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最終章 『春のマリア』  作者: 松島 雄二郎
学院入学編(入学できるとは言ってない)
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迷宮都市の聖女ちゃん⑤躍進編

 冒険者支援プログラムはユーザー様を煩わせる雑事全般をカット(^^)

 素材の売却や装備品のランクアップ、装備品の手入れなどはすべて弊社がお引き受けすることでユーザー様には戦闘に専念していただけます。

 冒険者支援プログラムはユーザー様に見合った高水準なチームを派遣いたします。優れたユーザー様と優れたユーザー様を繋ぐ冒険者支援プログラムの輪は全世界に広がっているのです。

 指定の素材を納品して銀狼ポイントを集めましょう!

 会員制ショップでしか手に入らない高水準な装備を手に入れて迷宮を攻略しよう(*´▽`*)



 ラティルト深層 第52層『水晶の谷底』


 竜の牙のように巨大な水晶の乱立する谷底は瘴気に包まれている。吸引するだけでバッドステータスを発症する大気の汚染された谷底を、爆炎が包んだ。

 竜の吐息のごとき極大の爆炎がモンスターどもを薙ぎ払っていく。


 冒険者支援プログラム契約者の一団が炎を払い、モンスターどもの死体を踏み砕いて行進する。

 この光景はさながら地獄からの侵略軍のようだ。


 銀狼の契約者達が最下層を目指して進軍する。

 谷を舞う魔鳥の発する火炎の吐息は干渉結界が無力化する。群れなす魔狼どもなど剣の一閃でちぎれ飛ぶ。丘のごときジャイアントの軍勢など正面から打ち破るだけだ。


 契約者の軍団に追従する担ぎ屋ポーターがモンスターどもの死骸から価値ある部位だけを斬り落として荷台に放り込む。


 契約者の軍団が最下層を目指して進軍する。彼らを阻むことは何者にもできない。



◇◇◇◇◇◇



 雨が降っている。こういう日は猫耳もへんにゃり下がってしまう。

 ギルド酒場でテーブルを拭いてるニャルは長雨の続く日々に嫌気が差して「うにゃー」って苛立ちを発散するみたいに伸びをした。するとカウンターでコーヒー飲んでるギルマスさんから睨まれたので小さくなってテーブル掃除に戻る。


 にゃーにゃー言ってると怒られる世知辛い背高人至上主義社会なのである。


「オルシアぁ、マリア帰ってこないね」

「そうね。もう一週間になるかしら?」


 狂戦士とか冗談で呼ばれている元気娘が帰ってこない。

 おかげでニャルは何だか気分が上がらない。いつもガハハ笑いがうるさいドワーフのおっちゃん達も元気がない。久しぶりに意気のいい新入りが来たと思ったら瞬く間に迷宮に飲まれる。……迷宮都市ではよくあることだ。


 迷宮は冒険者を食って成長する。迷宮から産出される魔石や魔物由来の素材は生命を糧にもたらされる。一般職員なら知らなくてもオルシアのような上級職員ならば真実を知らされている。

 迷宮が最も好むのは大量の魔素を吸引し成長した生命だ。莫大な富が約束される迷宮に冒険者を向かわせる冒険者ギルドの真実を知るからこそオルシアは冒険者から一歩引いて接している。生贄に情を移す辛さはもう味わいたくなかった。


 迷宮には夢がある。ニャルに何度も冒険者を辞めなさいって言っても辞めてくれないように冒険者は迷宮に夢を見る。冒険者の王レグルス・イース。一振りの剣を抱えて故郷を飛び出した英雄の物語が冒険者たちに今もなお夢を見せ続けている。


 昼営業の忙しさも抜けて掃除もおしまい。エプロンを脱いだニャルが出ていこうとする。


「また迷宮の入り口で待つつもり? 一週間よ、そろそろ諦めた方がいいわ」

「マリアは死んでないニャ!」


 ニャルがギルド酒場から飛び出す。雨天のラティルト市を迷宮の方へと向けてまっすぐに走る。

 すると奇妙な軍列が大路をまっすぐに下ってきた。数百人はいるだろうか。輜重隊らしき荷車まで引く姿は本物の軍隊のようだ。


 迷宮の方からやってきた黒衣の軍列が大路を練り歩いている。まるでこの町は俺達の物だと言わんばかりの態度だ。冒険者も市民もこの奇妙な軍列を遠巻きに見つめている。ニャルも足を止めて見物する。


 当初はどこか別の町からやってきた巨大冒険者クランかと思ったが黒衣の下に垣間見える装備品は一つの規格に統一されている。均一な兵科。均一な装備。軍隊の特徴だ。それもラティルト領主家の騎士団なんて比較にならない上質な装備だ。


 軍列は市内の大商会の門前で停止し、荷車が商会内に運ばれていく。

 荷車を警備する黒衣の冒険者たち。その一人。黒いフードに下にある背伸びした感のある真っ赤なルージュにニャルの目が留まる。

 可愛いには可愛いんだけど綺麗めにしたい化粧とあんまり合ってない、どこか田舎くさい少女だ。少女の方もニャルに気づいた。


「あ、ニャルさーん!」

「マリアにゃ!」


 二人して抱き着いていく!

