだ動いているゲソをイース海運に納品して支払いを終えたがもう誰もいねえでやんの。


「お連れ様なら先にレストランに行くと御言伝を賜っております」

「なんて自由な方々なんだ!」


 くそー、クラーケンハンターが働いてる時にのんきにディナーかよ。

 優しいのはクラーケンだけだ。あいつはいい友達だよ。俺がカバ夫くんでやつがアンパンマンだ。体を張って俺を助けてくれる最高の友達だ。え、ジャイアンとのび太じゃないかって?


 レストランに向かうともうみんな食べ終えていて、デザートと食後の紅茶を楽しんでいる段階であった。


「みなさんに人の心って無いんですか……?」

「待たせたかったのか?」


 いえそういうわけじゃないんです閣下。それでも待っていてくれるのが友情ってもんじゃないんですかねえ。


 とりあえず着席して注文をする。シャーベットと紅茶だけ頼んだ。

 本格的な夕飯はコテージに帰ってからにする。まさか買い直した魔導コンロと鍋がこんなにも早く活躍するとはな。


 この時間のレストランはけっこう混んでいる。

 周囲から聞こえてくる会話はクリストファーの話題ばっかだ。


「まさかあれほどのお強さだとはな。クリストファー皇子殿下が皇帝というのも本当に考えられるんじゃないか?」

「グラスカール皇太子とガーランド騎士団長も幼少の頃より目を掛けていたという話だ。お三人の仲は今も良いと聞くしな」



「あれほどの才を持つ方が頂点ならば帝国も安泰というものだ」

「あなた、あまり大きな声でそんなことを言うものでは……」

「命を懸けて我らをお守りくださった方を賛じて何が悪いというのだ」



「ご実家はいずこだったか?」

「名鑑に記載がないな。漏れということはあるまいが……」

「となれば母方は端女か。あれほどの御方であるのに正統のお血筋でないとは何と嘆かわしい」

「ならばこそ良縁を繋いで高貴なる血を取り入れていただかねば」

「貴殿の血か? まったく動きの遅いことだ、オージュバルトはすでに取り込みに動いているというぞ」

「例え側室であろうとあれほどの御方に嫁げるのは女の幸福というものだ。うちの娘も皇子を一目見ればその胸に駆け込んでいくだろうよ」

「であろうな」



「オージュバルトの権勢が増すのはよくないな。旧グランバニア派が息を吹き返すやもしれん」

「たしかにバイエル伯と手を結ばれでもしたら西側の一大軍閥になりかねんな」

「クリストファー殿下が台頭すれば中央の貴族が蔑ろにされるやもしれん」

「その懸念はあまりに気が早いのでは?」

「だとしても縁を繋ぐに早いことはあるまい」



「聞きまして? 今頃になってクリス様に取り入ろうとする方々の下品な騒ぎ」

「人を見る目のない方々が今頃になって気づいても遅いというのです」

「後援者が増えるのは良いことでは?」

「甘いわね。……少ない中でこそ熱烈に支持するわたくしどもが輝くんじゃありませんの」

「振り向いてさえいただけておりませんのに?」

「……あなた痛いところを突くわね」



 どこを向いてもやつの話題ばかりだ。リゾートを守り抜いた英雄なら当然なんだろうがやつの話題だけで胸やけがしそうだぜ。


 不機嫌マックスで紅茶をすすっているとマリアが声をかけてきた。


「今日はありがとね」

「たまにはな」

「たまにって。いつも奢ってもらってばかりいる気がするんだけど? 恩返ししたいんだけど何か困ってることない?」

「今はねえなあ」


 順調すぎて何も困ってない。困るような問題は起きる前に潰しているし、これからも潰し続ける。

 何者にも邪魔をさせない。そのためのちからだ。


「じゃあ今後困ったら助けてくれよ」

「うん、何でもやるよ」

「女の子が簡単に何でもって言っちゃダメだぜ。悪いことに誘われたらどうすんだよ」

「その時は何でもじゃなくなるだけ~」


 口先だけかよ。と笑っておく。

 他の連中も楽しそうに勝手にしゃべっている。温かい光景すぎて涙が出てくるね。出てこねーけど気分的にね。


 でも覚えておくよ。この光景を。こんなこともあったんだってずっと覚えておく。


「どうしたの?」

「楽しいなって。幸せだなって。みんなこれから酷いことばかり起きて心が何度だって折れると思うけどさ、この光景がちからになってくれるかなって」

「え……」


「俺にもあるよ。仲間と過ごしたこんな日々が。思い出があるから立ちあがれる。幸せを取り戻すためなら戦える。本当に大変だと思うけどさ、これがみんなのちからになってくれたら……どうした、そんな顔して」


 みんなもどうしたんだ?

