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定例会

まず報告されたのが国内の情勢についてだ。


魔物の出現情報、食料の自給率、各領内での犯罪情勢、武器の生産体制などなどだ。


「ふむ、以前よりも情報が緻密だな」


その報告の際に何度かこのような声が聞こえる。


「次に不穏分子についてです」


どの領地にどこの国の間者がどれほどいるか、どの貴族が他国に亡命しようとしているか、または違法行為をしているかなどを発表する。


「……あの者か」

「ああ、すでに処分された者が動いているな」

「……腹いせか」


なにやらこっちを見てつぶやいているが……


「さて、それでは今後の騎士団の動きを決めようと思います」


そういうとここにいる全員が真剣に話し合うようになった。


(なるほど、領地や他国の情勢を見て商売で吹っ掛けたいわけか)


現にほとんど話しているのはどこの領地に何が不足しているかなどだ。


どこが豊作で凶作なのかも教えられる。


「利益か」

「でしょうね」


リンも何が行われているかを理解している。


そして騎士団はその情報を調査する代わりに対価を要求している訳か。


(これじゃあ探偵とさして変わりないじゃないか)


そして一通りの情報交換が行われる。


「では次に他国の情勢を見ていきたいと思います」


この国の地形だがインドのような形をしている。


さらには東西に2つの国に覆われ、最北のアズバン領のみその二国と二国の向こう側にある国と面接している。


「まずは東のネンラールについてです」


ネンラール国、ここは戦士の国と呼ばれており。闘技場などが有名な国だ。


力比べが好きな国で、力さえあればいくらでも成り上がれるとされている。


「ネンラールについての情報はしいて言えば戦力増強を図った程度です」

「それはこの国に向けてかね?」

「いえ、どちらかと言えば反対側にある東邦諸国に向けてでしょう。あちらは革命を起こした国があり不安定になっていますから」

「ふむ、だが警戒しておくに越したことは無いな」


一応は友好国ではあるが完全に信頼はできない節がある。


「次に西のクメニギスですが」


西にあるクメニギス国は東とは真逆に魔法使いの国とよばれているほど魔法が発達している。


「こちらは現在混乱真っ只中ですね」

「どういうことだ?」


そこからの報告で、なんでもクメニギスの王太子が事故死したようだ。


そしてクメニギスには4人の王子と2人の王女がいるのだが、それが現在継承位争いをしていて内乱寸前のようだ。


「……この国も抱えそうな問題だな」


俺の言葉に全員が反応する。


「ん、ん。私語は慎むように。それで現在3人の王子から我が国の貴族や王族に婚姻を申し出ていますね」

「我が国を巻き込むつもりだろう」


一人が言った言葉に同意だ。


「馬鹿が変な行動をとらないように注意しておかねばな」


野心がある馬鹿貴族がうかつに手を出すとせっかく良好な関係にひびが入ってしまうかもしれない。


「各自、そこは留意せよ」


陛下の一言でクメニギスの件は締めくくられた。


「では最後に北のノストニアについてです」

「あの耳長のことか」


そうだノストニアはエルフの国だ。


エルフは干渉を極端に嫌うのでほぼ鎖国状態なので全くと言っていいほど情報が入らないはずなのだが。


「どうやノストニアでは新たな王が決まりまして、来年即位する予定です」

「ほぅ」


ほとんどの人物はこの情報は初耳だったようで興味深く聞いている。


「ノストニアは新王が即位するにあたり、友好を広めようとする動きがありますね」

「どういうつもりだ?」


エルフの引きこもり体質が変わったのか?


「現王も反対しているようですが新王の支持者が多いようで」

「次第に折れる……か?」

「そのように我らは予想しています」


これはどのように変化するのか予想できないな。


友好的になるか敵対するのかどうなるか……いずれにせよ準備しておかねばいけないだろうな。


「グラスよ、ご苦労であった、そしてバアル・セラ・ゼブルスよ」

「え?はい」


急に話しかけられて戸惑う。


「そなたの魔道具でこれほど緻密な情報が集まるようになった、感謝する」

「……いえ、これもグロウス王国に仕えるものの役目ですから」

「皆も聞け、このバアルは今後グロウス王国には無くてはならない存在だ。手を貸してやってくれ」


おいこら国王!!


とどのつまりこの国から逃がさんというわけか!!


それに今ので嫉妬もされるだろうが!!


その後、会議が終わるとそれぞれが時間差で別々の通路を通ってパーティーに戻っていく。


「おお、もどったかバアル!?」


パーティーに戻ると父上が出迎えてくれた。


「どうだった、あの会議は」

「それなりに有意義でしたよ」

「それは上々」


そうこうしているとパーティーも終わり、俺とリンは寄宿舎に帰っていった。

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