神罰斧槍バベル
次の日、起きると早速探索に向かう。
「ん~、東よりは鬱蒼とはしてないな」
東の方は樹海という感じだが、西の方は森林という感じになっている。
「程よく獣がいるからとりあえず食料に困ることはまずないか」
遠目でウサギやリスなどの小動物が確認できる。
「にしてもここには肉食動物はいないのか?」
見える獣は明らかに草食系のみだ。
その後もそのまま進む。
森が途切れた先は草原が広がっているみたいだ。
ちなみに東の樹海の先は荒野が広がっていた。
「さすがに準備無しでこの先に行くのは無謀だな」
草原が広がっているので食料が手に入る確率は低いだろう。
(行くならばもう少し食料を集めてからだな)
ということで今日のところは引き返す。
「なに……これ……」
私たちは光の落ちたであろう場所に来た。
そこには遠目から見ても分かるほどのぽっかりと空いた穴があった。
「爆発………じゃないわね、魔法かしら?」
「でも魔法にこんなことができるものが……」
「あったとしても、どれほどの魔力が必要になるか」
一緒についてきた者たちもこの現状には動揺するしかないのだろう。
それほどまでに現実的にはあり得ないほどなのだから。
「これでは痕跡なども消えていますよね……」
周囲はこれほどの惨状だ、痕跡が残るわけがないだろう。
「一定の人数でこの場を警戒、それ以外は周囲に警戒網を張りなさい」
何が起こったか定かでない現状、警戒を続けるしかない。
西も探索し終わったので次はそのまま南の方角に向かう。
そこは西以上東以下の感じだった。
「うへ~ここも歩きにくいな」
東ほどではないが歩きにくい。
すると周囲に気配を感じる。
(人?………ではないな)
気配が獣染みてる。
そして駆けだす音が聞こえる。
「なるほど」
現れたのはハイエナらしき群れだ。
「ちょうどいいこれの実験台になってもらうぞ」
バベルと出すと昨日使って無かったものを使ってみる。
「『聖ナル炎雷』」
まず使ってみたのは『聖ナル炎雷』。これは白い炎と白い雷をバベルから放つスキルのようだ。
「使い勝手はなかなか」
どこかの漫画みたいに一度炎に触れたらすべて燃やし尽くす、ということは無いようだ。
むしろ逆に獣以外が燃えた形跡がない。
「周りを傷つけないって点では使えるな、次に『怒リノ鉄槌』」
スキルを発動させると槍の先端に白い光が形を作り大きな槌になる。
(………槍なのに槌って)
槍じゃなくなるんだな。
「ガル」
とびかかってきたハイエナもどきに槌の部分をぶつける。
するとハイエナの体が一瞬で灰になった。
「まじか……」
ここまで威力があるのか。
(神罰の単体攻撃バージョンって感じだな……触れたら俺も灰になるのかな)
考えている間にハイエナは襲ってこない、どうやら一瞬で灰にしたのが恐ろしいようだ。
「はぁ~~襲ってこないなら何もしないからどっかいけ」
言葉が通じたのかは知らないがハイエナたちは去っていった。
「………これどうやって消すんだろう」
いつまでたっても白い槌が消えない。
「魔力はもう流してないんだがな」
………一回思いっきり地面でもぶん殴るか?
「……とりあえず軽く地面にぶつけるか」
ジュゥゥゥゥゥウウウウ
……軽く触れただけなのに地面がマグマみたくなるってどういうこと?
だがほんの少しだが白い部分が小さくなっているのを確認できた。
「こうなりゃそこらじゅうを破壊していくか」
ということで移動してはそこら中にある物を破壊して小さくしては、また移動して破壊しつくす。
十回ほど破壊を繰り返すとようやく槌の部分が無くなった。
こうして今日が終わった。




