5人の実力は
「それじゃあ行くぞ!!『拳砲』!!」
格闘術のアーツの一つで拳の形をした魔力の固まりを飛ばすというものだ。
超近接戦の格闘術にしては珍しく遠距離の攻撃手段なのだ。
拳砲が当たると森鬼はすこしだけグラつく。
「こっちで時間を稼ぐから大技一発で終わらせてくれ!!」
「わかった」
一度、森鬼から離れて一撃で終わらせる準備をする。
「邪魔させないよ!!」
リズが再び目を狙って矢を放つ。だが今回はさすがに防がれてしまった。
「さすがに何度もうまくはいかないか~」
だが狙いはリズに向くことになった。
「俺を忘れるなッ!」
顔を向けた反対方向から炎の拳を眼球にぶつける。
「ガァアアアア!!」
さすがに痛かったのか悲鳴が上がる。
だが今回は再生が始まる様子はない。
「まだかアーク!!」
「アーク君!!」
二人は何とか僕の方に注意が向かないようにしてくれている。
そんな二人の期待に応えるため集中する。
「『太陽の光剣』」
掌を上に上げると、そこにまばゆい光を放つ剣が生み出される。
だけど
(これじゃあだめだ、もっと大きくしないと)
このサイズだと良くて少し肉を切り裂くほどの大きさしかない。
なのでさらに魔力を込め大きくする。
(まだ足りない、まだ………まだ……)
身体強化分の魔力以外を総て注ぎ込み出来たのが、2メートルほどの大きさの光の剣だ。
「ゴメン、遅くなった」
「馬鹿言ってる前に早くしろ!!」
オルドの言う通りだね。
光剣は掴む必要はなく掌に垂直に浮いているので幸いにも重さという概念がない、ただ掌を振り下ろせばそのまま剣が振り下ろされるのだ。
ぉぉぉおおおおおおおおおお!!!
森鬼は何かを感じたのか僕のことを睨む。
そして手に持った大木が振り下ろされるが
「はぁ!!」
同じく切り合うように光剣を振り下ろす。
アアァアアアアアアアアアアアアアアア!!
すると大木を水のように切り裂き、さらに森鬼の腕にも無視できないほどの傷をつける。
「まだ!!」
すぐさま畳みかける。
腹を裂き、肩から腰に落ちるように傷をつけ、足の健を切り裂きたてなくする。
スゥウウウウウ。
「させない」
急いで顔の前まで登り、首を切り落とそうとするが。
何度も切りつけたせいか剣の大きさが縮み首を落とすことができなかった。
「だけどこれなら叫ぶこともできないだろう」
光剣は切りつけた部分を焼き付けるので再生の邪魔をすることができる。
再生が邪魔をしているのかほとんど動かなくなっているうちに頭の上まで登り。
「これで終わりだ!!」
頭から股下までを切りつける。
アァ…………………
両断とまではいかなかったが脳は左右に割れるほどの傷を出したのだ、生きていることが不思議なぐらいだろう。
僕たちは動かなくなったのを確認すると全員が崩れ落ちる。
「はは、それにしてもよく生き残れたな俺ら」
「ほんとうよ、こんなこと二度とごめんだわ」
「疲れた~~ベッドでゆっくりしたい~~」
そして自然と笑い出す。
「これからどうする?」
「一応このままみんなの居る場所に向かうのが向かうのがいいと思います」
僕の問いにソフィアが答えてくれる。
「そうだな、ここに居たらまた魔物に襲われてもおかしくない」
ということで全員で移動しようとするのだが。
アゥゥウウウウウウウウウウ!!
魔物の遠吠えが聞こえてくる。
「そういえば咆哮をしたけどまだ魔物が来ていない!?」
僕が一人で戦っているときに上がった咆哮の効果が今出たのか?!
すると僕たちの周りに様々な魔物が現れた。
もうすでに魔力がない。これは僕だけでなく全員がそうだ。
だが周りをぐるっと囲まれているから退路もない。
魔力がなければ僕たちはタダの子供だ、もはや絶望しか感じなかったその時。




