これでも年齢で言えば異常だよ
森鬼、その危険性は群れることにある。
森鬼は別名『森の王』と呼ばれて、森の秩序を保つ。ただここで言いたいのは魔物の秩序という点だ。すべての魔物と意思疎通ができ、基本は弱肉強食のルールに則るのだが、森が危機に瀕したら敵対していた魔物関係なく束ね立ち向かうとされている。
そして森の危機とは伐採もその中に入る。
つまりは森鬼がいる森は広がり続ける植物を食い止め、伐採しようとすると森の魔物が群れを成して襲い掛かってくるのだ。
それが今五人の少年少女に襲い掛かろうとしている。
オオオオオオオォォォォォーーー!!!!!
「まだついてくるのか!?」
僕は後ろを見ながらそう叫ぶ。
「くそ!なにが貴族だ肝心な時に役に立たないくせに!!」
オルドは悪態ついている。
だが今はそう言いたいのが少しだけ理解できる。
けど
「後ろで起こったあの爆発……バアル様がやったんじゃないかな?」
ソフィアの言う通りだと思う、今も少し遠くで雷の音が響いている。
「でもバアル様のおかげで今はあのウスノロしか来てないね」
あの大きな爆発のおかげで森鬼しか追いかけてきてない。
「だけどこのままだと」
足幅が違いすぎるこれならすぐに追いつかれてしまう。
「ならやることは一つだろう」
オルドは楽しそうな顔で言う。
そして僕を含めて皆が覚悟を決める。
「授業の通り、僕とオルド、カリナが前衛、ソフィアは魔法で援護、リズは弓で援護を」
いつも狩りをする陣形を取る。
「改めて見ると大きいね」
剣を構えるとより一層大きさの違いを感じる。
それもそうだろう森鬼は身長5メートルはあり、簡単に踏みつぶすことができる。
「怖いのか、アーク?」
いつもながら僕の友達はポジティブだな。
「そんなわけないだろ!」
いつも通り体を魔力で覆い身体強化を発動させる。
「ガァアアアアアアア!!」
振り下ろされた大木を避けてそのまま腕を足場にして駆けあがる。
「ハッ!!」
首のあたりを切りつけるが、傷はすぐにふさがってしまう。
「オラ!!」
反対側からオルドが肩に乗り、全力で顎を殴りつける。
すると森鬼の体がグラつく。
「オルド!!」
「わかっているよ!!」
傾いた体を足場に縦横無尽に駆け回る。
こんなことができているのは『身体強化』のおかげだ、魔力なしだと、こんなことはまずできない。
そしてその間に。
『万物の御霊よ、彼の者に大いなる力と祝福を授けたまえ“自然の祝福”』
『泉の精霊よ、我が声が聞こえるならば力をお貸しください“泉の奔流”』
一つはソフィアが発動した神聖魔法。
もう一つはカリナが発動した精霊魔法だ。
グウゥオオオ??!!
森鬼の足元に膨大な水が現れる。そしてその水は足に絡みつき動きを阻害する。
上半身に来ないのは僕たちが動き回るのに邪魔になるからだろう。
そして僕たちの体が淡く輝き、体が軽くなる感覚がする。
「私もいるわよ」
リズは少し高めな木の上におり、そこで弓を放つ。
アァアアアアアアアアアア!!
リズの矢は森鬼の目に刺さる。
それにより、より一層暴れるが狙いが定まってない。
「これならやれそうだな!!」
オルドはそう言うが僕はなんとなく嫌な予感がしている。
オォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!




