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完全な未来予知なんてものは存在しない

状況は俺と同じか。


「………大体わかった。それじゃあ現実的な話をしよう。お前は何ができる?特殊技能はあるか?」

「……ないです」

「それだけの教育を受けて、何もないのか?」

「はい……仕事での計算は電卓を使っていましたし、資料作りもグラフもエクセルやパワーポイント、ワードでやっていたし……」

「つまりはその世界の技術のことは知っていても詳しい部分はまるで知らないのか」

「……はい」


正直…………微妙な人材だな、ただ一般的な大人をただ子供にしただけの存在だな。


もう聞くことは無いと思い次に移る。


「じゃあ、最後。なんでリンに『日本』や『アメリカ』のことを聞いた?この世界に無いってのを知っているだろう?」


これが一番の疑問だった。


明らかに無いってのを知っていたのにリンに問いかけたその意味が解らない。


別に同じ転生者でもそんなことを聞く必要はないだろう?


すべての転生者が善人とは限らないし、何より知識は財産だ。独占した知識で金を得ているところに同じ知識を得たものが現れたらどうする、最悪は殺されるぞ。


「それは……シナリオが違ったから……」


シナリオ?


「最初は全く違う世界に転生したのかと思いました、ですが少し調べてみるとよく知っている世界だったのです」

「どういうことだ、その世界ではほかの世界の情報を知ることができるのか」


俺がいたころはそんなことはできないはずだぞ。


「いえ、それはゲームの世界の話で」

「ゲーム?」

「はい、あ、こっちで言うと小説の世界ですね」

「つまりは知っている小説の世界に来たと知ったのだけど、その話通りに歴史が進んでないわけか?」

「はい、それでほかの転生者がいると思い、それが」

「リンかと思ったわけか」

「はい」


全容が見えてきた。


「まず最初にお前が狂人じゃないとするぞ」

「……狂人じゃないですよ」

「現状、お前の妄想としか考えられない………で、仮に違うとしてなんで全く同じ歴史になると思った?少し違う世界と考えなかったのか?」

「少し調べてみると知っている出来事ばかりだったんです」

「じゃあ仮にお前の知っている世界だとしよう、だが未来に何が起きるか知るお前が来ている時点でそれは知っている未来に成りえない可能性を持っているんだぞ」

「?????」


セレナは理解できないようだ。


「仮に未来に起こる事を知っているとしよう、それを阻止しようと動くともちろん違う結果になる。そしてそれを促進する動きをしても何らか違う結果になるだろう、人員が違ったり、規模が違ったり様々だ。最後に無干渉をしたとしよう、でもそれは知って無干渉と知らずに無干渉だとまた違う結果をもたらす」


例えばそのまま歩けば転んでしまうことを知ってしまったとしよう。回避しようとした当然、違う結果になるし、転ぶことになったとしてもその後の対応も知る前と知った後では全く違うものになる。本来なら泣き叫ぶところなのに、冷静に水で洗って包帯を巻いたりとかだ。


「つまり未来を知る時点でお前の知っている未来じゃなくなる可能性はいくらでもあるんだよ」


要約するとそういうことだ。


「「?????」」


理解していないのが約一名増えた。


「とりあえず、知っている時点で未来は変わると考えろ」

「はい、わかりました」

「で、どこでその歴史が変わっていると考えた」

「それは……リンさんが学園に来るのは中等部からなのです」


それから俺はこいつの知っていることを総て聞き出すことにした。









「本当にあの事を信じるので?」


その夜、セレナが帰ると俺とリンは今後のことについて話をする。


「もちろん信じないよ、ただ妄言にするにはやけに詳しい、詳しすぎるんだ」


実際は本当のことだとわかるが何も言わない。


「このことはルナたちに?」

「言わない、言えるわけがないだろう」


それにしても不自然に思わなかったのか?


この世界には前の世界にあった冷蔵庫などを模倣しているんだぞ。


(まぁ、あの様子だとゲームの中だと疑ってないみたいだからな)


不審に思えないのだろう。


にしても


「でも少し気が晴れた顔をしていたな……」


帰る際のセレナだが、すこし嬉しそうな顔をしていた。


「苦悩を知ってくれて受け止められる存在ができたからでしょう」


何やらセレナのことを分かった口ぶりで言うリン。


「しかし、あの妄言を信じるならめんどくさいことが何回かありそうだな」


教えてもらった情報にはいくつも関与しそうなのがあった。


「とりあえず様子見だな」

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