 みんな会話を止めて俺を凝視している。冷や汗の出そうな熱い視線を注がれて照れるぜ。


 みんなを代表するみたいにお嬢様が言う。


「ねえリリウス、何度も心が折れる酷いことって何?」

「そんなこと言いましたっけ?」

「言ったああああああああああああああああああ!」


 ちょっ―――

 みんなで一斉に飛びかかってくるのはやめて。紅茶がこぼれちゃう、こぼれちゃうから!


「何を隠しているの。どうして隠すの!? 吐けー!」

「ちょま! 俺は別に何も! ただの一般論でして!」

「そう言って以前も出兵とか言ったわよね! 二年後だっけ!?」

「待って待って落ち着いて! 冗談でしたよ冗談!」


 その時、閣下が嫌に落ち着いた声音でぼそっと言う。


「時期的にはそのくらいになるだろうな」


「吐けー! 何がわたくしの心を折るのかくらい吐けー!」

「俺は無実ですぅぅうう。バートランド公と親父殿が死にますけど―――あ、やべ!」

「リリウスぅぅうぅううう!」

「え、俺死ぬのか? ちょっと息子よ後で詳細な話をだな」

「犯人ー! 吐けー!」

「勘弁してください!」

「ねえリリウス君、いまなんでマリアさんの方を見たの?」


 やべえ!


「ちがいますちがいますマリアは関係な―――くもないんだけどぉ、ちがいます!」

「関係ないって言い切れないの!?」

「え、あたしぃ!?」

「関係なくもないんだ。ねこばば令嬢が殺人令嬢になるのか」

「ちょっ、エリン面白がるな!」

「ちがいますマリアは犯人ではありません!」

 と言い放った瞬間にみんなが棒立ちになる。な…なんだその反応?


「いま心に直接犯人ですって聞こえてきたー!」


 やべえ、俺の権能が仕事したあ!

 にっげろー!


「逃げた! 捕まえて! リリウスを捕まえて吐き出させるのぉ!」

「ざけんな、あたしに変な嫌疑を掛けたまま逃げるなあ!」


 俺は逃げた。みんなの頭が冷えた頃に戻れば大丈夫だろの精神で逃げた。

 夕飯はキャンプになるなあ。 



◇◇◇◇◇◇



 レストランから食い逃げを働いたリリウスを追いかけたが見つからない。

 みんなして探しているが見つからない。遅れてやってきたガイゼリックが空を指さして食い逃げ犯の行方を教えてくれた。


 空にかかった暗雲の一か所がドラゴンでも飛んでいったかのようにぶち抜かれている。


「空を飛んで逃げやがった……」

「うそぉ、あんなの追いつけるわけがないじゃない……」


 よく見ればレンガで舗装されたメインストリートの一か所が盛大に砕けている。どうやら脚力でブーストして飛翔魔法を使ったらしい。


 みんなして呆然と空を見上げていたら、当然の疑問をウェルキンが口にする。


「やけに不穏なことを言ってたのはわかるがよ。あいつの言ったことがそんなに気になるのか?」


 この疑問にはバイアットが答える。


「リリウス君には未来予知ホルダーの疑惑があるんだよね」

「あれは未来予知ではないがな」


 そしてぼそっと呟くエロ賢者。

 この瞬間にみんなの心は一つとなり察した。


 こいつも何か知ってる側だ!


「未来の情報は希少だ。そして他者に教えると価値が失せる。変化が起きれば未来が変わり、知り得た未来とは別のものになってしまうからだ」

(ぜってえ知ってる。こいつ絶対に何か知ってる……)


 ウェルキンのみならずみんな気づいた。こいつもリリウスと同じ側のトンデモ野郎だ。

 あいつと同じで戦闘能力の次元がちがうトンデモ世界の住人だ。


「例えばそうだな。毒殺の予言をして毒を警戒させたとしても隣で犯人が聞いていたら枕に針を仕込む方法に変えるかもしれんな。身近に犯人がいなくてもそれなりの権力者が殺意を抱いたならそれは運命なのだ。別の方法で殺され、結果は変わらない。だから予知ホルダーこそが未来を語らない。古来より予言者の死は詐欺師と罵られての悲惨なものだからだ」


 みんな思った。こいつ絶対に知ってるぅぅぅ!

 そしてナシェカだけはガイゼリックがマジモンの予言者なのを知っている。だって自分で言ってたし。一時は共犯だったし。扱いは子分だったけど。


「だからあいつを問い詰めてやるな。むしろゴマでもすっておけ、そうすればいざという時は助けてくれるかもしれんぞ」

「り…リリウスのは未来予知じゃないって言ったわよね?」

「……フフッ!」


 突然笑い出したガイゼリックが「いやあ失敗したな」と言わんばかりに頭を掻き、笑いながらどっかに歩いていく。


「ちょっと」

「急用を思い出した」


 ガイゼリックが全力ダッシュ!


