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エリアタイプってボスが徘徊しているのかよ

「っと危ないな」

「はぁ、はぁ、だめよ聖獣様はやらせないわ」


……………………聖獣?これが?


「俺が悪いみたいに言うなよ」

「一方的に痛めつけていたじゃない」

「襲い掛かってきたんだ、殺されても文句を言われる筋合いはないはずだが?」

≪最初に仕掛けてきたのはそっちだろう?≫


急に頭に響いてくる声がある。


おそらく、スキルに【念話】が合ったからほぼこいつだろう。


しかし、俺から仕掛けた?


「……どういうこと?」

「知らん、急に襲い掛かったのはお前だろうが」

≪何を言う、先に魔力を飛ばしてきただろうが!!≫


魔力を飛ばす?


「もしかしてこれの事か?」


モノクルを取り出してまた鑑定を行う。


≪それだ!!我に魔力を飛ばしてきただろう!!!≫

「え?それって……」

「そ、ただの鑑定だ」


つまりは鑑定したことが攻撃判定に入ったわけか。


これではお互いに敵対行動をとっていたことになる。


とりあえずクラリスのとりなしで双方とも矛を収めた。


≪我は神樹の守護を担う六つの聖樹の守護獣アグラベルグである≫

「へぇ~~」


ぶっちゃけどうでもいい。


「で、なんで守護獣様がこんなところにいるんだ?」

≪うむ、実は我が子が一人いなくなってしまってな、匂いを辿るとこのダンジョンにたどり着いたんだ≫

「そうなのですか?」


どうやらこの獅子の子供がこのダンジョンに入り込んだらしい。


≪それで探していると何やら知っている気配を感じてな≫


どうやらクラリスと面識があるようだ。


「知り合い?」

「ええ」

≪ああ、数年前に王と共に顔合わせをしたからな≫

「王?」

≪なんだ、知らんかったのか≫

「聖獣様」

≪こいつはエルフの国の姫だぞ≫


やっぱそうなのか。


名前で王族に連ねるものだとはわかっていた。


「まぁ悪かったよ、聖獣をそんなズタボロにして」

「ちょ!?」

≪ふん、デリカシーの欠片もない人間だな≫


なんだ鑑定のことを言っているのか?


「ただ鑑定しただけだろう?」

≪それは違うぞ、魔力を感じ取れる種族からしたら全身を舐められる感覚がするのだ≫

「そうなのか?」

≪ああ、(ヒューマン)にはわからない感覚だろうがな≫

「ふ~~ん、クラリスもそんな感覚がするのか?」

「さすがに聖獣様よりは感覚が鋭くないわ、体を真綿で緩く締め付けられているような感覚ね」


聖獣よりは感覚が鋭くはないのか。


「エルフでも鑑定されるのは嫌か」

「ええ、同意を取るならまだしも急にやられると嫌な気分ね」


これからエルフへの鑑定は一言断っておこう。


「聖獣様、上に行ける出口を知っておられますか?」

≪上への道なら反対側の森の中にあるぞ≫


南側の森の中なのか。


「情報どうも聖獣」

≪アグラベルグだ、今度からはそう言え≫

「いいのかい?」

≪ああ、我に勝ったものに聖獣と呼ばれるのに我が我慢できない≫

(上の者に敬称で呼ばれるような感覚か)


厭味ったらしくきこえているような感覚なのだろう。


「了解、アグラベルグ」


出口が分かったので早速ダンジョンを出ようとするのだが。


≪おい、待て≫

「……なんだ?」

≪情報を渡したんだ少し手伝ってくれてもいいんじゃないか?≫

「何してほしいと?」


まぁ少しぐらいは手伝ってもいい。


≪先ほども話したがここには子供の匂いを追ってきた≫

「つまりは探してほしいと?」


それぐらいなら引き受けえてもいいが。


≪違うそうじゃない≫

「は?」


違うのか?


≪確かに息子を追ってここに来たのだが、ダンジョンを見つけた時点でそれは後回しだ≫

「後回し」

≪ああ、我は聖獣としてこのダンジョンを壊さなばならない≫

「その間に子供が死んだとしても」

≪ああ、仕方ない、それも自然の定めだ≫


その言葉に若干ムッとしたが、まぁ仕方ないだろう。


「わかった、だが俺たちは何をすればいい?」

≪まずはダンジョンボスを探してほしい≫


どうやらダンジョンボスの近くにはダンジョンコアがあり、それを壊せばこのダンジョンは崩れるようだ。


「ダンジョンを壊していいのか?」

「なんで?」


どうやらエルフにダンジョンは資源という考えはないようだ。


「ダンジョンをうまく運用すれば結構な素材やお金が集まるだろう?」

「数だけが取り柄の(ヒューマン)はそれで問題ないでしょうけど、エルフからしたら害獣の巣よ、できるだけ早く壊しに行くわよ」


エルフでは金の生る木とは考えてないみたいだ。


「それだったら、遠慮なく壊せるな」


だけど問題が。


≪二つの森と草原を調べたのだが、ボスは見当たらなかったのだ≫


つまりはアグラベルグが見逃した場所にいるということなのだが……。


(『飛雷身』で探し回ったが本当にそれらしい影がない……)


同じく軽く全域を見回ってみるのだが普通の魔物だらけでボスがいるとは思えなかった。


「真ん中の山も調べたんだよな?」

≪ああ、中央の山も見回ってみたのだがな≫


それらしき気配はないと。


「じゃあ考えられるのは隠密に長けた魔物、もしくは……」

「空にいるかもしれない?」


考えられるのは、俺たちが見逃しているか、それとも俺たちが捜索しえない場所に居るかだ。


地上はアグラベルグがほとんど探索し終えた、それなのに見つからないとなると。


≪ふむ、可能性はありそうだな≫

「だとするといつまでも飛んでいるはずがない、どこかのタイミングで地上に降りてきているはずだ」


だが普通に降りてきているならアグラが見逃しているとは考えにくい。


俺たちは空を見上げる。


「……ねぇダンジョン内って雲はあるの?」


クラリスの言葉で雲を見る。


「そういえば確かに……」


空には雲が一つだけ浮かんでいる。


そしてそれ以外に雲は存在してない。


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