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酔うと記憶が無くなるって本当だったのか

「そういえば、バアル様に婚約の手紙が届いているんですが」

「思い出させるなよ」


貴族に政略結婚はつきものだが、今婚約するのは少し悪手だ。


(せめて、エルドかイグニアどちらかが王太子に決まれば考えようがあるんだが)


裏でグラキエス家と通じてイグニアを支援しているとしてもエルドが王太子に選ばれる可能性も大いにあるからな。


「……やっぱ今の時期は厳しいよ」


殿下たちが成人する8年後までは不安定になる。


「まぁ、生まれてくる弟か妹が多少大きくなったら俺も楽になるかもな」


兄弟ができれば取れる選択肢も増えるからな。


「にしても……」


会場内を見回す。


優雅に食事を楽しんでいるメイドたち、何やら料理のことを熱く語っている料理長、不気味に笑っている家宰、大量に酒を飲み泥酔している騎士たちと混沌と化している。


「そういえばあの5人は?」


俺と共に来たみんなの姿がない。


「……あれじゃないですか」


なにやらメイドに囲まれて追及されているリン、リンと共に別のメイドに囲まれているセレナ、年のいっているメイドや執事に甘やかされているカルスたち。


「本人が嫌がってないなら問題ないだろう」


そのまま大人たちのおもちゃにされていてくれ。


そうすれば酔った大人の矛先は俺には向かない。


「お~い~なにやっているんだギル~~お前もこっちにこ~~い」

「げっ、親方」


案の定ギルベルトも標的にされたようだ。


「そうだ、若……っていない!!??」


(悪いな酔った大人のタチの悪さは前世で身に沁みついているんだ)


ギルには悪いと思いながらもこの場は退散する。








「ふぅ~~」


大人たちの絡み酒から逃げて自室に来た。


「まぁこれをパクッてこられたのはラッキーだったな」


机に置いたのはワインボトルだ。


「さて」


キュポン、トクトクトク


今回の人生初の飲酒となる。


「っ~~」


やっぱり酒は美味いな。


「まだまだいける」


それからボトルのワインを総て飲み干す。


この体はまだ7歳の状態だ、大人程の解毒する力はまだない。


そんな状態でアルコールを飲んだらどうなるか自明の理だろう。


「は……ははは……あはははははははは!!!」


気分が高揚する。


心なしか体が軽くなって空を飛んだ感覚さえしてくる。












「…………あれ?」


気づいたら大きな樹の枝に引っかかっている。


なんで?


覚えていることを思い出す。


(ワインをくすねて自室で楽しんでいたら…………)


ダメだこれ以上思い出せない。


「とりあえずここがどこなのか調べるか」


都合のいいことに引っかかっているこの樹は周囲の木よりもかなり高い。


体勢を立て直しそのまま樹を登っていく。


「うん、何も見えない」


見渡す限り樹海だ。


遠くには森を区切るようにある山が視界の最後だ。


「……こっちもダメか」


いつも持ち歩いている、魔道具もダメになってる。


「これが無事なら問題はなかったんだけど」


現在地を知らせてくれる魔道具が無事ならなんら問題なかったんだが。


「嘆いてもしゃあないか」


ということで行動を起こす。

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