 最初はマリアが撫でまわしていたけどニャルが顎をすりすりし始めてから圧し負けて、マリアは胸元に抱き入れられてぐりぐりされてる。まるで犬だ。


「おおう、おう…愛が苦しい……」

「マリアどこ行ってたニャ。心配したニャ~~~!」

「ちょ…ちょっと60層まで……」

「ニャ!?」


 ラティルト最下層は78層と言われている。

 二年前の帝国騎士団による夏季合宿『国内の迷宮全制覇大作戦』で攻略されたばかりであり、その時から階層が増えている可能性もあるが一つ二つというところだろう。


 十一月にラティルトに来た最低ランクの冒険者が最下層近くまで行ったという。

 普通に考えれば信じられない。しかしこの黒衣の軍勢を見れば……


「何がどうなってるニャ?」

「色々あってねえ。あ、まだ仕事が残ってるからさ。後で話そう! ギルド酒場に行くから!」

「にゃ、にゃあ……」


 マリアが黒衣の軍列に戻っていく。

 猫耳は何だかよくわからなかったけど嬉しい気持ちでギルドに戻っていった。



◇◇◇◇◇◇



「みんなー、今日はあたしのおごりだー!」

「「うおおおお! おごりの酒はうめえぞぉおおお!」」


 その日の夕方、ギルド酒場でマリア主催の祭りが始まる。

 一週間の迷宮遠征。その莫大な成果の内マリアの取り分は金貨87枚であった。これが本日の祭りの資金源だ。


 祭りの参加者たちはジョッキを携えて主催者に挨拶に来る。


「狂戦士に!」

「狂戦士のおごりに!」

「あんたは大物になると思っていたがすげえぜ!」


 ギルド酒場は満員で外にテーブルを出しての大騒ぎ。給仕娘たちもチップをたっぷり貰ったので嬉しくも忙しい悲鳴をあげて走り回っている。


 そんな酒場のど真ん中でマリアとニャルが肩を組んでニャハハ笑いをしている。成功者と愛人みたいになってるのである。


「祭りにゃー! でもいったい何がどうなってるニャ?」

「冒険者支援プログラムっていうのなの」

「なんだそにゃ?」

「ふふん、あたしみたいに前途有望な冒険者だけに話が来るすごいプログラムなんだ!」

「調子のりすぎニャ! でもすごいニャ~~~!」


 宴会は明け方まで続いたがマリアの稼ぎを吞み潰せるほどではなかった。

 二日間たっぷり休んだマリアはまた迷宮深層への遠征に旅立ち、八日ほど掛けて戻ってきた遠征軍は迷宮からまたも大量の富を持ち帰った。

まりあ

ぼうけんしゃ おんな

Lv:17

HP:6122

MP:6388

ちから:552

すばやさ:582

みのまもり:742

かしこさ:452

うんのよさ:1295


こうげき力:4244

しゅび力:4800


ぶき:スラーンド

よろい:魔水晶の魔導甲冑

たて:古銀のグラップラーフィスト×2

かぶと:ヴァルキリーギア

くつ:パンツァーグリーヴ

そうしょくひん:シャピロの組み紐

そうしょくひん:竜宝珠(赤王輝)

そうしょくひん:クイックワード(中位精霊級)

そうしょくひん:魔の心臓(子爵級悪魔由来)

そうしょくひん:戦闘支援システム・サポートオペレーターのシェナちゃん


あびりてぃ

干渉結界(魔の心臓):被魔法攻撃を8000ダメージ減衰する。恒常発動。

魔の剛力(魔水晶):ちからに2800加算。

確定カウンター(竜宝珠):近接攻撃に対してバーンズハウルによる反撃を行う。発動率100%。

ヴァルキリーギア:すばやさに1200加算(上限4000まで)。

スペルクラスアップ:恒常的にスペルエンチャントがかかる。火系統に限り1800ダメージの加算。

統制の女神の恩恵:総戦闘時間15分を越えた個体又は種族からの攻撃を80%で回避する。

魔竜の傀儡:竜皇子クリストファーの魔法に100%掛かる。



まほう

スパーク:対象に火をつける

ランプ:20分間だけ明かりを灯す

ウォータータンク:水が飲める

ファイヤーボール:対象範囲に2800ダメージをあたえる

サンダーボルト:対象範囲(直線)に2800ダメージをあたえる

ファイヤーストーム:広範囲に3400ダメージをあたえる


とくぎ

ソードスマッシュ:単体に5000ダメージをあたえる

インパクトスマッシャー:対象範囲に4200ダメージをあたえる

ドリッド・スロー:とおい敵にもこうげきできる。14400ダメージをあたえる


ちょうひっさつ

ブレイド・ラッシュ:スタミナを引き換えに怒涛の連続攻撃で敵を圧倒する


所持金:6278.80ボナ

目標額:3264.00ボナ


ユーベル金貨=12800ボナ

テンペル金貨=3400ボナ

ヘックス銀貨=100ボナ

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