試験で騒動
総合試験順位
一位エルド・セラ・グロウス:400点
一位イグニア・セラ・グロウス:400点
三位バアル・セラ・ゼブルス:398点
四位ユリア・セラ・グラキエス:396点
五位アーク・ファラクス:389点
六位セレナ・エレスティナ:382点
七位ニゼル・セラ・アズバン:379点
八位ジル・セラ・ルディウス:375点
九位アズラ・セラ・キファラス:369点
十位リン・カゼナギ:368点
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武術試験順位
一位イグニア・セラ・グロウス:100点
一位エルド・セラ・グロウス:100点
一位リン・カゼナギ:100点
四位バアル・セラ・ゼブルス:99点
五位アーク・ファラクス:97点
六位ニゼル・セラ・アズバン:96点
七位オルド・バーフール:95点
八位マウル・セラ・アレスト:94点
九位キミリス・セラ・ミブスト:92点
十位カリナ・イシュタリナ:91点
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学校に訪れると全員が見える掲示板に成績表が張り出される。
これは先日行われた学年別テストの順位表だ。
総合試験は全部の科目の点数を合わせた物で、算術、語学、歴史、魔法学の四つからなる。ちなみにその四つも科目別で張り出されもしている。
次に武術試験だ、これは合同授業で教師と一対一の模擬戦を行うものだった。見られるのは型、威力、技、それとセンスだ。
(まぁこれなら文句は来ないだろう)
両殿下の手前満点は取らない方がいいかと思ったが、思い過ごしだったようだ。
今日はこの発表だけなので、そのまま帰宅しようとするのだが。
「ふざけるな!!」
騒ぎの方を見てみると合宿をしたときに会った6人がいる。
(またあいつらか)
「またあいつらですか」
リンと考えることは同じだったようだ。
「お前たちが俺よりも優秀なわけがない!!」
「でも、成績ではもうすでに」
「何か不正をしただろう!!」
「そんなんことをはしていないよ!?」
ニゼルが食って掛かっている。
「みんなもそう思わないか!!何の教育を受けてない平民が俺たちよりも優秀だなんて!!!」
周りの貴族もこの成績には何か思うこともあるのか少し顔をしかめる。
(まぁ実際、武術を抜かせば総合評価で半数より上にいるのはあの五人ぐらいだ)
「……あれ?これって私まで糾弾されています?」
いや、リンのような貴族が庇護している人物は糾弾はされないだろう。
(明らかに茶番だな)
不満を庇護の無い平民にぶつけているだけなのだから。
さっさと止めて帰るとしよう。
「はいはい、そこまでだ」
一応止めに入る。
「結果に不満があるならまたやればいいじゃないか」
「……なに?」
ニゼルは俺を睨みつける。
「耳まで悪くなったのか?だから、またやればいいじゃないか教師に頼んで同じような問題を用意してもって競えばいいじゃないか?」
全ての人がスポーツ精神を持てば争いなんて起こらないと思う。
「は!馬鹿馬鹿しい、こいつらが不正をしなければ俺たちが負けるわけないだろう」
周囲も今はニゼルに同意しているみたいだ。
「はぁ~、お前らもう少し周囲の目を気にしろ」
「なに?」
「もし仮にこいつらが不正を行っていたのならば問題ない」
「俺たちはしていないです!!」
五人は似たような顔で訴えてくるが。
「だから仮にと言っただろう……で、こいつらが不正をしているならば問題ない、けどこいつらが不正を行っていなかった場合はどうなる?」
「……なに?」
「そうなったら、お前たちは自分の実力が平民より下なのはおかしいとのたまうただの馬鹿だぞ?」
「お前!!!!」
激高するニゼルにも構わず俺は近づいていく。
そして手を肩に乗せ耳元で言う。
「なぁ~今回は調子が悪かっただけだろ?」
周囲にも聞こえる声で話す。
「それなら仕方ないって~、次は調子が狂わないようにすればいいじゃないか~」
そして今度はニゼルにしか聞こえない声で囁く。
「ここで傷口を広げるか?それに見てみろ」
ニゼルは俺の視線の先を見据える。
「ここには両殿下もいるんだぞ、変に騒いだらどのような評価を得るかな?」
「っ!!!!!」
ニゼルは下唇を噛み悔しそうな顔をする。
(顔に出すなんて、まだまだだな)
これでは悔しいのが周囲にも伝わってしまうだろう。
「……はぁ、そうだな今回は調子が悪かった」
「ええ、そうでしょうね、進んで教育を受けている我々貴族です。次はこの6人にも負けない結果が出るでしょう」
そういうと悔しそうにこの場を去っていく。
(たく、嫉妬するくらいならもっと努力をして見返せよ)
ニゼルがいなくなると先ほどの貴族たちもこの場を離れていった。
さて
「ありがとうございます、助けてくださって」
青い髪が特徴のアークが頭を下げる。
「はぁ、お前たちももう少し考えて動け」
「……それは試験で手を抜けということですか」
「そうじゃない、上手く立ち回れと言っているんだ」
ニゼルの物言いに反抗せず、下手に出て相手の調子が悪かったですねとでも言っとけばいいだけなんだからさ。
「まぁ、そこは自分で考えろ」