「あいつもだー! あいつも予知ホルダーだ!」

「捕まえて! ってゆーか未来予知ホルダーって何人いるの!?」

「もしゃ。この分だと他に二・三人いても驚かないよ。もしゃもしゃ」

「あんたはちがうんでしょうね?」

「そんな便利な異能があったらもう少し賢く生きてるよ」


 この後も懸命な捜索が続いたがエロ賢者は見つからなかった。本気で逃げた予言者を捕まえられるわけがなかった。どこに隠れたら見つからないのか見えている男だからだ。


 すっかり諦めたマリアがホテルに戻ろうとした時だ。

 そこいらの暗がりに身を潜めていた子犬がきゃんきゃん鳴き出した。秋田犬のような可愛らしい子犬が走ってきて足元をぐるぐる回り出す。


「おおー、お前カワイイねえ。どこの子かな?」


 抱き上げるとぺろぺろ舐められた。野生じゃない。飼い犬だ。

 しかし首輪は無い。貴族なら首輪を着けておくだろうからリゾートで働く人達の子かもしれない。


 前肢の間に両手を差し込み掲げてじっくり確認する。

 飼い主の判明しそうな要素を探すためであったが、子犬自体何だか見覚えがある気がする。


「ん~~~ジョンに似てるなあ」

「きゃん!」


 ちなみにジョンとは学院に出没するエロ犬である。

 女子のスカートに突っ込んでいくことからエロ犬ジョンの名をほしいままにする、エロの三賢者と並ぶ名物犬だ。


「いやいやまさかね。学院からどんだけ離れてると……」

「きゃんきゃん!」

「うおっ、めっちゃなつくじゃん。おうおうマリアさんに飼われたいのかい?」


 顎を撫でると嬉しそうに身をよじりながら腹を差し出してくる姿には野生の欠片もない。可愛さの化身だ。


「仕方ないなあ。今夜はうちに来いよ、飼い主は明日探したげるからさ」

「きゃん!」


 マリア、子犬を拾う。

 果たしてホテルはペットOKなのだろうか。それだけがやや心配だ。



◇◇◇◇◇◇



 オージュバルト辺境伯領は広大だ。どのくらい広大かっていうと九州くらいの広さがある。……帝国製の地図を信じられるのならという注釈は付くけどな。

 広大な辺境伯領には大小十数という地方代官家が存在する。それはオージュバルト大公国時代の名残りであり、かつては大公と呼んだ君主を今も支えているのだ。


 山脈と大河によって隔てられた他の領地。オージュバルト領外の直北に位置する密林地帯ランダーギアは九つの家によって分割統治されている。


 誰に聞いたかは忘れたけど黄金の森オージュバルト占領戦争において武功を挙げた騎士に新しい家を興させて領主として任じたらしい。

 大きな戦に大きな手柄、となれば褒美も大きくなければならない。土地を貰えるっていうのは素晴らしい褒美なんだ。俺には理解できないけどね。


 ランダーギア密林地帯は三方を山脈に囲まれた盆地だ。オージュバルトとはバルド花崗岩トンネルでつながっている。これは戦後に造られたらしい。


 ラタトナリゾートから飛び去った俺が目指したのがここだ。飛翔魔法による山越えが面倒ってのもあって素直にトンネルを通ることにした。トンネルの通行料は30ボナだった。山越えの苦労を考えれば安い出費だ。


 兵隊達は深夜に飛翔魔法でやってきた俺を怪しんだが(拳で)話し合えば分かり合えるのが人間の素晴らしさだ。


「どうぞお通りください!」

「通行料も要りません!」

「難癖をつけて宿舎に引き込んでから脅して金品を巻き上げるのっていつもやってるのか?」


「うううぅぅぅ問答無用でボコされたうえに憶測でひどい言いがかりをつけられてる……」

「こんな夜中に見るからに悪党顔の人が空を飛んで来たら普通事情を聞きたくなるもんなんっすよ」


 失礼な兵隊どもとは笑顔で別れる。なぜか彼らの顔面だけボコボコになっているが世の中には不思議なこともあるものだ。


 魔法照明を掲げて進む花崗岩トンネルは暗く、出入り口に兵隊の詰め所がある理由がすぐにわかった。南北の領主家が自分の管轄の出入り口に兵隊を置いている理由はこの暗さとトンネルの長さだ。

 管理を怠れば山賊が根城にする。トンネルのどこかに隠し通路を作って内部で人を襲う。

 通行料を取るのは管理費用を賄うためだ。領主家の仕事は安全保障にあり、旅人や商人には元気におかねを落としていって貰いたいんだ。


 トンネルを抜けるのに徒歩で三時間近くかかった。途中から小走りに切り替えたとはいえけっこうな長さだったな。


 トンネルを抜けると大きな町の中である。


 明け方だってのもあって閑散としているがけっこう栄えてそうだ。山肌をくりぬいて立ち並ぶ酒場やら商店。平地にも様々な建物が立ち並んでいる。パッと見だが人口一万人規模の大きな町だ。


