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合宿での一幕

そして林間合宿の日がやってくる。


「では皆さん、それぞれの馬車に乗り込んでください」


特待生、貴族、平民関係なくランダムで馬車に詰め込まれる。


馬車は基本8人ほどが詰め込むことができる。


幸い、リンとは同じ班になることができたので問題はないようだが、俺以外はすべて貴族なので……


「「「「「「………」」」」」」


俺たちのことを遠巻きに見ている。


「くぁ~」

「「「「「「!?」」」」」」


俺が欠伸をしただけでもビクビクするほどだ。








俺たちが合宿する場所は王の直轄地にある比較的に危険が少ないアクリズ森林と呼ばれる場所だ。


ここは王都から西に少し移動した場所にある。


森自体は広大だがそこまで鬱蒼とはしていなく、合宿などには最適な地だ。


地形は西側に山に接しているが他の三方向は森が終わると平原になっている。



俺たちは道が続く限り馬車で進むと森の中で開けている場所まで進んだ。


「さて皆さん、これから二晩この森で過ごしてもらいます。この森は比較的に弱い魔物ばかりですが、一応教師や冒険者などが徘徊しているのでほとんど安全だと思います。もし何か困ったことがあったらこの場所まで戻ってきてください」


ということでそれぞれ組み分けした班で森の中でキャンプする場所を決める。


「「「「「「…………」」」」」」


いや、せっかくのキャンプなんだからもう少し楽しそうにしろよ。


(完全に外れを引いた時の反応だろそれは)


逆に言えば問題が起こらなそうで何よりだが。


しばらく進むと川の音が聞こえる。


「水辺にテントを張ろうと思うがどう思う?」

「「「「「「は、はい、いいと思います!」」」」」」

「問題ないと思いますよ」

「……………」


とりあえず川辺に移動してテントを張る。


「リン、この場じゃお前が一番あいつらと距離を詰めやすい」

「わかりました」


無言で気まずい雰囲気をリンに何とかしてもらう。


(まぁこれで少しは雰囲気も良くなるかな)


荷物から布とロープを取り出して少し細工する。


そして木の枝に吊るすと即席のハンモックとなる。


「バアル様、これから食料調達に向かいたいんですが」



この合宿では基本的に食料は自分たちで調達して、毒物が入ってないかを先生に診てもらい、合格をもらったらそれを食すというスタイルだ。


「俺も行った方がいいか?」

「できれば川で魚を取ってもらいたいのですが」


たしかに俺なら簡単に取りやすいだろう。


「なら二人だけ置いて行ってくれ、使うから」

「わかりました」


ということで男女一組を借りることにした。





「で、お前たちの名前は?」

「僕はジルと言いますルディウス家の3男です」

「私はニーア・セラ・マリナクです。マリナク家の4女です」


男は金髪を目が隠れるまで伸ばしている。


女の方は茶色の髪を後ろでまとめた活発系。


「知っていると思うが、俺はバアル・セラ・ゼブルス。一応、破滅公と呼ばれている」


こういうと二人は緊張する。


「とりあえず、この網の端と端を持て」


亜空庫から大きめの網を取り出すと二人に持たせる。


するとジルの方は何をするのか察しがついたようだ。


「これで川の両側で持っていてくれ」


ジルは川の反対側に回り、ニーアはジルに習って川の反対方向で網を垂らす。


そして俺はというと


「この位の場所なら問題ないだろう」


二人よりも上流で川に手を入れる。


「『放電(スパーク)』」


一瞬だけ放電を起こし川に流す、すると。


「わ、わ」

「多いわね」


20匹ほどの魚が浮かび上がって網に引っかかる。


「よし、そのままこっちに来てくれ」


ジルが網をたたむように川を渡ってくると、網を掴んでそのまま引き揚げる。


「大量に取れましたね」

「ああ、ちょうど川登りをしている魚がいたようだな」


網から魚を取るとヤマメに似たような魚が多くかかっている。


「ん?どうした」


俺が網から魚を取っていると興味深そうにこちらを見てくる二人。


「いえ、その」


ジルは言いにくそうにしている。


「……魚を素手で触るなんて……」


ニーアの方は慄いている。


そうか、貴族の子弟などは普通魚などを触ったりはしないんだったな。


「……一度、魔物の解体をしてみればわかるよ」


ダンジョン内では消えるのだが外だと死体が残る。


そのため一度だけ領内の魔物を討伐して解体も体験させてもらった。


「二人は魚を触るのは無理か?」

「できれば……」

「はい」


ジルは遠慮がちにだが、ニーアは完全に嫌がっているな。


「別に無理ならやらせんよ、ジルは手伝う気があるなら数匹でも取り出すのを手伝え」

「……」

「ご愁傷様」


ジルはいやいやながら手伝う。


(……いやなら手伝わなくていいのにな)


と言っても、網から取り出すと荷物に入っている籠に放り込むだけだ。


(さて、食料を取り終わったら教師に見せに行くのだが)


俺とジルにニーアか……俺だけでいいな。


「とりあえず、お前らはここで待っていろ」

「はい、よろしくお願いします」

「お願いするわ」


少し二人の態度が緩和してきたな。


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― 新着の感想 ―
[一言] 魔道具は、バアルが一人で作っていますが、昼は学園で昼寝、夜は闇組織、いったい何時作成しているのですか。
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