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お前…変なのに取りつかれたな

それから普通の日々が過ぎていく。


「………暇だ」

「またですか、バアル様」


今日は珍しく授業に出てるのだが、やっぱり簡単すぎてつまらない。


「ですが、ここ数日はお付き合いお願いします、ただでさえ出席日数で問題が出てきそうなのに」

「……ほんと、めんどくさいよな」


まさかの出席日数でまずいことになるとは思わなかった。


(っち、いっそ陛下に頼んで休んでもいいようにしようかな)


このような考えが出るまで俺は暇してた。


「ではこの数式を解いてください……バアル様」

「57」


黒板に書かれた数式は良くても2桁の算数だすぐにわかる。


「……正解だ」


なぜだか先生は悔しそうにしている。


「当たり前ですよ、サボり魔である貴方の鼻を明かそうとした問題を難なく解くのですから」


すると前にいる数名が頷くのが見える。


その後も腹いせに同年代には難しいだろう問題を解き、授業が終わる。





「……とりあえずリン」

「……何でしょうか」

「後ろの3人を何とかしてくれないか」


後ろで一定間隔で着いてくる3人を何とかしてほしい。


「はぁ~、仕事ですので邪魔しないでくださいといったのですが」

「そしたらああなったか」


まぁ邪魔はしてないけどさ。


「それに私は3人にお応えするつもりはないときっぱりと言ったんですが、なにぶん『私たちはいずれ必ずリン様の心をつかんで見せます』の一点張りで」


でストーカーじみた感じになってしまったと。


「女子の寄宿舎にすら張り込む始末です」


リンの表情は完全に疲れ切っていた。


「仕方ないな」


このままではリンの仕事に支障が出そうだな。


「少し行先変更だ」

「どちらへ?」







「ってことでリンは今日から同じ場所で過ごしてもらうぞ」

「!?」


夜、リンは俺の部屋にいる。


「え、え??」

「ここなら変な奴も来ないだろう」


今いるのは俺の部屋だ。


「この家なら問題ないだろう」


特待生の特権で学園の近場にある家が一軒貸し出されるのだ。


(これも特権の一種だな)


無論、特待生なら全員同じように家を借りることができる。


「これなら問題ないだろう?」

「え、ええ、ですが、その」

「ああ、荷物は明日にでも運ばせるから」

「あ、ありがとうございます」


なぜだか顔を赤くしているが。


「嫌なら無理に泊まる必要ないぞ?」


何だったら給金で近くに一家借りてもいいし、普通に元の寄宿舎に戻ってもいい。


「まぁ俺は寝るから自由にしていいぞ」


ベッドに横になり眠りにつく。






グツグツグツ


なにかが煮える音とおいしそうな匂いで目が覚める。


「…リンか」


キッチンでリンは料理をしている。


「おいしそうなの作っているな」


作っているのはポトフだ。


「横借りるぞ」

「ええ、って何を」

「ん?肉を焼いているんだが?」


俺は肉を並べて串に通す。


「……朝から肉ですか?」

「ああ、焼くだけで簡単だし」

「………分かりました」


俺の手から串と肉を取り上げる。


「これも私がやるのでバアル様は休んでいてください」

「……わかった、あとはよろしく」


やることが無くなったのでソファでゆっくりとする。


そしてしばらくすると料理ができたと声を掛けられる。


「……なんか豪勢になったな」


白パンに具が豊富なポトフ、それに厚切りベーコン、ミルク。


「いつもはどんな朝食をしているんですか」

「さっき作ろうとした串肉」

「………え?それだけ?」

「ああ、それだけ」


栄養なら学園の昼食で十分とれるだろうし。


「……バアル様、もう少し料理とか」

「するだけ無駄」


前世でも自炊しようとしたら絶対って言っていいほど、不味くなるし。


「作るなら手軽なものでいいさ」


それに肉は好物だからな。


「今度から朝食は私が作りますので」

「おお、そりゃいい、何か必要な食材があったら言ってくれ買ってくるから」


ということで朝食はリンの担当になった。


「さて、それじゃあ行くか」


用意ができたので学園に行く。


「それにしてもバアル様は一人暮らし出来ているのかできていないのか……洗濯とかはしていますか?」

「しているぞ」

「ほんとうですか?」


本当だ、まず10着ほどの予備の制服を用意する。そして学園が終わると制服を脱ぎ一か所に置いておく。

次の日は予備の服を着て登校、そして帰って来ると脱ぎ一か所にまとめておく。そして休日はすべての服を洗濯機にかけ、終わったらそのまま干すだけ。


「な、簡単だろ?」

「………それってたまっている服はすごく臭くなりますね」

「まぁ、それは仕方ない」

「仕方ないじゃすみません!?」

「お、おう」

「これから洗濯も私がやりますがいいですね?」

「ハイヨロシクオネガイシマス」


ということで家でのヒエラルキーが逆転してしまった。

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