 トンネルの出入口から直進するメインストリートを適当に歩いて良さそうな宿を探す。第一希望に食事処を内包している。第二にそれなりにマシな寝床がありそうな質のいい宿がいい。


 伏して寝入る虎を模した鋲打ちの鉄看板を見つけ、外観から宿のランクを推測して入店する。明け方という時間もあって宿の店主を大声で起こす必要があった。


「こんな時間にすまねえな」

「本当だよ、勘弁しろよな」


 厳つい容貌の店主は四十代くらいの年齢に見える。がっちりと固太りした体型やまとう雰囲気から冒険者あがりか兵隊あがりと予想できた。


「まあお客は歓迎だ。部屋は三階の五号室を使ってくれ」

「迷惑ついでに食堂はいつから開ける?」


 店主が苦々しく笑い出す。人遣いの荒い客めって感じだ。


「せっかくの寝床も腹を空かせたままじゃあな。わかったわかった、じゃあ腹にたっぷり溜め込んでから高イビキを掻いてもらおうじゃねえか」

「助かる。支払いは弾むよ」

「そうしてくれ。せっかくの親切だ、するんじゃなかったって思わせないでくれよ」


 多めに払えば大抵の店主はニコニコだ。乱暴者の冒険者がどこの町でも歓迎される理由は金を持っている点に尽きる。


 昨夜の仕込みの余りを大雑把に鍋に放り込む店主と、料理が出てくるまでの間におしゃべりする。

 町の名前とかどういう客層だとか色々だ。初めての町で何も知らない冒険者が色々と知りたがるのはよくあることで、店主も慣れた調子でしゃべってくれる。


「へえ、じゃあこの町はランダーギアでは大きな方なんだな」

「領境だからな。商人も冒険者も通るから客には困らないよ。こんな明け方でもな」

「わるかったとは思っているよ」


 最初に出てきたのは木製の皿にこんもりと載った肉野菜炒めだ。うまいとは思わんが量があるので食いでがあるな。

 昼食と夕食を抜いてたのもあって驚くほど早く腹に納まった。


 食い終わる頃には次の料理が出てきた。今度は少し手のかかってるやつでタンドリーチキンっぽいやつだ。酸味の強いオークルソースと付け合わせが葉野菜。こっちは普通にうまい。

 このソースはカランの実を使っているのかもしれない。いわゆるマンゴー的な甘さのカランの芳香が焼きたての肉をイイ感じに刺激的にしている。薄切りの焼きパンも欲しいところだが売り切れらしい。残念。


 食事と調理の合間に適当にしゃべって適当に相槌を打ち、本題に入る。


「ドルドム男爵領にはどうやって行けばいい?」

「なんだお前さんも迷宮狙いか。大して離れちゃいねえし街道がつながっている。普通なら徒歩で三日ってところだが冒険者の脚なら一日で済むよ。それとも馬車の定期便の話か?」


「馬車の定期便か。そんなオシャレなもんがあるとは知らなかったぜ」

「ここは交通の要衝であっちは迷宮都市だぜ。往復するだけで儲かるならやつ奴もいるさ。まあ金は掛かるがな」

「いくらだ?」

「忘れた。つか知りたきゃ一眠りしてから冒険者ギルドに顔を出すんだな、俺なんかに聞くよりよっぽど確かだ」


 そりゃそうだ。


「最後に一個だけ。エンズ村ってわかるか?」

「あん? ……聞き覚えはねえな、最近できた開拓村か。この辺りにあるのか?」

「いやドルドムにあるらしい」

「ドルドムで聞けよ……」


 二回目のそりゃそうだ案件であった。


 適当に腹に詰め込んでいい気分になって寝床につく。当然だが店主の親切に応えるために諸々合わせて銀貨二枚を渡して喜んでもらった。

 クラーケンハンターやってると金銭感覚が狂うけどそれなりの迷惑をかけても帳消しになるのが銀貨なんだよ。この宿が一泊10ボナだから20人分の売り上げだ。早く起きた価値はあったろうぜ。


 コテージから大慌てで持ち出したアシェラレポートを読み返しながら眠りを目指して櫂を漕ぐ。

 ドルドム男爵領のエンズ村。そこに出奔したトキムネ君と奥さんのトゥールちゃんがいるはずだ。マリアの初陣だ。しっかり準備しなきゃ。

 青の薔薇の幹部も捕まえる予定だししっかり準備しなきゃ。


 マリアは何でもするって言ってくれたからね。多少の激闘は覚悟してもらおう。

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