セレナという少女
ということで家に戻ってきたのだが。
「なぁなんでついてきているんだ?」
「いえ、助けてもらったのでお礼でもしようと思いまして!!」
なぜだか図書館での少女、セレナ・エレスティナがついてきていた。
「バアル様は一人で暮らしていると聞いて、家事でもと思って」
「はぁ~~」
どっから漏れたんだその情報。
リンも今はカルスたちの方に行っていてここにいない。
離れそうもないので家に入れる。
「あの~、自分でも言うのは何ですが、こんな簡単に他人を簡単に家に入れるのは……」
「問題ない」
大切なものはすべて亜空庫に仕舞っているから問題ない。
「ここにあるのはすべて盗まれても問題ない物だけだ」
「じゃあ……問題ないのかなぁ?」
そういって家の中を見始める。
「あれ?掃除されている?」
「ああ、リンがすべてやってくれているからな」
「え…………ゲームと違う」
????ゲーム?
「じゃあ料理を、何か食べたいものはありますか?」
今はちょうど昼時なのだがリンがいない。
「じゃあ頼むか」
「わかりました、厨房借りますね」
ということでセレナは料理を始める。
「へぇ~」
どうやら俺の好みを調べたのか好物しかない。
「どうですか?」
「うん、普通にうまいな」
「そっか~」
なぜだか嬉しそうな顔をする。
「今後もお世話しに来ましょうか?」
「いえ、その必要はありません」
ドアが開くと三人を連れたリンがそこにはいた。
(なんか妙な威圧があるな)
リンの姿から何らかの威圧が放たれている錯覚をする。
「バアル様のお食事は私が用意しますので問題ありませんよ」
「ですが、異国の貴女にこの国に合った味を出すことができますか?」
「平民の貴女よりは貴族の好みは熟知していますよ」
「でもそれがバアル様に合っているかどうかも不明ですよね」
なんか二人の間に火花が散っている錯覚がある。
「(まぁ気のせいだろう)ってことで、家事の心配はいらないよ」
「フッ」
「っ!!」
どちらがどんな反応をしたかはあえて言わない方がいいだろう。
「まぁ今日は協力して作ってくれ」
今回は一緒に作るで終わってもらうか。
俺は自室に戻る。
「意外に平民からも頭いい奴がいるんだな」
豪商ならわかるが、教育よりも畑仕事みたいな過程で育った奴しか今年はいないはずだ。
なのにあの頭の良さ。
(本格的に教育すれば、使い物になるか?)
とりあえず制服を脱ぎ、気楽な格好をする。
(毎回思うが変に凝りすぎだ)
制服なのにお堅い感じしかない。
「お~い、様子はど」
「リンは『日本』もしくは『アメリカ』って言葉知っている?」
………………………………は?




