まさかの同じ転生者がいたのかよ
キッチンで料理している二人に話しかけようとすると面白い単語を聞いた。
「日本?アメリカ?????」
「その様子じゃ知らないようね」
「ええ、なんの言葉ですか?」
「国よ、遠い遠いね」
「なにやら面白そうな話をしているな?」
「着替えたのですか」
「ああ、あっちは息苦しい……それより、セレナその話を聞かせてもらおうか」
料理が終わると、テーブルに着く。
「で、その『日本』と『アメリカ』というのを詳しく教えてもらおうか」
あくまで自分は知らないふりで通す。
「ええ、とてもとても遠い国の名前なの」
「へぇ~、国の名前ね~」
「へぇ~国の名前ね~」
私を尋問しているのはゲームの隠しキャラである、“破滅公”バアル・セラ・ゼブルス。
「ええ、そうなの昔旅人が教えてくれた名前でね、リンさんは異国の方ですからもしかしてと思いまして」
「残念ながら聞いたこともないですね」
ゲームの主要キャラである、リン・カゼナギ。
本来なら中等部から登場するはずなのに初等部から登場している。
(もしかしたら私と同じと思ったけど……)
あの反応から違うことが分かった。
「国の名前ね~~~~」
バアル様がそういう。
(設定どおりね)
バアル様の設定では、まさに天才といった感じだった。キャラのステータスもすべてにおいて高く、コアなゲーマーならだれでも攻略に臨む、かく言う私も何日もトライアルアンドエラーを重ねてようやく攻略することができたくらいだ。
(本当に鬼畜なのよね、腕だけでなく運も必要になっていたから)
特定のイベントを起こす必要があるのだけど、そのタイミングが完全にランダムだ。
(それでどれだけの苦情が運営に寄せられたか)
私も運営の生配信で何十回の苦情を入れたか。
(今思うと楽しい思い出だわ)
それにためにもなる。
せっかくゲームの世界に転生できたのだ、思う存分楽しまないと。
「なぁ、俺は身分柄この大陸に存在するすべての国の名前を憶えている」
その言葉で心臓が跳ね上がる。
「そしてこの大陸以外に行く手段は無い、もしかしたらあるかもしれないが、一般公開されているなら耳にも入ってくるだろう」
冷や汗が止まらなくなりそうだ。
「そして国で秘匿しているのならなんでお前が知っているんだ?」
ヤバい、本当にヤバい。
「国じゃなく町や村の名前だとしても他国からの旅人が言うのは変だろう?」
たしかに他国から来たのなら国の名前をまず出すだろう。
「………お前は何者だ?」
その言葉と共にバアル様が何倍にも膨れ上がったように錯覚した。
「は、白状します!!」
こうなればすべて正直に話すしかない。
「異世界だと?」
思った通りこの少女は転生者だったようだ。
「そんなことがあると思うのか?」
「………」
まぁ証明はできないだろう。
「はぁ~~とりあえず、その異世界とやらでお前はどんな存在だった?」
信じてない風を装い、少女を調べる。
「前世での名前は泉川 春香といいます。あっ泉川の部分が性で春香の方が名前です」
「そこはヒノクニのようなものなのか」
「はい、私はそこでOLとして働いていました」
「オーエルとはなんだ?」
発音でバレるかもしれないから少しだけ変える。
「えっとこっちで言う、商家で働く女性ですね」
「だから、あれほど頭がいいわけか」
「あ、いえ、前世では私はどちらかというと頭が悪い方でした」
「なのにあの成績を出すのか」
「アレくらいなら前世での子供は10歳でも解けると思いますよ」
「………なに?」
演技も結構疲れるな。
「前世での世界では義務教育というものがあり、15歳以下の子供はすべて教育を余儀なくされるんです」
「この国では考えられないな………………だが、話が本当なら納得だ」
「ホッ」
セレナは安堵の息を吐く。
「で、肝心の部分に迫るぞ」
「ゴクッ」
「お前は死んでこっちに来たんだよな?」
「はい、VRゲームの際に意識を失って、とある空間で神に会いまして」
「は?神?…………とりあえず続けろ」
「(信じられないよね)そこで転生させてもらいました。さらにユニークスキルも」




